2015年より、東京の伝統工芸の技術を駆使し、現代のライフスタイルに合うプロダクトを生み出す「東京手仕事」プロジェクトが実施されている。東京都と東京都中小企業振興公社がプロジェクトの母体となった“伝統工芸の進化”をうながす施策で、毎年、東京の伝統工芸に携わる職人とデザイナーをマッチングさせ、新しい伝統工芸の商品開発を支援。あわせて、完成したプロダクトの国内外へのPR活動や展示会の開催、販路開拓などの普及支援も行っている。


 去る5月29日、2017年度の開発商品の表彰式が開かれた。新たに完成した10商品を初披露するとともに、そのなかから優れたアイテム3点を表彰。近年、国内外でも注目されている盆栽をモチーフにしたモビール『ゆらぎ盆栽』、ぬいぐるみにもアレンジ可能なてぬぐい製のおくるみ『東京本染 てぬぐいおくるみ』、江戸時代からの刃物製造技法を受け継いだ『双慶』が各賞に選ばれた。プレゼンターとして登場した東京都知事・小池百合子は「こうした伝統の技術と新しいデザインが融合した商品が、世の中に出て愛されていくことによって、匠の技術が次の世代にも受け継がれていってほしい」と話した。



都知事賞を受賞した『ゆらぎ盆栽』(江戸木目込人形/造花)。

雛人形を彩る造花技術をアレンジした、盆栽モチーフのモビール



「現代人の暮らしを変える」とか「世界を驚かせる」、あるいは「今までになく新しい」などといったイノベーション促進プロジェクトにありがちな言葉ではなく、「愛される」という表現に、ふと、ものの価値が創造されていくことの本質を感じた。


 よく考えれば、江戸から続く東京のカルチャーの本質は、町人文化だ。そこで育まれた手仕事の多くは、京都などのように神仏や上流階級への捧げものとして洗練をとげたのではなく、職人と町人が自らの暮らしのなかで愛用しながら発展させてきたものだ。作り手と使い手が “繋がっている”関係というべきか。匠たちは、もっと愛されるよう、もっと粋でいなせであるようにと腕を磨いたのであろうし、その一番のファンは、身近な町人だったに違いない。そこにはきっと、近年話題にのぼる“共感消費”に似たモデルがある。東京の工芸品は、きわめて創造的なコミュニティの上に受け継がれてきたのだ。



(左から)

中小企業振興公社理事長賞を受賞した

『東京本染 てぬぐいおくるみ』(東京本染ゆかた・てぬぐい)。

東京本染の技法で作ったおくるみは、

子どもの成長にあわせ、ぬいぐるみにリメイクできる


東京150周年記念賞を受賞した

『双慶』(東京打刃物)。

鉄と木の柄を一体化させた新しい東京打刃物



(左から)

2016年度の開発商品『PLANTS BRUSH』(東京手植ブラシ)。

植物に見立てた、インテリアになるブラシ。

2016年度の開発商品『籐と和紙のうちわ』(東京籐工芸)。

軽量な籐を使った、豊かな風量のうちわ

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF TOKYO TESHIGOTO 2018



 これら商品の一部は、日本橋三越本店 本館5階ギャラリーライフマイニングで販売されている。新しく進化した匠たちの手仕事の数々に触れ、愛すべき工芸品のファンになってほしい。




問い合わせ先

「東京手仕事」プロジェクト 商品開発・普及促進事務局

TEL. 03(5680)4631

特設サイト






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