爽やかなユズから官能的な海の香りへ――。MAISON KITSUNÉとHEELEYによるコラボレーション・フレグランスについて、パフューマーのジェームス・ヒーリーが語る

BY TERUNO TAIRA

 ジェームスの語る通り、レモンのような爽快な刺激とマンダリンの温もり、グレープフルーツの苦みが混然一体となり、日本を代表する柑橘類の香り、ユズそのものといったみずみずしさに包まれる。そしてそれが肌に触れると、波に洗われたときのようなソルティな潮の香りが訪れる。

「香水は音楽のように構成が大切です。できるだけシンプルな方がいい。だけど、退屈にしてはいけない。いい香りだけではいい香りは作れない。何かアクセントとなる香りを与えて、モダンに仕上げるのです」

画像: ヒーリー オードパルファン ノート デ ユズ <50mL>¥14,000 <100mL>¥18,000 MAISON KITSUNÉ直営店、およびHEELEY正規販売代理店にて発売中 COURTESY OF MAISON KITSUNÉ

ヒーリー オードパルファン ノート デ ユズ
<50mL>¥14,000 <100mL>¥18,000
MAISON KITSUNÉ直営店、およびHEELEY正規販売代理店にて発売中

COURTESY OF MAISON KITSUNÉ
 

 ひと昔前は、調香師というと香りの都といわれる香水の産業都市、フランスはグラース出身者がほとんどだった。が、今、世界の香水界の流れは「ニッチラグジュアリー」と呼ばれるアトリエ系、メゾンフレグランスの時代と言われている。「ヒーリー」もまたそんなブランドの代表であり、ジェームスも非グラース出身者だ。彼は若き日、法律家になることを嘱望されて勉強していたが、厳しい現実を突きつけられる弁護士という職業は自分にはとても担えないと、進路を哲学と美学へ変更。その後、グラフィックのデザイナーとして働くうちに香りに魅せられ、調香師の道を歩むことになった。

「パリのフローリスト、クリスチャン・トルチュで働いていた時は、いつも花の香りに包まれた夢のような生活でした。生まれ育ったヨークシャーの家には庭があって、刈り取られた芝生の匂いがしていた。大学時代につきあっていた彼女はオランダ系で、彼女の家に遊びに行ったときの、シナモンの効いたポプリも思い出深い香りです。僕の創作はとても静かな、プライベートな世界。魂の深いところに降りていくように、自分の記憶の中の香りを探しにでかけます。ある種のファンタジーですね」

画像: ジェームス・ヒーリー イギリス ヨークシャー生まれ。ロンドン大学キングスカレッジで哲学と美学を学び、パリでグラフィックデザイナーとして働いている時に香りの世界に魅せられる。グラースのパフューマリーで学び、2006年に自身のブランド、「ヒーリー」をパリで設立。現在はベルギー在住。 COURTESY OF JAMES HEELEY

ジェームス・ヒーリー

イギリス ヨークシャー生まれ。ロンドン大学キングスカレッジで哲学と美学を学び、パリでグラフィックデザイナーとして働いている時に香りの世界に魅せられる。グラースのパフューマリーで学び、2006年に自身のブランド、「ヒーリー」をパリで設立。現在はベルギー在住。

COURTESY OF JAMES HEELEY
 

 ジェームスの創る香りを嗅ぐと、調香とはまさにセンスが問われる仕事にほかならないと実感する。同じ香料を使っていても、組み合わせは無限にある。調香師はひとつの香りを構成する数種類の香りを嗅ぎ分け、正確に記憶し、それをまた新たな香りに置き換える職業だ。単純に自然界のいい香りを再現するのではない。膨大な数の香料の中から、記憶を手繰り寄せ、思い描く香りの構成を考える。自然の香り以上に、情景が思い浮かびあがるようにデザインされた香りこそ、フレグランスと呼ぶにふさわしいもの。類まれなセンスを持つ、この若き英国人が描いたカラフルでエネルギッシュなユズの香りにぜひ、触れてみてほしい。

 

問い合わせ先
メゾン キツネ カスタマーセンター
フリーダイヤル: 0120-667-588
ヒーリー公式サイト

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