古来から伝わる「二十四節気」は、春夏秋冬の季節を6つずつに分け、それぞれの期間に季節の変化を表す名前をつけたもの。気忙しい日々だからこそ、暦に合わせて咲く色とりどりの花から活力をチャージしたい。1年の中でも過ごしやすい気候の寒露の季節。秋の夜長に愛でたい花束を東京・白金台の「FLOWER SHOP BIOTOP by zero two THREE」に束ねてもらった

TEXT & PHOTOGRAPHS BY YURI TAKAHASHI

寒露 10月8日〜10月22日

 旧暦では、朝、草花に降りた露が冷たく感じられることから寒露と呼ばれるようになったが、新暦では、朝晩の気温差がはっきりとし、夜がだんだん長くなってくる。そしてこおろぎなど、秋の虫が鳴き始める“虫開き”や、鴨など冬の鳥が日本に渡ってくると晩秋の合図。この時期の果実、梨は百果の宗とも呼ばれ、夏の疲れにもきく果物として中国では古来から重宝されていたという。秋の実りを存分に楽しみながら過ごしたい季節だ。

画像: さまざまな厚みの花弁や茎の太さでメリハリをつけたブーケ ¥5, 500

さまざまな厚みの花弁や茎の太さでメリハリをつけたブーケ ¥5, 500

 ユニークなフウセントウワタやエリンジウムに、可憐なレースフラワー、クロコスミアを組み合わせ、高さとエアリー感のある大人の雰囲気に。長年連れ添っているパートナーや友人など、マチュアな世代でも照れずにプレゼントできる、遊び心とシックなムードが備わったブーケに束ねてもらった。
「空気感をまとったブーケが最近のトレンドです。そこに凹凸や草花の自然な線の流れを意識し、自分の得意なグレイッシュなトーンの花とグリーンを組み合わせるのが好きです」と語るのは、フラワーデザイナーの梶谷奈允子さん。

画像: 白とウッドを基調とした、クリーンで明るいムード。入りやすい雰囲気がうれしい

白とウッドを基調とした、クリーンで明るいムード。入りやすい雰囲気がうれしい

「FLOWER SHOP BIOTOP by zero two THREE」は、ファッションやコスメ、レストランなどを提案する白金台のランドマーク的存在である複合型ショップ「BIOTOP TOKYO」内に、今年の9月13日、新たにオープン。広い入り口から凜とした花々が出迎えてくれる。
 ホテルやラグジュアリーブランドの装飾やイベント装飾を手掛けていた「zero two THREE」。世田谷区深沢にアトリエを構え、そこで定期的に切花の対面販売を行なったり、オンラインでブーケなどの相談を受けていたが、以前よりBIOTOP TOKYOで個展を何度か開催していた縁で、創業以来初となるショップをオープンすることになった。「実は深沢にアトリエを構える前は、プラチナ通りの裏手に小さなアトリエを借りていたので、知らない土地じゃないんです」。
 当時のお客様が深沢のアトリエまでわざわざ足を運んでくれるなど、深く長い縁がさまざまに続いていると話す梶谷さん。「zero two THREE」ファンには待望のショップオープンだ。

画像: ディスプレイで旬やシーズンの草花の提案をしていく予定

ディスプレイで旬やシーズンの草花の提案をしていく予定

 店内に飾られている花や観葉植物も手がけ、観葉植物は販売もされている。下げ札には日当たり、水をあげる頻度など細かく記載があり、自分のライフスタイルを想起しながら、安心して購入できるよう、細かい気配りも。お客さまからは草花が長持ちすると評判で、梶谷さん自身も持ちのいい花々を仕入れるよう心がけていると話す。
 今後は店舗でウェディングブーケなど、花にまつわるさまざまな相談も受けられるようにする予定なのだそう。「今はまだ緊張もしますが、どんなお客さまにいらしていただけるのか、楽しみですね」と笑顔をのぞかせる。この秋は散歩がてら、切花からブーケまで、白金台の頼れる花屋を覗いてみてはいかがだろうか。

画像: 入口の大きな生け込みも梶谷さんが担当。足を留めてしまうこと間違いなしのダイナミックさだ

入口の大きな生け込みも梶谷さんが担当。足を留めてしまうこと間違いなしのダイナミックさだ

FLOWER SHOP BIOTOP by zero two THREE
フラワーショップ ビオトープ バイ ゼロ トゥー スリー
住所:東京都港区白金台4丁目6−44
定休日:木曜日
電話番号:03-3444-2894
営業時間:11:00〜20:00
公式インスタグラムはこちら

参考文献:『花と短歌でめぐる 二十四節気 花のこよみ』株式会社KADOKAWA
『くらしのこよみ 七十二候の料理帖』平凡社
山下景子『二十四節気と七十二候の季節手帖』 成美堂出版

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