かつて「性格俳優」は、あくまで助演という扱いにすぎなかった。しかし、今注目されている新しい世代の脇役たちは、目まぐるしく変化するハリウッドの中で、欠くべからざる存在となっている

BY BILGE EBIR, PHOTOGRAPHS BY EMILIANO GRANADO, TRANSLATED BY G. KAZUO PEÑA(RENDEZVOUS)

画像: マイケル・シャノン 米国では2017年秋に、日本では2018年3月1日に公開されたギレルモ・デル・トロ監督の『シェイプ・オブ・ウォーター』に続き、アメリカのケーブルTV局HBOが制作するレイ・ブラッドベリ原作の映画『華氏451』に、準主役として出演する GROOMING BY RHEANNE WHITE AT TRACEY MATTINGLY

マイケル・シャノン
米国では2017年秋に、日本では2018年3月1日に公開されたギレルモ・デル・トロ監督の『シェイプ・オブ・ウォーター』に続き、アメリカのケーブルTV局HBOが制作するレイ・ブラッドベリ原作の映画『華氏451』に、準主役として出演する
GROOMING BY RHEANNE WHITE AT TRACEY MATTINGLY

 そして今再び、性格俳優の定義が変化しつつある。この10年のあいだに、技術と才能をもった新しいタイプの役者が台頭してきたのだ。メンデルソーンやJ・K・シモンズ、ドン・チードル、マイケル・シャノン、アンディ・サーキスらは、現在活躍しているアーティストの中でも需要が高く、高い称賛も得ている役者たちだ。だが、俳優としては、かつての性格俳優とは対極にある。彼らは特定の役柄ばかりを演じるのではなく、あらゆる役柄を演じることができる。その技量があるからこそキャスティングされているのだ。彼らは自分の気配を消し、完全に役柄になりきると同時に、演技に印象的な何かを吹き込むことができる。正真正銘の「カメレオン」なのだ。

性格俳優たちはセレブリティと呼ばれる俳優とは違って、「ありのままの自分」を演じることもなければ、画面の中でエゴを表すこともない。また、毎年似たような役柄を引き受けることもない。中でも、前述の5人の俳優たちはじつに幅広い役柄に挑戦してきた。2014年の映画『セッション』でサティスティックな音楽教師を演じたシモンズは、この役でアカデミー賞を受賞した。メンデルソーンは、2015年の『スロウ・ウエスト』で、派手な賞金稼ぎ(バウンティ・ハンター)を演じた。シャノンは、2016年の『エルヴィスとニクソン 〜写真に隠された真実〜』で、実在する有名人エルヴィス・プレスリーを演じた。 サーキスは、2001年から2003年にかけての『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズで、あの有名な架空の生き物、ゴラムを演じている。演じる役柄が変わっていれば変わっているほど、唯一無二の役であればあるほど、俳優はいつまでも人々の記憶に残ることができる。

これらの俳優たちは、いわゆる二枚目ではない。また、本当に誰もがその名を知っているような存在かというとそうでもない。だが、大きな役から小さな役まで、あるいは何十億も叩きだすような大ヒット作から、ほとんど誰も観ないような小規模なインディペンデント映画まで、観衆は彼らを求めて映画を観るようになってきた。その多彩な才能は(ちなみに、彼らの才能は若いときに演劇で培ったものであることが多い)、あらゆるプラットフォームを網羅する活動範囲にもマッチしている。映画からテレビ、演劇、ビデオゲームの吹き替え、そしてときには保険のCMにまで出演する。ハリウッドは、つねに映画を支える職人のうえに成り立ってきた。だが、これらの俳優たちは、これまでの映画スターにとって代わって、映画界に必要不可欠な存在となった。それは、セレブという存在が昔のように金にならなくなったからでもある。

パラマウント・ピクチャーズ・コーポレーションの元重役でジャーナリストのピーター・バートは、2014年の『バラエティ』誌のエッセイの中で、「映画スターというものは絶滅危惧種になってしまった」と書いている。彼は今のこうした変化を予測し、スターとしての力量よりも、役者自身の順応性のほうがより価値のあるものになりつつあると指摘していた。それは俳優にとってもプロデューサーにとっても同じことだ。性格俳優は複数の作品に同時に出演できるため、より多様なキャリアを築き上げることに慣れている。結果、選んだ出演作のうちのいくつかが仮に大失敗したとしても、長い目で見れば俳優として成功することが可能なのだ。「歴史的にみても、いつも性格俳優たちがいちばん働いてきました」と、ベテランのキャスティング・ディレクター、スーザン・ショップメーカーは言う。「彼らは型にはめられないからこそ、いろんなところにしっくり収まることができるのです」

 

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