かつて「性格俳優」は、あくまで助演という扱いにすぎなかった。しかし、今注目されている新しい世代の脇役たちは、目まぐるしく変化するハリウッドの中で、欠くべからざる存在となっている

BY BILGE EBIR, PHOTOGRAPHS BY EMILIANO GRANADO, TRANSLATED BY G. KAZUO PEÑA(RENDEZVOUS)

画像: ドン・チードル 米空軍大佐ジェームズ・“ローディ”・ローズとしてマーベル・スタジオの4本の映画に出演し、今年、新作が公開される。現在は「ブラック・マンデー」(1987年の10月19日に起きた世界的株価大暴落)を題材にしたコメディー映画『Ball Street (原題)』を製作中 HAIR BY QUAN PIERCE, MAKEUP BY LINDA WHANG BOTH AT DION PERONNEAU

ドン・チードル
米空軍大佐ジェームズ・“ローディ”・ローズとしてマーベル・スタジオの4本の映画に出演し、今年、新作が公開される。現在は「ブラック・マンデー」(1987年の10月19日に起きた世界的株価大暴落)を題材にしたコメディー映画『Ball Street (原題)』を製作中
HAIR BY QUAN PIERCE, MAKEUP BY LINDA WHANG BOTH AT DION PERONNEAU

 こうした役者が台頭してきた背景にはさまざまな要因があるが、おもな理由としては、ここ20年でハリウッドのスターを生み出すシステムが崩壊したことが挙げられる。1980年代から90年代、映画スターのギャラが歯止めの利かないほど膨れ上がった結果、2000年代にその報いを受けることになった。ハリソン・フォード、トム・クルーズ、エディ・マーフィといった高額な俳優たちの出演作が、興行成績で著しく伸び悩んだ。成功しか知らない俳優と言われたウィル・スミスでさえ、全盛期だった90年代半ばの興行成績に達しようと必死に努力したものの、結果は遠く及ばなかった。

赤字に直面した映画会社は、しかし予算を削減するのではなく、ますます金をかけ、大がかりで贅沢なフランチャイズシステムを作り上げることに注力した。その多くは、すでに時代遅れとなった旧型のスターに代わる新しい有名人を生み出すためだけに計画されたものだった。こうして製作された映画のできばえはさまざまで、一部には確かにおもしろいものもあったが、プロットとキャスティングの面ではありきたりなものばかりだった。

 しかし、そのワンパターンさゆえに、これらの映画を世界中の市場に売り出すことは容易だった。シリーズものであれば、その中で最も駄作とされる作品でさえ桁外れに大きな興行収入を叩き出すことができた(例えば昨年公開された『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』は、映画レビューではあまり評判はよくなかったが、世界で850億円以上もの興行収入をあげた)。こうしたフランチャイズがハリウッドを支配し続ける中、評論家や目の肥えた観客を魅了するような、中規模の予算でまじめに作るドラマのための資金調達は、年々厳しくなっていった。

こうした中規模作品に大物スターの出演する機会も減っていった。スターたちはむしろ、世界的なセレブリティになるための努力に夢中だったからだ。そんな彼らに代わって出演することになったのが、ウィリアム・H・メイシーやポール・ジアマッティなどの性格俳優たちだ。「作品が自分のキャリアからすると小さ過ぎるのではと心配するより、むしろ創造的でやりがいのある仕事を追求できるので、性格俳優のほうが自分のキャリアをコントロールしやすい」とスーザン・ショップメーカーは言う。セレブのあり方が変わるにつれ、アメリカ国内における映画スターの定義も変わっていった。

 

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