かつて「性格俳優」は、あくまで助演という扱いにすぎなかった。しかし、今注目されている新しい世代の脇役たちは、目まぐるしく変化するハリウッドの中で、欠くべからざる存在となっている

BY BILGE EBIR, PHOTOGRAPHS BY EMILIANO GRANADO, TRANSLATED BY G. KAZUO PEÑA(RENDEZVOUS)

画像: アンディ・サーキス 卓越した技術をもつモーション・キャプチャー俳優。『ロード・オブ・ザ・リング』3部作のゴラム、新生『猿の惑星』シリーズのシーザーなどを演じた。2018年、実写版『ジャングル・ブック』では監督も務め、クマのバルーを演じている GROOMING BY JESSI BUTTERFIELD AT TRACEY MATTINGLY

アンディ・サーキス
卓越した技術をもつモーション・キャプチャー俳優。『ロード・オブ・ザ・リング』3部作のゴラム、新生『猿の惑星』シリーズのシーザーなどを演じた。2018年、実写版『ジャングル・ブック』では監督も務め、クマのバルーを演じている
GROOMING BY JESSI BUTTERFIELD AT TRACEY MATTINGLY

 映画産業では今、大きな分裂が起きている。公開予定の10年も前に株主総会で発表されるような、大手映画会社による大作と、1週間の上映期間で消えてしまう低予算のインディペンデント映画という両極端に、ますます二分されているのだ。そんな中、性格俳優だけはいよいよ主流になる一方だ。低予算の作品では、より複雑な役柄の主人公を演じて高い評価を受け、超大作映画(特にスーパーヒーロー映画)では薄っぺらな、場合によっては陳腐な役柄に魂を吹き込むその技術が頼りにされている。例えば前述のチードルは、ここ10年間に製作されているマーベル・スタジオの『アベンジャーズ』シリーズの中で、主人公の親友という脇役をすばらしく魅力的に演じた。メンデルソーンは、2016年の『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』の中で、一見ありふれた悪役を、独特のコソコソした感じで演じて印象を残した。シャノンは2013年に公開された『マン・オブ・スティール』で、遠い惑星からやって来たクレイジーな侵略者を演じて、観る者の心を動かす特別な演技を見せた。

食べ物やファッション、そしてSNSの中で「正真正銘の本物」がますます見つけにくくなっている現代において、いずれも何十年ものキャリアを誇るこれらの男たちは、「偽物」(これはハリウッドが一番好きな悪口だ)ではないと感じさせてくれる。むしろじっくりと、目的をもって育まれた存在のように思える。「leading men(看板男優)」と呼ばれる人々と比べるとなおさらだ。看板俳優たちは、その美しい容貌で限られた最高級の役を求めて争い、しかしどんな役を演じても、甘ったるい、現実離れした演技しかできないのだから。

 実際のところ、性格俳優の最も特徴的な性質は「演じている役柄を、より親しみやすい存在にする力だ」と、『シックス・センス』や『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』のキャスティング・ディレクターを務めたアヴィ・カウフマンは言う(一方、スターというのは近寄りがたい存在だ。欠点のある人間を演じていても、どこか完璧な印象を与えてしまう)。新たな成功モデルが見出されていないハリウッドにおいて、観客と評論家たちは平凡な2時間になりそうな映画の中で、性格俳優たちをせめてもの心の拠り所としている。演じている役柄がたとえ人間でなかったとしてもそうだ。この10年に撮られた『猿の惑星』で猿の主人公「シーザー」をモーション・キャプチャで演じたアンディ・サーキスは、CG技術によって完璧に猿に変身した。サーキスはその演技の中で、シーザーの葛藤――人間に対する激しい怒り、種族を守らねばという思いを、恐ろしいほどリアルに表現している。

 

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