社会派ドラマからコメディまでを飄々とこなす若き演じ手は、次の大きなステップに向けての助走を始めようとしている。その視線の先に見える新たな地平は、無限の可能性を秘めている。本誌掲載の3カットに加え、ウエブ限定カットもたっぷり公開!

BY SATOKO HATAKEYAMA, PHOTOGRAPHS BY YOSHIYUKI NAGATOMO, STYLED BY KOHTA KAWAI, HAIR & MAKEUP BY TOMOKATSU SATO

画像1: 磯村勇斗スペシャルインタビュー
瞳の奥に込められた感情で魅了する
稀代の表現者の現在地とこれから

 人物撮影のセオリーでは、被写体の顔、それも目にカメラのピントを合わせることが基本だといわれる。なぜなら人は、相手と向き合ったときに自然と目を見るようにできており、写真を見る際にもまっ先に被写体の目を認識するからだと。なるほど確かに静止画でも動画でも、我々は無意識に演者の目を見てこまやかな感情を追っている。それは今回のインタビューの撮影でもしかり。被写体の俳優は独特な目もとの表情で、その佇まいをいっそう際立たせていた。

画像: 「いろんな役をいただいて演じてきましたけれど、役作りを自分の中で切り替えることが大変だと思ったことは一度もないです」(磯村)。端正に仕立てられたチェスターコートに身を包み、カメラの前に立つ姿はすでに準備万端の様相だ。まとう空気も、しなやかな身のこなしも、いつのまにかその「モード」に入っていた コート¥780,000、ネックレス¥93,000/ディオール クリスチャン ディオール フリーダイヤル:0120-02-1947

「いろんな役をいただいて演じてきましたけれど、役作りを自分の中で切り替えることが大変だと思ったことは一度もないです」(磯村)。端正に仕立てられたチェスターコートに身を包み、カメラの前に立つ姿はすでに準備万端の様相だ。まとう空気も、しなやかな身のこなしも、いつのまにかその「モード」に入っていた
コート¥780,000、ネックレス¥93,000/ディオール
クリスチャン ディオール フリーダイヤル:0120-02-1947

 磯村勇斗は「目」の演技に惹きつけられる俳優だ。眼力(めぢから)が強いという直接的なものではなく、その目が見ている突端、すなわち視線の先にさまざまな感情をのせてくる。追い詰められたカルト集団のメンバー、殺されたヤクザの息子、恋人を翻弄する自由人など、複雑すぎる難役の感情を目もとで表現するその刹那、観ているこちらはその視線の先にある感情に心を揺さぶられ、物語に没入していく。

「人の身体の中心にはいくつかチャクラが存在するといわれています。喉だったりおなかだったり頭のてっぺんだったり。そして人それぞれにチャクラの得手があり、喉が得意な人なら声優や舞台役者に向いているというようになっている。思うに僕は、目のチャクラが強いタイプなのかもしれません。そこに感情をのせるのが得意な身体になっていて、プラスに考えると俳優に向いているということなんじゃないかと。そういう意味では自分の身体に感謝しています」。今までにも多くの人から同じようなことを言われてきたのだろう。自身の巧みな目もとの演技を、エネルギーが出入りする場所とされるチャクラの強さになぞらえるあたりが、なんとも謙虚ですがすがしい。

画像: コート、ネックレス(上の写真と同じ)、シャツ¥520,000、スウェットパンツ¥210,000、ソックス¥89,000(参考価格)・靴¥135,000/ディオール クリスチャン ディオール フリーダイヤル:0120-02-1947

コート、ネックレス(上の写真と同じ)、シャツ¥520,000、スウェットパンツ¥210,000、ソックス¥89,000(参考価格)・靴¥135,000/ディオール
クリスチャン ディオール
フリーダイヤル:0120-02-1947

 俳優を志したのは、中学生のときに映画を自主制作したことがきっかけだという磯村。高校、大学と舞台を中心に活動し、映画やドラマに出演。2015年『仮面ライダーゴースト』で注目され、2017年のNHK連続テレビ小説『ひよっこ』でヒロインの相手役を好演したことで、その存在を広く世に知らしめた。その後、硬軟織り交ぜた多彩な役どころで多数の話題作に出演しつづけ現在に至るが、驚くのは昨今の出演作の多さだ。2022年は出演映画が8 本も公開となるなど、俳優・磯村勇斗にとってのゴールデンイヤーともいえる状況になっている。前から「楽な道よりも茨の道を選ぶ」と公言している職人肌でもある。多演することが自身を鍛えることになっているのかと尋ねてみると、磯村はやんわりと否定してみせた。

「作品の公開がたまたま続いたというのが実情です。オファーをすべて受けて何でもやりますという姿勢では決してなく、脚本をじっくりと読んで出演を決めています。作品が扱うテーマであったり、台詞の一節であったり、何かの要素が自分の心情に刺さり、演じることが刺激的であるかどうかというのが選ぶ基準です。もしかすると何年か前の自分であれば、受けていなかった作品もあるかもしれません。時代は変わるし、日々の事象に対して思うことも更新されている。作品を選ぶ基準も、以前とは変わってきていると感じます」

画像: 「趣味をつくることで、日々の仕事との境界線ができ、リラックスできるんです」と、サウナや釣りなどに加え、服好きとしても知られる磯村。プレイフルなスタッズ使いが映えるスーツの着こなしも、ものの見事にぴたりと決まる ジャケット¥429,000、シャツ¥93,500、パンツ¥181,500、サングラス¥57,200、レザータイ(参考商品)、リング¥39,600/グッチ グッチ ジャパン クライアントサービス フリーダイヤル:0120-99-2177109

「趣味をつくることで、日々の仕事との境界線ができ、リラックスできるんです」と、サウナや釣りなどに加え、服好きとしても知られる磯村。プレイフルなスタッズ使いが映えるスーツの着こなしも、ものの見事にぴたりと決まる
ジャケット¥429,000、シャツ¥93,500、パンツ¥181,500、サングラス¥57,200、レザータイ(参考商品)、リング¥39,600/グッチ
グッチ ジャパン クライアントサービス
フリーダイヤル:0120-99-2177109

 コメディからシリアスな作品まで多様な役柄を演じる幅広さも磯村の持ち味だが、ここ数年は社会的なテーマを扱う作品での好演が光る。今年のカンヌ国際映画祭で早川千絵監督がカメラドール特別賞を受けた『PLAN 75』での演技も記憶に新しいが、自身は2021年の映画『ヤクザと家族 The Family』で「役として存在することを教えてもらった」ことが、意識を新たにしてくれたと振り返る。

「芝居の感覚的なことになりますけれど、あの作品を経たことで、現場での立ち居振る舞いや役との向き合い方への意識が変わりました。普通にふらっと現場に行って、そこで生まれるものを感じながら芝居をする。役のバックボーンや組み立てはもちろん事前に頭に入れておきますけれど、変に気負わなくても全然いいんだと。そのことを『ヤクザと家族』で、藤井道人監督や綾野剛さんに教えていただけたことも、僕の中では大きな経験になりました」

画像2: 磯村勇斗スペシャルインタビュー
瞳の奥に込められた感情で魅了する
稀代の表現者の現在地とこれから
画像3: 磯村勇斗スペシャルインタビュー
瞳の奥に込められた感情で魅了する
稀代の表現者の現在地とこれから

 バランスのとれた長身と見た目の若々しさから、ハイティーンや大学生の役柄を演じることもある磯村だが、9 月に満30歳を迎えたばかり。俳優としてのキャリアを着実に積み上げ、多くの媒体からの出演オファーが引きも切らない一方で、将来的には、制作やクリエイティブの領域にも関わってみたいともつけ加える。

「俳優としてどれだけの数の役を演じられるか、がむしゃらに頑張るしかないと思ってやってきましたが、同じぐらい裏方の仕事も好きです。役作りが俳優の仕事だとはいえ、その役は脚本家と監督が作り出すもの。今後もし伝えたいメッセージが自分の中に生まれれば、仲間を集めてイチから作品を作りたい気持ちはあります。テーマは身近なことや社会全体のことなど、温めているものはいくつかあって、ネタ帳にアイデアを書き出しています」

 20歳の頃に比べても見た目は大きく変わっていないので、40歳になってもそんなに変わらないだろうと、将来の自身の姿を笑いながら語ってみせた磯村。30歳を迎え、落ち着きのある大人の色香が増した人気俳優の視線の先には、作品の作り手として手腕を振るう未来の自身の姿も、すでに明確に見えているのかもしれない。

画像: 10月28日に劇場公開されるアニメ映画『カメの甲羅はあばら骨』では声優に初挑戦。「共演する清水尋也くんとの掛け合いも含めて、楽しんで演らせていただきました。声のみの出演で目もとの演技ができないぶん、チャクラは喉に移しましたから(笑)」 シャツ¥151,800、パンツ¥125,400、スカーフ¥38,500/ジル サンダー バイ ルーシーアンド ルーク・メイヤー ジルサンダージャパン フリーダイヤル:0120-919-256

10月28日に劇場公開されるアニメ映画『カメの甲羅はあばら骨』では声優に初挑戦。「共演する清水尋也くんとの掛け合いも含めて、楽しんで演らせていただきました。声のみの出演で目もとの演技ができないぶん、チャクラは喉に移しましたから(笑)」
シャツ¥151,800、パンツ¥125,400、スカーフ¥38,500/ジル サンダー バイ ルーシーアンド ルーク・メイヤー
ジルサンダージャパン
フリーダイヤル:0120-919-256

画像: 磯村勇斗(HAYATO ISOMURA) 1992年静岡県生まれ。2014年に俳優デビュー。『仮面ライダーゴースト』への出演を経て、2017年のNHK連続テレビ小説『ひよっこ』でブレイク。以後、映画、舞台、ドラマ、CMなどに多数出演。2022年9 月現在、『さかなのこ』『異動辞令は音楽隊!』ほか出演作が複数公開中。2022年12月にはNetflix『今際の国のアリス』シーズン2 に出演。全世界独占配信が決定している 公式サイトはこちら

磯村勇斗(HAYATO ISOMURA)

1992年静岡県生まれ。2014年に俳優デビュー。『仮面ライダーゴースト』への出演を経て、2017年のNHK連続テレビ小説『ひよっこ』でブレイク。以後、映画、舞台、ドラマ、CMなどに多数出演。2022年9 月現在、『さかなのこ』『異動辞令は音楽隊!』ほか出演作が複数公開中。2022年12月にはNetflix『今際の国のアリス』シーズン2 に出演。全世界独占配信が決定している
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