映画を支える才能と職人技に光を当てる新たな文化プラットフォーム「Cartier Cinema Club」。ヴェネツィア国際映画祭で始動したこの取り組みを通じて、カルティエは映画芸術の未来と文化遺産の継承を支援する

BY T JAPAN

画像: © Cartier

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 カルティエは、第83回ヴェネツィア国際映画祭を舞台に、新たな国際プログラム「Cartier Cinema Club(カルティエ シネマクラブ)」をスタートさせた。映画監督や俳優だけでなく、撮影監督や作曲家、美術、衣装デザインなど、スクリーンの表と裏で作品を支える多様な才能に焦点を当て、映画づくりに欠かせない協働の精神とクラフツマンシップを称える取り組みだ。

 2021年からヴェネツィア国際映画祭のメインスポンサーを務めるカルティエは、これまでも映画芸術との関わりを深めてきた。2022年にはヴェネツィア・ビエンナーレとのパートナーシップのもと、映画制作の舞台裏に迫るマスタークラスシリーズ「The Art and Craft of Cinema(映画の芸術と技術)」を開始。そして今年、その活動をさらに発展させるかたちで「Cartier Cinema Club」を立ち上げた。

 映画祭期間中には、映画をめぐる多彩なプログラムが実施された。マスタークラスでは、『ハムネット』でタッグを組んだ映画監督クロエ・ジャオと撮影監督ウカシュ・ジャルが、映像表現とクリエイティブな協働について語り合ったほか、作曲家・久石譲が、映画音楽が物語にもたらす力について考察を披露した。こうした対話を通じて、映画制作を支える専門分野の重要性が改めて共有された。

画像: ©Laurent Durieux for Cartier

©Laurent Durieux for Cartier

 また、映画『ラ・ラ・ランド』公開10周年を記念する特別企画「La La Land In Concert」も開催。映画上映とフルオーケストラによる生演奏を組み合わせたこのイベントには、監督のデイミアン・チャゼルと作曲家ジャスティン・ハーウィッツも参加し、作品を支えた音楽と映画づくりへのオマージュが捧げられた。

画像: 映画『上流社会』でカルティエのリングを着用したグレース・ケリー © D. Stock / Magnum Photos

映画『上流社会』でカルティエのリングを着用したグレース・ケリー
© D. Stock / Magnum Photos

 カルティエと映画との関係は、こうしたイベントにとどまらない。1926年公開の映画『熱砂の舞』で主演ルドルフ・ヴァレンチノが自身の「タンク」を着用して出演したことをはじめ、『上流社会』でグレース・ケリーが身につけた婚約指輪、『サンセット大通り』でグロリア・スワンソンがまとったブレスレットなど、カルティエのジュエリーは数々の名作映画とともに記憶されてきた。近年では、ウェス・アンダーソン監督作品『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』のために、メゾンのハイジュエリーアトリエが特別なロザリオの制作にも携わっている。

 さらにカルティエは、映画文化の保存と継承にも力を注ぐ。ジャン・コクトー監督『美女と野獣』公開80周年を記念した音楽プロジェクトを支援したほか、クロード・ルルーシュ監督の代表作『男と女』の公開60周年に向けた4Kデジタル修復にも協力した。映画という芸術が未来へ受け継がれるための取り組みもまた、メゾンの映画支援活動の重要な柱となっている。

画像: ©Franck WILS

©Franck WILS

 映画祭とのパートナーシップを象徴する存在が、「カルティエ グローリー トゥ ザ フィルムメーカー アワード」だ。カルティエとヴェネツィア国際映画祭が共同で授与するこの賞は、現代映画に独自の貢献を果たした映画人を称えるもの。トロフィーにはカルティエを象徴するパンテールヘッドがあしらわれ、パリのアトリエで職人の手によって製作される。これまでにリドリー・スコット、ウォルター・ヒル、ウェス・アンダーソン、クロード・ルルーシュ、ジュリアン・シュナーベルらが受賞しており、映画界における創造性と功績をたたえる重要なアワードとして位置づけられている。

画像: Photo courtesy of Fondazione Giorgio Cini

Photo courtesy of Fondazione Giorgio Cini

 カルティエの文化支援は映画だけに向けられているわけではない。ヴェネツィアでは、文化遺産の保全活動にも積極的に取り組んでいる。その代表例が、サン・ジョルジョ・マッジョーレ島にある野外劇場「テアトロ ヴェルデ」の修復支援だ。1950年代に建設されたこの劇場は、長らく十分に活用されていなかったが、カルティエはジョルジオ・チーニ財団とのパートナーシップのもとで修復プロジェクトを支援。劇場は2026年に国際演劇祭「ビエンナーレ テアトロ」のために一時公開され、今後の全面再開に向けて再生が進められている。建築、自然、舞台芸術が融合するこの特別な場所の保存は、カルティエが掲げるクラフツマンシップと文化継承への姿勢を象徴する取り組みでもある。

 ヴェネツィアで始動した「Cartier Cinema Club」は、今後パリ、ローマ、京都、ニューヨークへと活動を広げていく予定だ。映画をつくる人と映画を愛する人を結びつけ、作品の背景にある技術や創造のプロセスに光を当てるこの新たなプログラムは、カルティエが長年大切にしてきた創造性への敬意と、文化を未来へつなぐというビジョンを体現するものといえるだろう。

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