BY JUN ISHIDA
デザイナーが約3年周期で替わる現在のファッション界において、トーマス・マイヤーは稀有な存在だ。イタリアのラグジュアリー・ブランド、ボッテガ・ヴェネタのクリエイティブ・ディレクターを務めて今年で17年目。ブランドのオーナーを兼ねるデザイナーを除いては、これだけ長くひとつのブランドを率いることができるデザイナーはごくわずかだ。
常に“新しさ”が求められるこの世界で、トップを走りつづけることは容易ではない。プレ・コレクション、リゾート・コレクションを含めれば年4回のコレクション(メンズ、ウィメンズを手がけるトーマスにとっては、合わせて8コレクション)で人々の目を惹きつけ、絶え間ないイベントやプロジェクトで話題を提供しつづけなければならない。
2018年、ボッテガ・ヴェネタは新たな試みを始めた。ニューヨークに世界最大規模となる店舗<ニューヨーク・メゾン>をオープンし、これを記念してウィメンズ&メンズの合同ショーを同地で開催。そして同じタイミングで発表された2018年春夏コレクションの広告では、デジタル時代ならではの映像を主軸とした新しい形態のキャンペーンを打ち出したのだ。