ホルストン、ロシャス、スキャパレリなどを手掛けてきたデザイナー、マルコ・ザニーニ。ジャンルを超えて収集する多くの愛用品と、2つの異なるルーツについて語る

BY LINDSAY TALBOT, TRANSLATED BY CHIHARU ITAGAKI

画像: 「昨夏、北日本にあるお寺に行ったときの私。そこでは、いたるところで美を見つけ出すことができるのです」 COURTESY OF MARCO ZANINI

「昨夏、北日本にあるお寺に行ったときの私。そこでは、いたるところで美を見つけ出すことができるのです」
COURTESY OF MARCO ZANINI

「私はもともと好奇心の強い性格です。この性格のおかげで、ちょっと驚くような道を歩んできたのです」と語る、マルコ・ザニーニ。46歳になるデザイナーは、確かに過去10年間で多様なファッションブランドを手がけてきた。NYのブランド「ホルストン」を復活させたのちにフランスのブランド「ロシャス」へ移り、パリのクチュールメゾン「スキャパレリ」を手がけるに至った。スウェーデン人の母とイタリア人の父の元に生まれミラノで育った彼は、南ヨーロッパ的な色彩への情熱と、機能性やミニマリズムに重きを置く北欧的なクラフツマンシップを合わせた美意識の持ち主だ。日本の地下鉄からいにしえの著名アーティストまで、幅広いジャンルのものが彼に影響を与えている。彼のインスタグラムアカウント(@mzmarcozanini)は、そういった多岐にわたるイメージの集積だ。90年代ファッション、ブルータリズム建築、ヴィンテージ生地の端切れ、子どものおもちゃまでもがポストされている。そして、ミラノにある彼のアパートにも、サントーニで彼が発表するデザインにも、こういったすべてのものの影響を見ることができる。

 サントーニは1975年の創業で、手作業による靴作りに特化したブランドだ。だが、昨年マルコ・ザニーニがチームに加わって以来、メンズ&ウィメンズ・ウェアと小物(大半はユニセックスアイテム)の小規模コレクションを発表している。「サントーニ エディテッド バイ マルコ・ザニーニ」と銘打たれたコラボレーションラインだ。「最近では、『無駄かどうか』というのは極力無視するようにしているのです」と語る彼。その作品には、ガチョウの羽毛を手縫いでつけ加えたカシミアコート、ラズベリー色や栗色の日本製サテンをライナーとしてつけたミリタリー調のコットン製トレンチコートなどがあり、クチュールに匹敵するクラフツマンシップの高さが見てとれる。「私は、買うにしても作るにしても、ちょっとだけ余計に頑張る必要のあるものが好きなのです」

 しかし、マルコに影響を与えたものが多岐にわたっているにしても、彼は自分の原点を決して忘れない。彼の右前腕には矢の形のタトゥーが入っている。これは、彼の所有するロバート・メイプルソープの制作したオブジェをイメージしたものだ。左手には、木造の大型帆船のイラストのタトゥーがある。「この2つのタトゥーは、30代の頃にそれぞれストックホルムとミラノで入れたものです」と彼は言う。「その頃になって初めて、2つの異なる国とデザイン様式にルーツを持っている自分はなんて幸運なのだろう、と思ったのです」

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