アフリカはファッションの救世主となるか。栗野宏文がファッションの持つ力と希望をアフリカ・ナイジェリアの若手アーティストたち――カダラ・エニヤシや南アフリカのテベ・マググ、そして日本の新進ブランドとの交流から感じた、これから始まるものとは?

BY HIROFUMI KURINO, JUN ISHIDA(対談), PHOTOGRAPHS BY YUSUKE ABE

 今年度の新人デザイナー・コンペティション「LVMHプライズ」のグランプリ受賞者は、南アフリカのテベ・マググであった。LVMHプライズは、ルイ・ヴィトンを筆頭にラグジュアリー・ブランドを多数所有する巨大企業LVMHグループが新人ファッション・デザイナーの発掘と支援を目的に行うコンペティションで、審査員はグループ内のブランドのクリエイティブ・ディレクターと私のような外部スペシャリストからなる。

 今回は、同プライズで初のアフリカ人の大賞受賞となった。世界的にもアフリカが注目されている。54の国と3,000以上の民族が暮らす大陸、アフリカ。だが目的はその天然資源だ。サブサハラ地域には石炭、石油、金、銀、ダイヤモンド、ウラニウムが埋蔵されている。大国や大企業が言い寄っては借款させ、資源も収奪して、結局、地元の貧困は解決しない。19世紀半ばまでアフリカの国々は西欧の植民地であったが、21世紀もまた強大な資本主義支配下での新たな隷属状態を迎えかねない。

画像: ナイジェリアのアーティスト、カダラ・エニヤシのアート作品の前に立つ、FACE.A-Jに参加したアフリカ人デザイナーの服を身につけたモデルたち。着用ブランドは左からアニャンゴ・ムピンカ、ケネス・イゼ、テベ・マググ(右2体)

ナイジェリアのアーティスト、カダラ・エニヤシのアート作品の前に立つ、FACE.A-Jに参加したアフリカ人デザイナーの服を身につけたモデルたち。着用ブランドは左からアニャンゴ・ムピンカ、ケネス・イゼ、テベ・マググ(右2体)

 肌の色で優劣を決められ差別を強いられ奴隷という商品にされた時代があった。南アフリカで人種隔離政策が終わったのもわずか25年前。資源国が白人国だったら同じ状況になるのだろうか? 他人種や他民族を見下す視線が非人道的な開発や搾取へとつながる。ダイバーシティという概念は一般化してきたが、いまだにあらゆる人種的、性的、身体的視点で偏見は残り、世界に影響している。

 私がディレクターとして関わる「FACE.A-J(Fashion And Culture Exchange. Africa-Japan)」というプロジェクトはアフリカと日本のファッションとカルチャーの積極的な交流を通じて文化的、経済的な発展を両者にもたらすことを目標としてスタートし、この秋には東京とナイジェリアのラゴスでイベントを開催した。また、私は「テゲ」というエシカル・ブランドにも関わっているが、そちらはマサイ族のビーズ・クラフトやブルキナファソの手織り技術を次世代に残しつつ、地元に継続的な雇用を育てるためのプログラムである。

画像: FACE.A-Jで発表したテベ・マググの作品。南アフリカ・ヨハネスブルクを拠点とするウィメンズ・ブランドで、2015年に初コレクションを発表。2019年度のLVMHプライズグランプリを受賞した © JAPAN FASHION WEEK ORGANIZATION

FACE.A-Jで発表したテベ・マググの作品。南アフリカ・ヨハネスブルクを拠点とするウィメンズ・ブランドで、2015年に初コレクションを発表。2019年度のLVMHプライズグランプリを受賞した
© JAPAN FASHION WEEK ORGANIZATION

画像: ケネス・イゼはインスタレーション形式で発表

ケネス・イゼはインスタレーション形式で発表

 

This article is a sponsored article by
''.