名品の“最初と最新”ーー
カルティエの「リーブル ウォッチ」

First of Its Kind, Last of Its Kind(For Now) Vol.9 ー Cartier Liber watch
時代を超えて人々を魅了する名品たち。第9回は、カルティエの「リーブル ウォッチ」。その誕生秘話からブームに火をつけたスターのエピソード、そして最新作の大胆な仕掛けまで、名作の今昔物語

BY LINDSAY TALBOT, STILL LIFE BY MATTHEW AVIGNONE, TRANSLATED BY CHIHARU ITAGAKI

 時計の針が文字盤から宙に浮いて見えるミステリークロック。まるで魔法のようなこの時計を、カルティエが初めて世に出したのは1912年のこと。実際には、透明なロッククリスタルでできた2枚のディスクに針を取りつけているという仕掛けだった。半透明のクリスタルが再び流行していた時期だったこともあり、この時計は人気を集め、カルティエのハイジュエリー部門が誇る革新的な技術を象徴する存在となった。

画像: COURTESY OF HERITAGE AUCTIONS 映画『彼女の選んだ道』の宣伝スチールより、カルティエのブレスレットをつけた俳優のグロリア・スワンソン。ロッククリスタルとダイヤモンドでできたこのブレスレットを愛用していた

COURTESY OF HERITAGE AUCTIONS

映画『彼女の選んだ道』の宣伝スチールより、カルティエのブレスレットをつけた俳優のグロリア・スワンソン。ロッククリスタルとダイヤモンドでできたこのブレスレットを愛用していた

それから約20年後、1920年代を代表する映画スターのひとり、グロリア・スワンソンがカルティエのブレスレットを購入。ロッククリスタルとダイヤモンドでできたドーム型のパーツが連なったデザインで、留め具はついておらず、伸び縮みするブレスレットだった。色使いはワントーンで、中央が膨らんだ大ぶりのデザインだったため、ローレンス・オリヴィエと共演した映画『彼女の選んだ道』(1933年)の白黒スクリーンの中でもひときわ目を引いた。何しろスワンソンはゴージャスな女性だったので(ビバリーヒルズに24部屋もある豪邸を所有していた)、このカルティエのブレスレットも自身のトレードマークのひとつとして、映画の宣伝スチールやさまざまな授賞式のパーティなど、スクリーンの内外を問わず身につけていた。のちに、ビリー・ワイルダー監督による映画『サンセット大通り』(1950年)のノーマ・デズモンド役で映画界にカムバックしたときも、このブレスレットをワードローブに組み込んでいた。

画像: POST PRODUCTION BY PICTUREHOUSE + THESMALLDARKROOM カルティエの新作、カルティエ リーブル ウォッチ。K18ピンクゴールドにダイヤモンド、サファイア、ブラックスピネル、クリソプレーズ、レッドコーラルがあしらわれている。 カルティエ リーブル(参考商品)/カルティエ カルティエ カスタマーサービスセンター フリーダイヤル:0120-301-757

POST PRODUCTION BY PICTUREHOUSE + THESMALLDARKROOM

カルティエの新作、カルティエ リーブル ウォッチ。K18ピンクゴールドにダイヤモンド、サファイア、ブラックスピネル、クリソプレーズ、レッドコーラルがあしらわれている。
カルティエ リーブル(参考商品)/カルティエ

カルティエ カスタマーサービスセンター
フリーダイヤル:0120-301-757

 このスワンソンが身につけた1930年代のブレスレットからインスピレーションを得て制作されたのが、カルティエの新作ウォッチ「カルティエ リーブル」だ。ブランドの伝統である華麗なアール・デコ調のブレスレット型腕時計で、だまし絵風に三角形のモチーフがあしらわれたデザインは3タイプ展開。その中のひとつはピンクゴールドの地にレッドガーネットとブラックスピネル、グレームーンストーン、輝くダイヤモンドがあしらわれている。ストラップには伸縮性があり、くるりと裏返してリバーシブルで使用できる──表面は腕時計に、裏返せばブレスレットになる(ほかにサファイア、レッドコーラル、ブラックスピネル、クリソプレーズ、ダイヤモンドをあしらったバージョンと、ロジウム仕上げのホワイトゴールドの地にダイヤモンド、ブラックスピネルなどをあしらったモノトーンのモデルがある)。このなんとも大胆な仕掛けには、ノーマ・デズモンドだって大満足するに違いない。

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