BY OGOTO WATANABE, PHOTOGRAPHS BY SHINSUKE SATO(STILLS)
「着ていて楽なのに、だらしなくならず品がよい。」「ほどよい抜け感と、モード感のバランスが絶妙」2019年のデビュー以来、周囲のマチュアな女性たちのリアルクローズのスタメンとなった、COGTHEBIGSMOKE(コグ ザ ビッグスモーク)。
シーズンレス、サイズレス、エイジレス、トレンドレス、シーンレス、エフォートレス。サイズはワンサイズのみ、ジャージ素材にフォーカス。‟LESS“をキーワードに、全方向への心地よさを体現するコグ ザ ビッグスモークの服。さらりと着れば、肩の力は抜けているのに、どこかピシッと筋の通った端正さや気品が漂う。着心地はほどよくリラクシング、気分はアクティブ。1枚の服に、相反する要素が絶妙なバランスで共存する。
コグ ザ ビッグスモークの服は、自由だ。着るシーンを限定せず、着る人の意志で1着の服をいかようにも楽しめる。例えば、飛行機の座席でもくつろげて、降り立ったらそのまま仕事に直行もできるし、アクセサリーを大ぶりなものに変えればディナーにも向かえる。そんなことが可能なのは、多彩に多様に対応できるテイストを見極め、素材を選び抜く目があらばこそ。
「コグ ザ ビッグスモーク」を立ち上げようと思ったきっかけは、全てが平均化されたものへの反発のようなもの」と、デザイナーのNORIKO. Iは言う。日本で長年、バイヤー、デザイナーとして活躍した後、渡英。イギリスのオーセンティックなブランドのいくつかでディレクションやデザインを手がけ、研鑚を積んだ。「多民族でマルチカルチャーな社会は誰も同じものを求めていない。違っている事がむしろ肯定的な環境で、本当に自分が欲しい物が見えてくるところです」
彼女はまず、平均的なルールにとらわれず、「自分が着たいと思うサイズ感」でファーストサンプルを作った。「驚いたことに、私が似合うのは当然ですが、それを全くサイズ感の違うスタッフが着ても、私とは別物の、彼女に似合うスタイルになるのです」
日本ではサイズが平均化され、それゆえに自分らしいフィット感を見つけることが難しい、とNORIKO.Iは言う。「サイズ表示があることで人はそれにとらわれてしまって、自分が良いと思う似合うシェイプを見出すというアビリティを失っていると思ったのです」
コグ ザ ビッグスモークは、ワンサイズのみ。でも、着てみると不思議と“その人ならばこそのたたずまいの美しさ”が引き出される。着心地は楽なのに、きれいに見える。マチュアな世代の身体を驚くほどすっきりと美しく見せてくれるのだ。
「洋の東西、年齢、体型を問わず、女性は‟首“と名の付く身体のパーツのサイズはたいして変わらないということ。そして、どんなにエクストリームなサイズ感でも、楽ちんでも、基本の”首“と名の付く部分をきちんと抑えておけば、華奢に見えるのです」とNORIKO. I。
流行、TPOやシーン、サイズ、年相応であることetc…。見えないけれども私たちをとり囲んでいる“既存の枠”を、コグ ザ ビッグスモークの服は、軽やかに外していく。
「決まりを作らず自由に、今着たいと思うものをデザインしています。また、パターンを自分で引くので、人に伝えるための絵に描いたデザインをする必要がなく、やっているうちにできてくるデザインばかり。それも、ルールにとらわれず自由に形を造れる理由のひとつかもしれません」
“個々の個性や工夫で素敵に効率的に”という考えは、社風にもなってるそうで、「洋服だけでなく、働き方でも、‟しなくて良い苦労はしない“という考えのもと、いかに‟質の高い楽”をするかということを追求しています」とNORIKO. Iは語る。
「COG」とは、NORIKO.Iが世界中を一緒に旅してきた小さな熊のぬいぐるみの名前だ。旅の果てにたどり着いたクリエーションの拠点であるロンドンのニックネーム「THE BIG SMOKE」をつなげたのが、ブランド名の由来だそうだ。
エフォートレスに、気持ちよく。既存の枠をしなやかに外し、いつもどこに在っても、自分自身を軸に、軽やかに生きる。まさに、酸いも甘いも嚙み分けた大人である“今”を謳歌するための服である。
コグ ザ ビッグスモーク
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