BY LINDSAY TALBOT, PHOTOGRAPH BY MARI MAEDA-OBOSHI AND YUJI OBOSHI, TRANSLATED BY CHIHARU ITAGAKI

(右上)ペイズリーモチーフのクリップ ペンダント。1966年製。
(中央)アーカイブ作品が着想源のリング「シャルム ドゥラジャスタン」(参考商品)/(ヴァン クリーフ&アーペル)
ヴァン クリーフ&アーペルル デスク
TEL.0120-10-1906
1906年の創業以来、ヴァン クリーフ&アーペルは世界中の顧客を惹きつけ、ヨーロッパや中東の王族たちのジュエリーを手がけてきた。インドのマハラジャたちの特注も受け、たとえば1924年には、ルビーとサファイアでヒンドゥー教の神ヴィシュヌとブラフマーを描いたブレスレット(のちにブローチに変更)を制作。その2 年後には、フランス系アメリカ人ソーシャライトのデイジー・フェローズが、ティアドロップ型エメラルドとダイヤモンドを飾ったインド風カフブレスレットを注文している(1928年にはお揃いのブレスレットも制作。先のと組み合わせるとチョーカーになる仕組み)。そして1947年には、創業者のアルフレッド・ヴァン クリーフの義兄、サロモン・"シャルル"・アーペルの甥にあたるクロードとピエールのアーペル兄弟が、その後何度も訪れることになるインドへ初めて旅行する。そこで宝石の調査中、彼らは市バザール場の鮮やかな色彩や、サフラン色のローブドレスにも魅了された。おもにNYで暮らしていたクロードは日記にこう書きつけた。「中庭はあらゆる色の宝石に覆われている。その輝きに一瞬目がくらんだ……象の頭をかたどった宝飾つき短剣。重くてつけにくいほどの、エナメル加工のアンクレットやブレスレット。戴冠式用の王冠や、ありとあらゆるデザインのペンダント。そういったものが展示されていた。胸を打つものがあった」。帰国した兄弟は、インドで見た美術品の緻密さに影響されたデザインを手がけるようになった。カボションカットのエメラルドがつき、ターバンを巻いてリュートを奏でる人の形のクリップ「ラージャ(王)」や、ルビーやダイヤモンドで飾ったイエロー&ホワイトゴールド製ペイズリーモチーフのクリップなどだ。
クロードが「ジュエル サファリ」と呼ぶ精神で、ヴァン クリーフ&アーペルは近年、ハイジュエリーコレクション「宝島」を発表。なかでも傑作が「シャルム ドゥ ラジャスタン」だ。11.31カラットのダイヤモンドとバフトップ(カット技法のひとつ)を施したルビーで花のように見せており、ムガル帝国期(1526〜1857年)の華麗な花模様を思わせる。これにはさまざまな大きさや形の石と折り畳んだ金箔を象ぞう嵌がんするいにしえの技法、クンダンを用いている。優雅で斬新なこの指輪があれば、冒険心の赴くままにどこへでも行けそうだ。
PHOTO ASSISTANT: CALEB HENDERSON. POSTPRODUCTION: JUSTIN COHEN. ARCHIVAL IMAGE: COURTESY OF THE VAN CLEEF & ARPELS COLLECTION
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