フードライター北村美香が自信をもっておすすめする美味の店。その技と思いを凝縮した「食べるべきひと皿」とともに、おいしさの理由をひもとく連載第12回

BY MIKA KITAMURA, PHOTOGRAPHS BY YUKO UEHARA

 ここの人気はランチプレートだ。日替わりで、まるで絵画のように彩り豊かに盛られている。「食材の味がきちんと伝わるように料理することを心がけて、自分が食べたいものを作っています。和食がベースですが、旅したときの思い出の味もプラスしています」。野菜も調味料もオーガニックのものを使っている。キッチンにはクミン、コリアンダーなどのスパイスが並ぶ。

画像: 瀬戸さんが選んだアーティストの作品を期間限定で展示。この日は、友人の写真家の作品のチャリティー展示だった

瀬戸さんが選んだアーティストの作品を期間限定で展示。この日は、友人の写真家の作品のチャリティー展示だった

 写真のランチプレートは、自家製がんもどき、人参のサラダ、ひよこ豆のペースト、赤キャベツのピクルス、旬の蒸し野菜、パクチータヒニソースに玄米ごはん。どの料理も食材の味が際立ち、やさしい味わいだ。野菜の切り方ひとつ、味の決め方ひとつとっても、丁寧に作られているのが伝わってくる。和食を基本に、人参のサラダにはシナモンを忍ばせ、タヒニソースはごまのペーストに香菜、レモン、オリーブオイルを加えることで味に奥行きが生まれる。肉や魚がなくても、ボリュームも、味わいの豊かさにも充分な満足感を得られる。ランチは金・土・日のみ。とても人気なので、電話して予約をするほうが安心!

画像: ランチプレート¥1,600 日替わりで、高黍バーグやコロッケ、季節の野菜料理に小豆と黒米入りの玄米ごはん

ランチプレート¥1,600
日替わりで、高黍バーグやコロッケ、季節の野菜料理に小豆と黒米入りの玄米ごはん

 ランチをおすすめしたのにと言われそうだが、私はもっぱらここの夜のコースを楽しんでいる。旬の食材でのコース仕立ては秀逸で、今年になって一汁四菜の定食も始めた。瀬戸さんが選ぶ自然派ワインが、料理の味にぴったり寄り添う。

画像: 夜のコース料理から。左は「里いものフライ」。蒸して昆布だし、みりん、しょうゆを半日含ませてから揚げる、右は「春菊と柿の白和え」。ワインはポルトガル産ヴィーニョヴェルデの自然派。右は唐津の作家、府川和泉の高台。器好きで、「お店をやっている理由のひとつに、器をたくさん買えるから」と笑う

夜のコース料理から。左は「里いものフライ」。蒸して昆布だし、みりん、しょうゆを半日含ませてから揚げる、右は「春菊と柿の白和え」。ワインはポルトガル産ヴィーニョヴェルデの自然派。右は唐津の作家、府川和泉の高台。器好きで、「お店をやっている理由のひとつに、器をたくさん買えるから」と笑う

「人が健やかに暮らしていれば、地球の健康にもつながっていくはず。お母さんの味のようにここに来ると元気になる、と言われるごはん屋さんでありたい」と瀬戸さん。母親が作ってくれる食事には愛と信頼が詰まっている。瀬戸さんの料理にも同じ愛が詰まっていると思う。

mique(ミケ)
住所:東京都目黒区東が丘2-10-16 1階
営業時間:12:00~16:00(LO15:30。金・土・日曜のみ)、18:00~21:30(LO21:00。火・水・木曜のみ)
定休日:月曜
※ 完全予約制のコース料理は随時受付
電話: 090(3432)0960
公式サイト

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