BY MIKA KITAMURA, PHOTOGRAPHS BY YUKO UEHARA
気のおけない友人とおいしいワインでゆったり過ごしたいとき。疲れたなあと思うとき。予約の電話を入れるのは、駒沢にあるヴィーガンレストラン「mique(ミケ)」だ。ヴィーガンとは、ベジタリアンとも一線を画し、肉や魚、乳製品、卵、はちみつなど動物由来の食材をいっさい食べない人のこと。だしや調味料にも動物由来のものは使わず、たんぱく質は豆や雑穀、ナッツ類で摂る。
4年ほど前、NYに住んでいる友人がミケを教えてくれた。「NYでヴィーガン料理を学んだすごくセンスのよい女性がオーナーで、それはそれはおいしいの!」と、これまたセンス抜群の彼女が言うのだから間違いない。訪れてすっかりファンになり、以来通っている。
我が家からは少し遠い住宅街にあるが、駅から徒歩2分ほどなので、繁華街の駅にある店より、ずっとストレスフリーで到着できる。大きなガラス窓の前にはオリーブなどのグリーンがそよぎ、ドアを開ければ、カウンターと4人掛けのテーブルが1卓、ひとり用のミニテーブルがひとつ。カウンターの奥で、オーナーでありヴィーガン料理人の瀬戸恵子さんが迎えてくれる。
瀬戸さんは、父親の仕事の関係で幼少期と16〜18歳をドイツで過ごした。その後、24歳までパリやニューヨークで暮らし、NYの美大を卒業して帰国した。広告代理店でアートディレクターとして活躍していたが、東日本大震災を経験したことがきっかけで、食を通して社会貢献できればと、NYにある自然食の料理学校「Natural Gourmet Institute(ナチュラル グルメ インスティテュート)」に入学。ここでヴェジタリアン&ヴィーガン料理から地球の環境問題まで学んだという。NYのヴィーガンレストランなどでスタジエを経験したのちに、荏原中延で2015年に店をオープン。そして2017年、現在の駒沢に移転した。