料理やお酒を家で楽しむことが、より一層求められている昨今。季節の野菜が持つ本来の美味しさを引き出すことを知り尽くしている料理家・平野由希子さんが、いま食べたい野菜で作る魅惑のお料理と、相性のよいお酒のペアリングを、時代のトレンドに合わせた視点で提案。連載第6回は、暑い日が続く夏こそ美味しくいただける青パパイヤをフィーチャー!

BY YUKIKO HIRANO

【今月の野菜とお酒:青パパイヤとクラフトジン】

画像: 沖縄や鹿児島のほか、千葉、埼玉、茨城、高知、大分など日本各地で青パパイヤ栽培が盛んになっているという

沖縄や鹿児島のほか、千葉、埼玉、茨城、高知、大分など日本各地で青パパイヤ栽培が盛んになっているという

 青パパイヤといえば、すぐに思い浮かぶのはタイのサラダ「ソムタム」で、エスニック料理用の輸入食材というイメージがあるが、近年、国産青パパイヤが増えているのはご存知だろうか。「青パパイヤは消化・代謝をアップして免疫力を高める酵素の含有量が野菜と果物の中で最も多く、『酵素の王様』とも呼ばれているスーパーフード。無農薬栽培が可能で、高いところに実がつくので獣害に晒される危険も少ない。そんな要因が重なり青パパイヤ栽培に乗り出す農家は各地で増え、日本の田園風景の中にパパイヤ畑が出現しているのだそう。そんな光景は、変わりゆく農業の象徴のよう。こうした背景をもつ作物は、消費者として応援をしていきたいですね。新しい野菜や果物は食卓に浸透するのがなかなか難しいけれど、青パパイヤは生でよし、煮ても炒めてもいい。エスニック料理でビールもいいけれど、今回はクラフトジンを合わせることで、青パパイヤの魅力に迫ります」(平野さん)

レシピ1:青パパイヤときゅうり、ハムのサラダ

 青パパイヤのサラダに合わせるのは、コリアンダーやオレンジピールが香るトスカーナ産のスペシャルなオーガニックジン。「マヨネーズやタルタルソースにジンを加えるのは私のお気に入りの手法。今回は、あえてサラダはシンプルに作り、ジンが調味料の代わりとなるようなペアリングです」(平野さん)。一見ありふれた料理に見えるけれど、予想を裏切ることを約束しよう。これぞ、大人の野菜と酒の楽しみ方だ。

画像: エスニックにしがちな青パパイヤだが、ハムときゅうりを加えたシンプルなサラダに。そこにジンを合わせることで深みのあるハーブのような香りが広がり、真夏にぴったりの味わいが生まれる

エスニックにしがちな青パパイヤだが、ハムときゅうりを加えたシンプルなサラダに。そこにジンを合わせることで深みのあるハーブのような香りが広がり、真夏にぴったりの味わいが生まれる

<材料 2〜3人分>
青パパイヤ1/2個、きゅうり1本、ロースハム3枚、マヨネーズ、ディジョンマスタード 各大さじ1

<作り方>
 青パパイヤは皮をむき、種を取り除き、スライサーで千切りにし、水に10分さらす。きゅうり、ハムも千切りにする。
 1をマヨネーズ、ディジョンマスタードで和える。

画像: 青パパイヤは水にさらすだけで、生で食べられる。独特の食感がサラダの中で存在感を放つ

青パパイヤは水にさらすだけで、生で食べられる。独特の食感がサラダの中で存在感を放つ

レシピ2:青パパイヤと豚肉のナンプラー炒め

 弾力のある歯応えが魅力の青パパイヤを、相性のいい豚肉とナンプラーで炒めものに。生姜を効かせた味わいはご飯にもビールにも合うが、ジンとの組み合わせは最強。「ジンが口中をさっぱりさせてくれるとともに、ジンのもつボタニカルな風味が料理に奥行きを与えてくれます。一口食べては、ジンをくいっと飲み、エンドレスのループが始まります」(平野さん)

画像: 青パパイヤは冬瓜の調理法が応用できる。エスニック素材との相性もいいが、ハーブを組み合わせてイタリアンやフレンチにも

青パパイヤは冬瓜の調理法が応用できる。エスニック素材との相性もいいが、ハーブを組み合わせてイタリアンやフレンチにも

<材料 2〜3人分>
青パパイヤ1/2個、豚バラ薄切り肉150g、長ねぎ1/2本、生姜1かけ、赤唐辛子1本、ごま油大さじ1、塩、こしょう各少々 A<ナンプラー大さじ1、酒大さじ1、砂糖小さじ1>

<作り方>
 青パパイヤは皮をむき、種を取り除き、厚さ5ミリ程度のいちょう切りにする。長ねぎは斜め1センチ幅、生姜は千切り、唐辛子は種を取って半分に切る。豚バラ肉は食べやすい大きさに切り、塩、こしょうをふる。
 フライパンにごま油、生姜、唐辛子を入れて熱し、豚肉を炒める。色が変わったら、青パパイヤ、長ねぎを入れて炒め、パパイヤが透き通ってきたら、<A>の調味料を入れて炒める

【今月のお酒セレクト:レヴァンテ・スピリッツ  ジネプライオ ジン】

画像: PHOTOGRAPHS:COURTESY OF YUKIKO HIRANO

PHOTOGRAPHS:COURTESY OF YUKIKO HIRANO

 世界的に続くジンブーム。このトスカーナ産のジンは、なんとアンフォラで6ヶ月熟成させている。「アンフォラとは、古代ローマ時代からワインの醸造・貯蔵に使われてきたテラコッタ製の壷のこと。これで熟成させることで、よりエレガントな仕上がりになっています。トスカーナ産の7種の植物(ジュニパー、コリアンダー、アンジェリカルート、スイートオレンジピール、カレープラント、レモンピール、ドッグローズの花弁)でつくられた100%オーガニックのお酒で、シトラスの余韻のある風味が特徴的です」(平野さん)

平野由希子
素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評のある料理家。書籍や雑誌、広告で活躍するかたわら飲食店のプロデュースや商品開発も手がける。日本ソムリエ協会認定ソムリエで、ワインバー「8huit.」のオーナーでもある。ワインと料理のペアリングが楽しめる料理教室も主宰。公式サイトはこちら

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