TEXT&PHOTOGRAPHS BY JUNKO AMANO
観光客や外国人ツーリストも戻ってきて、本格的に賑わいを取り戻してきた京都。今回は、並んででも食べたい、斜め上いく立ち食いそば店を紹介します。
下木屋町の「suba」

紅しょうがと白味噌のペーストを添えた「国産牛ホルモンと黄ニラのそば」¥1,300
2021年大晦日にオープンして以来、連日賑わう立ち食いそば店「suba」。京都でわざわざ立ち食いそば?と思う方もいると思いますが、京都に来た友人たちが、食いしん坊のみならず、感度の高い大人たちもこぞって”今、行きたい店”として名前を挙げる話題の店です。

簡素ながら目を惹く店構え
店を開いたのは京都で飲食店を展開する鈴木弘二さん。食×カルチャーの融合を得意とし、7年前に開いた「sour」はフレッシュフルーツを使ったサワーブームの火付け役となり、東京のアパレルショップやホテルなどでもポップアップショップが開催されるほど話題になりました。
最新店舗となる「suba」も、従来の立ち食いそば屋とはまったく違ったスタイルに。店舗は建築家・関祐介氏がデザイン、そばの鉢は滋賀県の「NOTA_SHOP」が制作、ユニフォームである法被はデザイナー尾崎雄飛氏が担当と、ミニマルな店に見えて計算づくのかっこよさ。

サイドも必見。テーブルがわりに置かれた橋本知成氏の陶芸作品
極めつけはテーブルがわりに置かれた陶芸作家・橋本知成氏の作品。「美術作品を飾るんじゃなく、その上で食すっておもしろいじゃないですか」と、鈴木さん。美術館に展示されていてもおかしくない大作を知らない人同士で囲んでそばをすする光景は斬新すぎる。

陶芸作品ゆえ表面もフラットではなく、鉢を置くとつゆがこぼれそうなほど傾いてしまうのもご愛敬
さらに出てきたそばも、オリジナリティーあふれる食材使いや大胆な盛りつけ方で、フォトジェニック。

器からはみ出すほど、大ぶりエノキの天ぷらがのった「エノキダケ天そば」¥700
一般的な立ち食いそばはさっと食べて店を出ていく人が多いため、つゆを残すことが前提で色も味も濃く作られているという説もあるが、こちらのそばつゆは、昆布と数種類の削り節で取った出汁がベースの、飲み干したくなるおいしさ。京都のうどんに通じるしみじみとした味わいだ。

コンビニのようなフィルム包装された本日のおにぎり。玄米焼き鮭や季節の炊き込みご飯など、4種類ほど各¥300
suba(すば)
住所:京都市下京区木屋町通松原上る美濃屋町182番地10東
営業時間:12:00~23:00(L.O.22:30)
定休日:不定休
TEL. 075(708)5623
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天野準子
生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント