BY YUKIKO HIRANO
独特のぬめりが特徴のなめこは、食用とされているのは日本だけ。味噌汁、なめこおろし、鍋物あたりが定番で、それはそれで愛すべき存在なのだが、つい決まりきった料理になりがち。ところが今回は、なめこをフレンチにアレンジ! 使うのは、最近よく見かけるようになった食感も味もしっかりした「株つきなめこ」だ。「決して奇をてらったわけではないんですよ。なめこはぬめりがあるけれど、フランスでよく食べられているジロール茸に共通する風味があります。しっかり炒めたり、とろみを生かすようにクリームソースを作ったら、これまでのきのこ料理とはひと味もふた味も違う料理になりました。ワインを合わせてみたら、なめこの新鮮な魅力を発見できますよ」(平野さん)
レシピ1:なめこのベーコン炒め
ぬめりが少なくなるくらいまで炒めると、水分が飛び、旨味が凝縮。シンプルに炒めるだけなのに、なめこがワインおつまみの顔に変わる。
<材料 2人分>
なめこ(株つき)200g、にんにく1かけ、ベーコン2枚、イタリアンパセリ(粗みじん切り)大さじ2、オリーブオイル大さじ1、塩、こしょう
<作り方>
1 なめこは石づきを切り落とす。にんにくはみじん切りにする。ベーコンは1センチ幅に切る。
2 フライパンにオリーブオイル、にんにくを入れて熱し、香りが出てきたら、ベーコン、なめこを入れて、塩、こしょうをふっていためる。中弱火で2〜3分、なめこがひと回り小さくなるまで炒め、イタリアンパセリを加え混ぜる。
レシピ2:なめこと鶏肉のクリーム煮
なめこと生クリームの相性がよいなんて! なめこのとろみで濃度もつき、軽やかなソースに仕上がるから驚きだ。
<材料 2~4人分>
鶏むね肉2枚、なめこ(株つき)200g、舞茸1パック、玉ねぎ1/2個、白ワイン1/4カップ、生クリーム1カップ、バター大さじ2、塩、こしょう、ナツメグ
<作り方>
1 鶏むね肉は斜め半分に切り、塩をふる。なめこは石づきをとり、小房にわける。舞茸も小房に分ける。玉ねぎは薄切りにする。
2 フライパンにバター大さじ1を熱し、玉ねぎを入れてしんなりするまで炒める。なめこ、舞茸を加えて、塩をふって1分ほど炒めたら取り出す。
3 同じフライパンにバター大さじ1を加えて、鶏肉を表面の色が変わるくらいまで中火で焼く。
4 白ワインを加えてひと煮たちさせたら、生クリームを加える。生クリームが煮立ったら、2を加えて弱火で3〜4分煮る。
5 塩、こしょう、ナツメグで味を調える。
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フランス南西部の若いカップルが手がける、センス溢れるナチュラルワイン。赤白10品種のぶどうを混ぜて作っているのに、心地よい透明感を持ち、一つの方向にまとまっている。柔らかな酸の旨味が特徴だ。「大好きな作り手のワインです。なめこでフレンチという不思議な料理に、白でも赤でもないこの魅力的なワインを合わせてみました。思った通り、しっくり。今までにない組み合わせになりました」(平野さん)
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平野由希子
素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評のある料理家。書籍や雑誌、広告で活躍するかたわら飲食店のプロデュースや商品開発も手がける。日本ソムリエ協会認定ソムリエで、ワインと料理のペアリングが楽しめる料理教室も主宰。
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