TEXT & PHOTOGRAPHS BY JUNKO AMANO
木屋町松原「The sunset beach」

「ホタテととり貝とアジのてっぱい」¥1,400
「The sunset beach」という店名を聞いて、「海に面していない京都市内でなぜ?サーファーがやってるカフェっぽい」と思っていたら、その正体は大人の居酒屋。「海が好きなこともあるんですが、かっこいい店名つけるのが小っ恥ずかしくて、ふざけちゃいました」と、笑う店主・四方大輔さん。
「鴨ロースと新ごぼう」や「松茸フライ」、「うなぎのタレ焼きなど、割烹ライクな素材ありきの一品もそろい、料理は、大衆居酒屋とはひと味違う、日常以上ハレの日未満なラインナップに。それでて、立ち飲みカウンターも備え、Tシャツに短パン、ビーサンといったビーチに行くようなラフな格好でふらりと立ち寄れる、そんな気負わなさも、今っぽい。

京都の人気居酒屋店出身の四方大輔さん。コンクリートブロックを積み上げたカウンターはビール一杯から楽しめる立ち飲みで利用できる
お品書きは、昔ながらの居酒屋や割烹に多い値段を書かないスタイルに。一人客にはポーションを小さくしたり、人数に合わせて調整して出してくれる。
辛子酢味噌で魚介や野菜を和えた、京都の家庭や居酒屋ではお馴染みの「てっぱい」は、ホタテやトリ貝、アジ、九条葱、玉ねぎ、茗荷など、具だくさんでサラダ感覚で食べられるよう仕立てたり、どの料理も無難に終わらず、ひと手間やひとひねりにそそられる。

「鮎のコンフィ・スパサラ」¥1,000
鮎のコンフィをのせた冷製カッペリーニは、居酒屋風に「鮎のコンフィ・スパサラ」とメニューに書かれているのもおもしろい。パスタは和だしや鮎の魚醤、すだちの果汁を使い、さっぱり和風に仕上げてあり、風味豊かな鮎のコンフィやさわやな香りの花穂紫蘇を豪快に混ぜていただきたい一品だ。
アルコールも、ワインやハイボール、焼酎など、居酒屋らしく守備範囲が広いが、なかでもイチオシは、生ビール。こちらでは、注ぎ手の技術を要する、昭和初期から30年ごろまでよく使われていたスイングカランと呼ばれるビールサーバーで二度注ぎされる。

スイングカランのビールサーバー。1度目に注ぐ際はあえて泡を溢れさせる
1度目に勢いよく注いだ時にできる荒い泡を捨て、2度目に注ぐ際にきめ細かいもっちりとした泡のみを足すことで、驚くほどクリーミーな口当たりに。泡と液体の一体感も楽しめ、スルスルごくごくと飲めてしまう。
店のお向かいには、最近東京進出を果たした立ち食いそば店「suba」やワインとコーヒーのスタンド「sumi」があったり、四条〜五条界隈は、ここ数年、飲食店が増えているエリアであり、はしご酒もオススメだ。

13種類のハーブやスパイスで漬け込み、ビールが進む味わい。「TSBフライドチキン」¥1,000、スイングカランで注ぐ生ビール¥800

ライブ感溢れるオープンキッチンのL字カウンター。小上がりのテーブルや2階には個室もあり

古民家風情が残る2階の個室
「The sunset beach(ザ サンセット ビーチ)」
住所:京都市下京区材木町423-2
営業時間:18:00〜23:00(22:00フードLO)
定休日:日曜・月曜
TEL. 080-4914-8949
公式サイトはこちら

天野準子
生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント
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