RECEPI BY TOMOKO NAGAO, PHOTOGRAPHS BY TAKAKO HIROSE, TEXT BY MIKA KITAMURA

器に煮込んだ具材を盛り、スープは別のボウルに盛ってこしょうを挽きかける。マスタードは2種類を同量ずつ混ぜ合わせて、切り分けたパンと共にテーブルへ
「にんじんは、やわらかく煮てから皮をむく」
丸のまま煮込まれたにんじんが主役。春先のやわらかいにんじんでまず作ってみよう。煮込んでから、まだ温かさが残るうちに皮をむくのがポイント。にんじんの皮がこんなに薄く、スルッとむけることに驚くはず。薄皮をむいただけで、にんじんはつるんと、ツヤツヤ。鮮やかなオレンジ色に輝く。
「具材とスープは別々に盛って楽しむ」
ポトフといえば、数種類もの肉や野菜を煮込むことが多いが、今回、にんじんの存在感を際立たせるために、鶏肉、セロリだけのミニマルな材料で作っている。「だしがよく出るよう、鶏肉は骨付きを選ぶとよいでしょう。今回は手羽元と骨付きもも肉を使いましたが、手羽元の代わりに手羽先でも」と長尾さん。
にんじんの煮汁も無駄なく全て利用して作ったスープも美味。皮ごと煮たにんにくは、皮をはずし、具材と一緒に食べても。「スープはたっぷり作って、翌日、残った野菜を小さく切って朝やお昼のスープにしてもいいでしょう」。
<材料4人分>
にんじん 大小合わせて6~7本 たわしでよく洗う
鶏骨つきぶつ切り肉 約500g 塩を全体にまぶす
鶏手羽元 4〜5本 塩を全体にまぶす
鶏用の塩 鶏肉の重量の3%
セロリ 大1本 葉を摘み、茎は筋を取り、約4cm長さに切る
ローリエ 2枚
にんにく 1片
塩、こしょう 各少々
粒マスタード 約大さじ1~11/2
練りマスタード 約大さじ1~11/2
好みのパン 適量

鶏肉は塩気をキッチンペーパーなどでふき取り、にんにく(皮付きのままでOK)とともに鍋に入れ、水をひたひたに注いで中火にかける

沸騰してきたら火を弱め、煮立たせないように火加減する。ひたひたの水分量をキープするために水を足しつつ、30分ほど煮込む。煮立たせないようにしながら途中、アクと脂を丁寧に取り除いて、写真のように澄んだ状態にするとおいしいスープに

にんじんを別の鍋に入れてローリエを加え、ひたひたの水を注いで中火にかける。大きさが違う場合は、大きめのものを下にして鍋に入れる。少しずらして蓋をし、煮立ってきたら火を弱め、軽く煮立つ程度の火加減で、にんじんがやわらかくなるまで煮る(大きさや状態によって違うが、火入れ時間は30分くらい)。煮汁は取っておく

やわらかく煮えたにんじんをお皿などに取り出して粗熱を取り、薄皮を丁寧にはがす

鶏肉がやわらかく煮えたら、にんじんの煮汁を漉しながら加える

鶏肉の上ににんじんをのせ、弱火にかける。セロリの茎をのせ、蓋をしてセロリに火が通るまで15分ほど静かに煮たら、セロリの葉を加え、再び蓋をして7〜8分煮る。味を見て足りなければ塩を足して、火を止める
ポトフにはマスタードを添えるのが定番。長尾さんは、粒入りのものとフレンチマスタードの2種類をミックス。複雑な風味になり、存在感のある味わいになるのだとか。
ポトフのような煮込み料理は多めに作って、2〜3回に分けて食べ切るのがいい。「2度目のポトフは、カレー粉やトマトピュレを加えて風味を変えれば、飽きずに食べられます」。

長尾智子
フードコーディネーター。書籍や雑誌の執筆、食品や器の企画やディレクションほか、食にまつわる提案を手がける。『料理の時間』(朝日新聞出版)、『ティーとアペロ お茶の時間とお酒の時間 140のレシピ』(柴田書店)ほか、著書多数。自らの目で選ぶオンラインストアSOUP(https://soup-s.shop/)も好評。
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