BY YUKIKO HIRANO

たけのこ独特のえぐみや味わいは、白ワインと好相性!
たけのこの季節は4月にピークを迎える。春の味覚の代表といっても過言ではないが、たけのこを食するのは、中国、日本、韓国などの東アジアやベトナムなどだけだそう。「少し目先を変えた、たけのこ料理を紹介しますね。ポリフェノールやミネラルが豊富なたけのこは、ワインとの相性がいい食材でもあります。生で調理するたけのこ春巻きは下ゆでをしないので、手に入ったらすぐに料理できます。もう一つはプロヴァンス風の煮込み料理。フランスではたけのこは食べませんが、風味や存在感に似ているところのあるのがアーティチョーク。たけのこでアーティチョーク料理をつくってみたら、白ワインが飲みたくなる一皿になりました」(平野さん)
レシピ1:たけのこの春巻き
薄くスライスした生のたけのこをたっぷり。春巻きの皮の中で火の通ったたけのこは、まるでとうもろこしを思わせるような風味。ワインに最高のおつまみだ。

揚げたての熱々に塩をつけて。ミネラル感のある白ワインを合わせたい
<材料 4本分>
春巻きの皮4枚、たけのこ小1個(正味120g)、揚げ油、小麦粉各適量
<作り方>
1 たけのこは、ごく薄切りにする。小麦粉は少量の水で溶いておく。
2 春巻きの皮の中央より少し手前にたけのこをのせ、両端をたたみ巻き、巻き終わりを水溶き小麦粉で止める。
3 フライパンに1センチ程度の油、2を入れて中火にかける。何回か転がしながら、きつね色になるまでじっくりと揚げる。塩でいただく。

具材は、たけのこのみがいい。冷たい油の中に入れてじっくりと揚げることで皮はパリッと、たけのこはほくっと火が通る
たけのこのバリグール
南仏の郷土料理をたけのこで。白ワインとたっぷりのハーブで煮たたけのこの風味はまた格別。たけのこ料理の新定番にしたい味。

醤油や出汁を使わない煮込みは、たけのこ本来の味を楽しめる
<材料 2~3人分>
たけのこ(ゆでたもの)1本、新玉ねぎ1/2個、セロリ1/2本、人参50g、ベーコン(ブロック)80g、にんにく1かけ、オレガノ(乾燥)小さじ1/4、タイム2〜3枝、ローリエ1枚、オリーブオイル大さじ2、白ワイン大さじ4、塩
<作り方>
1 たけのこは根元の部分は7ミリ厚さの半月切り、小さいものは輪切りにする。穂先はくし形、小さいものは半割に切る。新玉ねぎ、人参、セロリは1センチの角切りにする。ベーコンは1センチ幅に切る。にんにくは半分に切り、芽をとってつぶす。
2 鍋にオリーブオイル、にんにくを入れて弱火にかけ、香りが出てきたら、ベーコン、オレガノを入れて炒め、焼き色がついたら、玉ねぎ、人参、セロリを入れて塩をふって炒め、ふたをして3〜4分オイル蒸しにする。時々かき混ぜる。
3 たけのこも加えて塩をふって炒め合わせ、白ワインを加えてひと煮立ちさせる。水1/2カップ、ローリエ、タイムを加えてふたをして15分煮る。
【今月のお酒セレクト:アレクサンドル・バン・マドモワゼルM 2019】

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO
時代の寵児ともいえるロワールのつくり手による白ワイン。キュヴェ名は娘の名前マドレーヌにちなんでつけられた。ミネラル感と果実のボリュームに溢れた完成度の高いワイン。「普通のロワールのソーヴィニヨンブランとは全く印象の異なるワインです。熟した酸と長い余韻。大地を感じるようなワインです。たけのこ料理とのペアリングは、きっとつくり手の方も気に入ってくれるはず」(平野さん)
平野由希子さんがナチュラルワインの定期便を開始!

平野由希子さんが主宰する料理教室cusine et vin が、ナチュラルワインの定期便コースを開始。隔月にワイン5~6 本、もしくは3本のスパークリングワインが届くメンバーシップコースで構成。お届けするワインにはどんな料理が合うか、などの情報も一緒に送ってくれる。
「空前のナチュラルワインブームですが、自分で選べないという方も多くいます。不安定な部分もあるナチュラルワインはワインの状態、ボトルを空けるタイミングもとても大切です。私とスタッフが試飲をして心からおいしいと思ったワインだけをセレクトしてお届けします」と平野さん。
「週末ごはん会に合うワインを選んでほしい」「ナチュラルな野菜料理に合うワインが飲みたい」などのリクエストにもお応えできるオーダーメード感覚のコースを目指しているのだそう。
猫と旅した南仏での3週間を詰め込んだ、平野さんの新著が発売中
「カブルスピーヌ村は、南仏にある人口100人ほどの小さな村。カフェもなければスーパーもパン屋もない。何にもないけど、雄大な自然とたくさんの猫に出会える美しいところ。そんな村を愛猫クミンとともに訪問してみた」ーー
平野由希子さんが、愛猫のクミン君とともに訪れた南フランスでの3週間。築1000年の石造り古民家に滞在しながら、羊肉料理やカスレ、朝どれのさやいんげんサラダなど、新鮮な素材を使った絶品料理に舌鼓を打ち、地元の人々や近所の猫と触れ合い、自然豊かな田舎を満喫する、まるで夢のような時間を詰め込んだ一冊。ペットとともに飛行機旅をするための役に立つ情報も満載!

『南フランス 猫と旅する美しい村<私のとっておき>シリーズ50』
著者:平野 由希子
¥2,090
産業編集センター刊
平野由希子
素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評のある料理家。書籍や雑誌、広告で活躍するかたわら飲食店のプロデュースや商品開発も手がける。日本ソムリエ協会認定ソムリエで、ワインと料理のペアリングが楽しめる料理教室も主宰。
公式サイトはこちら
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