渋谷エリアで最も高い超高層ビル「渋谷スクランブルスクエア」の46階に位置する屋内展望回廊「SKY GALLERY(スカイギャラリー)」。上空約230メートル、渋谷の街並みを足元に見下ろせる会場で、世界最高峰のエベレストを撮りおろした石川直樹の写真展が開催中だ

BY MASANOBU MATSUMOTO

 なぜ人は山に登るのか。2001年当時、7大陸最高峰登頂の最年少記録を更新し、エベレスト登頂に二度成功している写真家・石川直樹の答えは、極めてシンプルだ――「好きだから」。

 それは、“そこに山があるから”といった登山家や冒険家たちの言葉とは少し違い、写真家ならではの感性に基づいたもののようにも思える。渋谷・SKY GALLERYで開かれている個展『EVEREST 都市と極地の高みへ』の挨拶文に石川はこう記している。「なぜ山に登るのか。なぜまた行きたいと思うのか。いくら考えても『好きだから』という結論にしか行き着かない。こうした長期の登山遠征は、身体にこびりついた澱(おり)のようなものをすべて消し去り、自分をシンプルな状態に引き戻してくれる。行く前と後では、世界が違って見える」。登山遠征あるいは長旅は、石川にとって写真家としての視点を整え、研ぎ澄ませる重要なものでもあるということだ。

画像1: 『EVEREST 都市と極地の高みへ』展示作品 © NAOKI ISHIKAWA

『EVEREST 都市と極地の高みへ』展示作品
© NAOKI ISHIKAWA

 彼が視点というものを意識するのは、石川にとって写真を撮るという行為が、文化人類学的なフィールドワーク(現地の人と生活を共にしながら現地調査する方法)と表裏一体だからでもある。展覧会場に並ぶ、石川が撮ったエベレストの写真には、われわれを非日常へ導くような壮大で過酷なランドスケープだけでなく、そこにある日常、そこに生きる人々の姿を捉えたものも含まれる。登山者をナビゲートするネパールの山岳民族シェルパたち、おそらく祈りの場として登山道に作られた巨大壁画。また、本展ではアイスフォールと呼ばれる巨大な垂直氷河を越え、エベレストの頂にたどり着くまでのハイライトを伝えるショートムービーも上映されているが、そこには、現地のシェルパたちと輪になって一緒に踊っているシーンもある。

「アートの語源は、技術。世界中の日常のなかに“生きるための技術”を持つ人たちのところへ行って、写真を撮る。そうした探求が自分の旅だ」とは、石川が以前語っていた言葉だが、エベレストの写真群もそうした石川の考えがよく現れたシリーズだろう。

画像2: 『EVEREST 都市と極地の高みへ』展示作品 © NAOKI ISHIKAWA

『EVEREST 都市と極地の高みへ』展示作品
© NAOKI ISHIKAWA

 会場のSKY GALLERYは、渋谷エリアで最も高い超高層ビル「渋谷スクランブルスクエア」の46階、展望施設「SHIBUYA SKY」内に位置し、全面ガラス張りになった窓からは渋谷の空を一望できる。今回、石川は、この場所ならではのユニークな試みも行なっている。エベレストの写真群の最後に、渋谷スクランブルスクエアの屋上から雪の積もった渋谷の街を撮った写真を一枚並べた。渋谷の空の先にエベレストがあり、その麓では大地に根ざした暮らしをシェルパたちが送っているーーそんな想像をかきたてる一枚だ。視点をすこし変えていつもの風景を眺めてみる。それも本展の楽しみ方のひとつだ。

EVEREST 都市と極地の高みへ
会期:〜8月31日(月)
会場:SKY GALLERY
住所:東京都渋谷区渋谷2-2-12 渋谷スクランブルスクエア 46F SHIBUYA SKY内
営業時間:9:00~23:00(最終入場は22:00)
料金:
[窓口カウンター]大人(18歳以上)¥2,000、高校・中学生¥1,600、小学生¥1,000、幼児(3~5歳)¥600
[WEBチケット]大人(18歳以上)¥1,800、高校・中学生¥1,400、小学生¥900、幼児(3~5歳)¥500
電話:0422(27)6238(チケット関連)
公式サイト

※ 営業時間は変更となる場合があります。最新情報また新型コロナウイルスの感染・拡散防止策に関しては、事前に公式サイトをご確認ください。

 

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