BY REIKO KUBO
はじまりは、義母を真似たような妻の呟きだった。夫は冗談と思って笑い飛ばしたが、それは妻キム・ジヨンの心の叫びの表れだった。眺めのいいマンションで、IT企業で働くやさしい夫と可愛い盛りの2歳の娘との3人暮らし。出産を機に退職し、今は専業主婦のジヨンの心はなぜ壊れてしまったのか――。
家父長制、男性偏重社会の中、生まれた瞬間から女性の心の中に積もる澱(おり)の正体を淡々と綴り、韓国で社会現象を巻き起こしたベストセラー小説を、新鋭の女性監督キム・ドヨンが映画化。原作を踏襲しながら、ジヨンの問題をわがこととして受け止め、夫婦で夜明けを迎えようとする夫の姿も描くことで、新たな明日を差し出す映画は、日本公開が待たれていた話題作だ。
『82年生まれ、キム・ジヨン』
2020年10月9日(金)より、新宿ピカデリーほか全国公開
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