BY KYOKO SEKINE
大都市東京には国際的ブランドや最高級クラスのホテルが集結している。だがその一方で、自由な発想により、これまでの概念を覆すかのように、安価ながら個性と独自の快適性を提供するホテルも生まれている。
まず、スタイリッシュなデザインで話題のカプセルホテル「ナインアワーズ(9h)」。カプセルホテルだからと侮ってはいけない。今のカプセルホテルは技術も思考も進化している。自らのホテルを「トランジットサービス」と呼ぶ「9h」の1号店は2009年11月、京都・寺町を舞台にデビューした。私は直後に京都へ行き、実際に宿泊してみた。人生初のカプセルホテルに戸惑いはあったが、チェックイン直後の印象は、明るさと徹底した"清潔感"。そして滞在後の最終評価は好感度の高い二重丸だった。
斬新なコンセプトを掲げ、感度の高いホテルスタイルを創り出したのは、代表取締役ファウンダーの油井啓祐氏、同CEOの松井隆浩氏の両名。「カプセルホテルの社会的地位を変える」と、確固たる信念を貫く。都市への観光客や、多忙な都市型ビジネスマンが宿に望んでいるのは、ライフスタイルにジャストフィットする機能性と快適性だと、彼らは想定。事実、ビジネストリップでの短期滞在には、シャンデリアも、100㎡もの部屋もいらない。納得の料金設定と、不快(不潔、危険、騒音)のない環境、さらに満足な睡眠と平和が約束されればいい。「9h」はこれらを満たしていた。
京都での成功は、成田空港、仙台、北新宿へと舞台を移し、今年7月25日には、東京・神田駅前に初の女性専用カプセルユニット「ナインアワーズウーマン神田」を開業した。「ナインアワーズ北新宿」では、24時間対応のフロントや、デスクワークや飲食が可能な広めのラウンジ兼展望ワークスペースが設置され、窓には新宿高層ビル群が迫る。チェックイン13時、チェックアウト10時、最長で21時間が過ごせる。カプセルのある各フロアも、エレベーターも、シャワーフロアも、すべて男女別。だからフロント周辺以外では、貸し出される館内着"9hウェア"で過ごしても、同性しかいないので気兼ねはいらない。カプセル自体も広めで窮屈感はなく、むしろ落ち着くから不思議だ。枕も、二重構造のマットレスも、カスタムメイドで高品質。
今後も続々と開業を控え、いずれは「日本オリジナルのカプセルホテル文化を広く海外へ」と、二人は近未来を企てる。宿泊料金¥4,900(北新宿)の滞在は、超高級ホテルが掲げる贅沢な豪華さとは別ものだが、今何がベストか、今日何を望むか、自分で自由に選べばいいのだ。宿泊に特化したリーズナブルなホテルの誕生は、今なお進化を続けている新潮流である。
9h nine hours 北新宿
住所:東京都新宿区百人町1-4-15
ナインアワーズ北新宿ビル 3~8階
予約電話:03(5291)7337
客室:カプセルユニット/206室(男女別)
料金:宿泊¥4,900~、仮眠¥1,000~、
シャワー(24時間いつでも)¥800~ ※前払い制
公式サイト