北欧のモダンデザインのエッセンスが残る、デンマークの首都コペンハーゲン。そこには、わざわざ飛行機に乗ってでも泊まりに行きたいホテルがある

BY GEMMA ZOE PRINCE, TRANSLATED BY AKANE MOCHIZUKI(RENDEZVOUS)

Thekrane
ザクレーン

画像: 「ザクレーン」の外観と室内 COURTESY OF THEKRANE

「ザクレーン」の外観と室内
COURTESY OF THEKRANE

 デベロッパーのクラウス・キャストベルグは、使われなくなった産業的ランドマークを新しく変身させることで知られている。デンマークの新聞用紙倉庫であったビルをアートと食、そしてファッションのハブになる「パピローエン(紙の島)」に変えたのも彼だ。しかし、クラウスの最新プロジェクトである「ザクレーン」では、ラグジュアリーな一室だけのホテル、一部屋だけのスパ、そして「glass box」と名付けられたガラス張りの箱型のミーティングルームを思いもよらぬ場所に出現させた。それはなんと、長いあいだ使われていなかった70年代の石炭クレーンの中だ。

そこからゲストは、開発途上にあるノードヘブン港のパノラマを含む、コペンハーゲンのすばらしい景色を観ることができる。全体的に黒で統一されたクレーンの室内は、レザーや木、石や金属などを使ったミニマルな家具が備え付けられている。これらはスカンジナビアの職人によるカスタムメイドの家具だ。
https://thekrane.dk

Hotel SP34
ホテル SP34

画像: 「ホテル SP34」の室内 COURTESY OF HOTEL SP34

「ホテル SP34」の室内
COURTESY OF HOTEL SP34

 リノベーションされた3軒のタウンハウスからなる現代的なデザインの「ホテルSP34」。ここでは、コペンハーゲンのラテン系の人々が住む地域らしい暮らしを体験することができる。広々としたペントハウスはひさしに覆われ、窓からは緑の尖塔のある市役所や、クリスチャンスボー城の塔が見わたせる。スイートルームでは天窓からたっぷりと自然光が注がれ、温かみのあるシャンパンカラーと褐色のレザーソファー、ひとりずつにオーク材のヘッドボードが付いたベッドや、柔らかい革製のネックピローといったインテリアを明るく照らしている。
www.brochner-hotels.com

Radisson Blu Hotel
ラディソン・ブル・ホテル

画像: 「ラディソン・ブル・ホテル」の室内 COURTESY OF THE RADISSON BLU HOTEL

「ラディソン・ブル・ホテル」の室内
COURTESY OF THE RADISSON BLU HOTEL

 60年代にオープンした際、ここ「ラディソン・ブル・ホテル」は“ジェット機時代のランドマーク”として知られていた。デンマーク初の高層ビルであり、また世界初のデザイナーズホテルでもある(アルネ・ヤコブセンが、スカンジナビア航空のためにこのホテルのすべてを構想。スカンジナビア航空は、この建物の1階でターミナルを運営していた)

 以降、ホテルの空間は何度も改装されてきたが、今もなおすべての客室に、ヤコブセンがデザインした椅子が置かれている。4つのスイートルームは、ヤコブセンの美的感覚を尊重しつつ、提携するデザイン会社のフリッツ・ハンセンがリニューアルした。1206号室は、ポール・ケアホルムの家具と、彼独特のユニークなグラフィック作品で揃えられている。1106号室は、ヤコブセンによる大理石の「AJソファテーブル」や革製の「エッグチェア」、ヴェルヴェットの「スワンチェア」など、“1点モノ”の家具をいくつも配置した客室だ。

 現在ガイドツアーでのみ公開されている606号室では、ヤコブセンのオリジナルインテリアが、備えつけられた当時そのままの状態で保たれている。淡い緑色に塗ったメープル材の壁に囲まれたその客室には、「ドロップチェア」や、1956年に空港ターミナルのためにデザインされた「3300ソファ」シリーズといったヤコブセンのアイコニックな家具が、作りつけの鏡台やラジオ、内部通話装置などとともにそのまま残っている。
www.radissonblu.com

Nibm Hotel
ニム・ホテル

画像: 「ニム・ホテル」の客室 COURTESY OF NIMB HOTEL

「ニム・ホテル」の客室
COURTESY OF NIMB HOTEL

「ニム・ホテル」に、ヴェネツィアン大理石のオリジナルのファサードが完成したのが1909年。その後、現代的な新館「チボリコーナー」ができるまでに一世紀以上もの時差がある。しかし、高級でありながら自宅にいるようにくつろげる「ニム・ホテル」の17の客室の雰囲気は、新しくできた「チボリ」の21室のスイートルームにも受け継がれている。

「チボリコーナー」のほとんどの部屋には暖炉が備えつけられているが、それ以外はどの部屋もユニーク。アンティークにキャスリン・ラーベン・デイビッドセンなどの現代的なアート作品を加えた、折衷主義的なインテリアが配置されている。中でもとくにすばらしいのは、1536平方フィートもある「ヴィルヘルム スイート」だ。この部屋は、ホテルの創設者であるヴィルヘルム・ニムと、彼のもてなしの精神に着想を得ている。

ダイニングとリビングが一緒になったスペースは、グランドバルコニーにつながっている。ゲストはそこで、ヴィクトリア朝時代の遊園地である「チボリガーデン」のキラキラとまたたく灯りや目下に並ぶ美しいレストランのアーケードを眺めながら、プライベートディナーを楽むことができる。「昼夜を通じて美しい眺望が広がり、野外のパントマイムのステージも観られます。まさにあなただけのバルコニーから、バレエやコンサートを楽しむことができるのです」と、ジェネラル・マネージャーのイーベン・マールブルク・ユールは語る。
www.nimb.dk

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