デスティネーション型ホテルをブランドコンセプトに掲げる“ザ セレスティンホテルズ”のひとつ「ホテル ザ セレスティン東京芝」は、2017年11月28日にリブランド・オープンを果たし、滞在そのものを目的とするホテルとして新たなスタートをきった。“Cross Over TOKYO”をテーマに、館内には東京・芝という土地ならではの魅力が歴史と現代を融合させた意匠で表現されている。



モダンなホテルの外観。

かつて薩摩藩江戸上屋敷がおかれていた歴史ある土地に建つ



 ホテルというのは、言葉でテーマをいくつ挙げようと、実際にゲストが快適であると感じなければ個性にもコンセプトにも意味がない。「ホテル ザ セレスティン東京芝」は、そのエントランスに足を踏み入れたとたんに、安堵感に包まれ思わず深呼吸したくなる。独特の雰囲気を醸し出すアートが目に入り、7メートルの天井高、大きなガラス窓から自然光が差し込む明るいロビーは好感度が高い。


 さらにロビー内をひとつひとつじっくり見てみると、細部まで見事な工夫がこらされている。ロビーとラウンジのあいだは、壁ではなく透けて見える細工のスクリーンパネルで仕切られ、開放感が演出されている。吉祥紋である亀甲つなぎに、江戸の桜と島津十字柄をモチーフにしたこのスクリーンパネルは「KOMON SCREEN」と呼ばれ、自然光をさえぎることなく空間全体を見通せ、ロビーとラウンジに高級感を添えている。



ロビーエリアの夕暮れどき。スクリーンを隔てて隣にラウンジがある。

中央奥の壁面には薩摩切子をモチーフにしたアートが飾られている



 最も目立つのは、中央奥の壁面を飾る巨大な工芸品だ。これは「KIRIKO WALL」と呼ばれ、薩摩切子のデザインをモチーフに、鹿児島の伝統陶器である黒薩摩焼タイルと鹿児島特産の蒲生和紙、薩摩錫器風のパネルを組み合わせた作品だという。ホテルの建つ場所が、明治維新の立役者となった薩摩藩ゆかりの土地であることを知れば、薩摩藩主島津家ゆかりの家紋や、芝という土地の伝統が濃く表現されている意味にも納得がいく。都会の喧騒の中にも静寂を求めるゲストは、このホテルの落ち着いた雰囲気だけではなく、歴史の舞台となった当時のストーリーと、快適性を求めた革新的なデザインや設備の融合を肌で感じる滞在となろう。江戸と薩摩の激動の歴史を想えば、まさに“Cross Over TOKYO”の真意が見えてくる。



14階の宿泊客限定ラウンジ。

中庭はオープンエアの静かなパティオに



Spa「AMUSTAS(アマスタス)」にはダブルルーム、シングルルームが各ひと部屋ずつ。

「AMUSTAS」を逆さに読めば「薩摩」となる、遊び心のあるネーミング



 タイプの異なる客室のひとつに、女性に人気のスペシャルルーム「つむぎ」がある。“セレスティンコーナーツイン”を特別にアレンジしたこの部屋には、世界三大織物のひとつとされる大島紬のインテリアが随所に配されている。ベッドウォール、クッションカバー、ランプシェードなどにカラフルな紬を使用。こうした伝統的な紬のアクセントのおかげで、室内には和洋の融合した独特なモダニズムが演出されている。



紬にこだわったコンセプトルーム「つむぎルーム」。

特別仕様のコーナーツインルームは、鹿児島の伝統工芸、本場の「大島紬」をふんだんに使用



「つむぎルーム」では、

クッションやヘッドボード、ランプシェードにも大島紬が使われている



 今年2018年は明治維新150年の節目の年。NHK大河ドラマ『西郷どん』も薩摩人気に拍車をかけ、薩摩の歴史や文化伝統がより見直されそうである。





ホテル ザ セレスティン東京芝(THE CELESTINE TOKYO SHIBA)


住所:東京都港区芝3-23-1

予約電話: 03(5441)4111

客室:全243室

料金:¥15,000~(1泊1室2名の料金。消費税込) 

 ※日によって料金が異なるため、要問合わせ

公式サイト




せきね きょうこ

ホテルジャーナリスト。フランスで19世紀教会建築美術史を専攻した後、スイスの山岳リゾート地で観光案内所に勤務。在職中に住居として4ツ星ホテル生活を経験。以来、“ホテル”の表裏一帯の面白さに魅了され、フリー仏語通訳を経て、94年からジャーナリズムの世界へ。「ホテルマン、環境問題、スパ」の3テーマを中心に、世界各国でホテル、リゾート、旅館、および   関係者へのインタビューや取材にあたり、ホテル、スパなどの世界会議にも数多く招かれている。雑誌や新聞などで多数連載を持つかたわら、近年はビジネスホテルのプロデュースや旅館のアドバイザー、ホテルのコンサルタントなどにも活動の場を広げている。www.kyokosekine.com




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