ダナ・ヴァションと共同執筆したジム・キャリーの小説『Memoirs and Misinformation』は、彼の人生とキャリアにおける出来事を取り入れた、ハリウッドにおける終末と再生の架空の物語だ

BY DAVE ITZKOFF, TRANSLATED BY NAOKI MATSUYAMA

画像: 映画『エターナル・サンシャイン』『マスク』などの主演を務めたジム・キャリーが、小説家のダナ・ヴァションと共作で『Memoirs and Misinformation』を執筆した PHOTOGRAPH BY LINDA FIELDS HILL, STYLED BY STACEY KALCHMAN

映画『エターナル・サンシャイン』『マスク』などの主演を務めたジム・キャリーが、小説家のダナ・ヴァションと共作で『Memoirs and Misinformation』を執筆した
PHOTOGRAPH BY LINDA FIELDS HILL, STYLED BY STACEY KALCHMAN

―― これまでにも、自分の人生に基づいた伝記を書こうと思ったことはありましたか?

キャリー 私の表現者人生の今の時点で、自分に起きた実際の出来事を時系列で書き留めることほど退屈なことはありません。それは、ただ自分のブランドを広げようとするにすぎません。この本は違います。やりたくて始めて、やめられなかった労作なんです。最初は、ちょっとしたやりとりをしていただけだったのですが、ここ数年は、8時間、ほとんどの日は12時間、二人で部屋に閉じこもって、ただひたすら取り組んできました。意見がぶつかることもありましたが、そういう時は必ず最初に考えていたことよりもおもしろいものが生まれました。

―― この小説の主人公は「ジム・キャリー」という名前で、ジムとよく似た人生を歩んできました。彼はいったい誰なのでしょうか?

キャリー この本のなかのジム・キャリーは、私の立場にある人を代表する存在、いわばアバターです。あの世界の過剰さ、強欲さ、自己中心性、虚栄心に身を置くアーティスト、セレブ、スターのアバター。書いてあることのなかには、実際の出来事もあります。しかし、それがどれなのかはわからない。でも、この本のフィクション性も、真実を明らかにするものなのです。

―― ダナ、映画やテレビで見る彼の姿ではなく、本物のジムを知るのはどんな感じでしたか?

ヴァション ジムが私に連絡をくれた最初のころというのは、彼が、この小説の重要なヒントにもなったジョン・バリモア主演の映画『狂へる悪魔』(1920)を見ていた時でした。「バリモアを見てみろ。この映画での、彼の表情の無駄のなさを見てみろ」と、言われたんです。「おお、ジム・キャリーはNetflixを結構見てるんだな」と思いましたね。

キャリー すごく怖かった時期があったんです。YouTubeで担架に乗せられた死んだジョン・レノンの姿を見る。すると「自分が倒れたとき、倒れた僕と一緒にセルフィーを撮る人たちがいるんだろうな」ということを悟って、そのことが頭から離れないんです。誰かがそれを目新しいものとしておもしろがって見るだろう、と。「良い死体」になりたいという恐怖心から、夜中に死んでも誰に見られても恥ずかしくないように、寝る前にバスルームに行ってメイクをしたりしていました。

―― 小説のジムが、故ロドニー・デンジャーフィールド(註:コメディ界のレジェンドで、キャリーの才能をいち早く見出した人物)のエッセンスが入った、デジタルで表現された(動物の)サイと一緒に働く自分を見つめる場面など、奇妙でありながら心を打つシーンを一緒に生み出しましたね。

ヴァション あれを書くのは本当に大変でした。ある日、ジムが「いま、何をやるつもりだったのかは知らないけど、これから2、3日はロドニー・デンジャーフィールドのシーンをいくつか書くから」と言ってきたんです。そして、それを書き終わると、疲れ切っている私のところに、ジムが小さな箱を持ってきて、開けて見せてくれました。

キャリー ロドニーが亡くなった後、(妻の)ジョーンがロドニーのお気に入りのシャツとマリファナ用のパイプが入った、とても美しい革張りの箱をくれました。ロドニーを知っていた人は、それがロドニーにとってどれほど大事なものだったかがわかるでしょう。(デンジャーフィールドの声で)「これがあるから、僕はクリエイティブであり続けられるんだ」

―― 執筆過程で、ジムが「それはやり過ぎだ」とか「踏み込みすぎだ」と言うことはありましたか?

ヴァション 彼のような立場の人で「クライマックスの戦闘シーンでも、僕はそこで弾薬を詰めているだけでいい。別に誰も殺す必要なんてないし、というか銃すら必要ない」なんて言う人は、彼以外にいないでしょう。

キャリー 数日前、ニコラス・ケイジと話をする機会がありました。本のことはそれまで何も伝えていなかったんですが、その日突然そのことを話したら、彼はただ(ニコラス・ケイジの声で)「ジム、光栄だよ。君が想像できないぐらいにね」と言ってくれました。そして「君に最高のセリフをあげたんだ」と言ったら、(ケイジの声で)「そんなの前代未聞だ!」とすごく興奮していました。

 

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