気鋭のデザイナーとアーティストが、それぞれの創作スタイルや互いのクリエーションへの想いを語り合う

BY AIMEE FARRELL, PHOTOGRAPHS BY MEL YATES, TRANSLATED BY JUNKO HIGASHINO

画像: ハミルトンが2012年に手がけた「レッグチェア」。アクリル板は彼女自身の脚のラインに合わせてカットされ、脚の間にガラスで精巧に作られたライスクラッカーが載っている

ハミルトンが2012年に手がけた「レッグチェア」。アクリル板は彼女自身の脚のラインに合わせてカットされ、脚の間にガラスで精巧に作られたライスクラッカーが載っている

 建築スタジオ「6a アーキテクツ」が構成を手がけた会場は、4つのギャラリーに分かれている。可愛いウサギ柄のコーデュロイなど、アンダーソン自身がコレクションしてきた布も使い、一連のカーテンで仕切った空間はまるで隠れ家や迷宮のようだ。また、丈を引き伸ばしたような28枚のロングニットを天井から吊り下げて、観客が触れ、感触を味わい、自由に動かして遊べるユーモアいっぱいのインスタレーションもある。

 多様なジャンルが交ざり合う展示作品の中に、アンセア・ハミルトンの「レッグチェア」がある。ハミルトン自身の曲げた脚をそのままかたどったアクリル板には、海苔が挟まれ、ガラス製のライスクラッカーが重ねられている。そのそばにあるのは、テキスタイルアーティストの巨匠ジョン・アレンがデザインした風景を編み込んだ2枚のタバード(陣羽織型)ニットだ。これはアンダーソンが率いる「ロエベ」の2015年春夏メンズ・コレクションで発表したコラボレーション・アイテムのひとつである。同じコーナーには、エリザベート・ド・センヌヴィルというフランス人デザイナーによる、バッジや雑誌類の切り抜きを飾ったクラフト紙やアクリル素材のジャケットも並んでいる。

「これはパリで見つけたんだけど、とにかく、ものすごくレアな作品なんだ」。アンダーソンは、透明ビニールで覆われた羊毛入りのベストを指しながら言った。「これには強い思い入れがあってね。なにしろ何の加工もされていない、刈りとったままの羊毛が入っているんだ。藁(わら)も紛れ込んでいてちょっと奇妙だけど、1970年代にはこの作品を買った人がいたんだよ」。ハミルトンはこのベストに近づいて様子を探ると、「ビニールに覆われているんだから、まあ問題ないんじゃないかしら」と冷静に言い添えた。

T JAPAN LINE@友だち募集中!
おすすめ情報をお届け

友だち追加
 

LATEST

This article is a sponsored article by
''.