BY KRISTEN BATEMAN, PHOTOGRAPHS BY ADRIAN CATALAN, TRANSLATED BY CHIHARU ITAGAKI
デンマークと韓国にルーツをもつクリスティンは、現在40歳。センターで分けた黒髪をおろし、ミニマルな服を好んで着ている。2003年にロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートを卒業したのち、バーバリー プローサム、続いてアレキサンダー マックイーンで働いた。アレキサンダー マックイーンでは、故リー・マックイーンその人の下で働き、彼の逝去後は現在のデザイナーであるサラ・バートンの右腕として活躍。その後、ジバンシィのスタジオ・ディレクターやバレンシアガのヘッド・デザイナーを務めたのち、昨年、自身のブランドを立ち上げるに至った。
クリスティンのアトリエの規模は極端に小さい。彼女のほかにはアシスタントがひとり、インターンがひとりしかいない。ショーの直前にだけ、アイテムづくりを手伝ってもらうために数人のスペシャリストを雇い入れる。彼女によると、「破滅的なほど小人数で、もはや詩的ですらあるこの規模が、私のブランドの現実なの」とのこと。彼女のおもなインスピレーション源は、伝説や童話の世界、そして子どものころの思い出だ。韓国とデンマークで幼少期を過ごし、母は児童向けの図書館で働き、父は政治学の教授だった。こうしたさまざまな生育環境とスカンジナビアの白夜が、つねに自分に影響を与えてきたと言う。
最新コレクションでは、デニムでつくられた構築的なシルエットのドレスや、黄色いアシンメトリーなAラインシルエットのガウンなどを発表した。「このシーズンは、いつの間にか鮮やかな黄色を使うというアイデアに取りつかれてしまったの」とクリスティン。「黄色は、デンマークで過ごした夏の思い出と結びついている。子どものころ、野原で花を摘んだり、タンポポで冠をつくって遊んだりした思い出とね」