ビジネスウーマンとしての世界的先駆者、「ヴーヴ・クリコ」のマダム・クリコ。彼女の魂のDNAを受け継ぐふたりの受賞者にフォーカスした

BY KIMIKO ANZAI, PTOHOGRAPHS BY SHINSUKE SATO

画像: 「ニュージェネレーション アワード」受賞の御手洗瑞子さん。 東京大学経済学部を卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーへ入社。2010年から経済的自立が課題となっていたブータンに渡り、初代首相フェローとして産業育成に従事。東日本大震災を機に帰国し、2012年に株式会社気仙沼ニッティングを立ち上げ、2013年に代表取締役に就任

「ニュージェネレーション アワード」受賞の御手洗瑞子さん。
東京大学経済学部を卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーへ入社。2010年から経済的自立が課題となっていたブータンに渡り、初代首相フェローとして産業育成に従事。東日本大震災を機に帰国し、2012年に株式会社気仙沼ニッティングを立ち上げ、2013年に代表取締役に就任

 一方、御手洗瑞子さんは、2011年の大震災で傷ついた町に「誇りをもって取り組める仕事を」と、気仙沼の漁師やその家族が航海の無事を祈って編んできたフィッシャーマンズセーターに着目、会社を立ち上げて新しい雇用を生み出した。伝統に現代感覚のデザインを加味した高品質のセーターはすべてが手編みで、「編むひと」と「買うひと」を繋げる新しいビジネスモデルとして、その事業の可能性を広げている。

「気仙沼は、港町として昔から人を自然に受け入れてくれる懐の深い町。東京出身の私も、すんなり入ることができました。ここで温かみのある”フィッシャーマンズセーター”に出合い、この魅力を広く知って欲しいと思ったのです。『買うひと』は誰かが自分のために編んでくれるという“待つ時間”を、『編むひと』はどう編んだら嬉しいだろうという“作る時間”も豊かなものにできる。一見、時代と逆行するかのようにも見えますが、まずは、商品に関わる人全員に“生きる喜び”を感じてもらえたらと思っています」

画像: 2013年に会社設立した「気仙沼ニッティング」のセーターやカーディガンは、地域の“編み手”さんたちが手編みしたもの。デザインはニットデザイナーの三國万里子さんが手がける PHOTOGRAPH BY KOHEI SHIKAMA

2013年に会社設立した「気仙沼ニッティング」のセーターやカーディガンは、地域の“編み手”さんたちが手編みしたもの。デザインはニットデザイナーの三國万里子さんが手がける
PHOTOGRAPH BY KOHEI SHIKAMA

「でも、それだけではなく、世界的なデザイナーであるサイモン・ミラーとコラボレーションをしたり、糸の色合いにもこだわったりと、世界的水準の商品を目指したいと考えています。また、この賞をいただいてとてもうれしかったのは、マダム・クリコとのご縁を感じたこと。マダム・クリコは27歳で未亡人となって事業を受け継ぎ、私は27歳で起業した。マダム・クリコに応援されているように感じます」

 確かに、ふたりの受賞者の仕事の内容や功績を見ると、マダム・クリコとの共通項は多い。だが、もっともマダム・クリコに“似ている”のは、先駆者であるだけでなく、自身の仕事に誇りを持ち、つねに前進を続けていることだろう。授賞式で彼女たちが杯を掲げた「ヴーヴ・クリコ ラ・グランダム」は、彼女たちを祝福すると同時に、すべての女性を応援しているに違いない。

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