さまざまな分野で活躍する“おやじ”たち。彼らがひと息つき、渋い顔を思わずほころばせる……そんな「おやつ」とはどんなもの? 偏愛する“ごほうびおやつ”と“ふだんのおやつ”からうかがい知る、男たちのおやつ事情と知られざるB面とは。連載第4回はイラストレーターの真鍋太郎さん

BY YUKINO HIROSAWA, PHOTOGRAPHS BY TAKASHI EHARA

 その後、30代後半に藤原ようこさん(コピーライター)と出逢ったことで、食の好みに変化が起きる。「ようこはあずきが好きなので、一緒に過ごすうちに僕もちょくちょく和菓子を食べるようになって。僕はこし餡のほうが上品な感じがして好きだったんだけれど、今では彼女が好きなつぶ餡も好きになっちゃった。豆大福は、下町のものとか地方のものとかいろいろ食べてみたけれど、大きさや甘さ、トータルで今のところ『松島屋』が一番だね」。ときどき、渋谷の東急本店で買える「松島屋」の豆大福を、真鍋さんが買いに行くこともあるのだとか。

 自らを「古い言葉を借りればムード派」だという真鍋さん。独自の“こだわり”があるようで、「甘さと塩気のバランス、あんこの割合。それから、お茶は何を合わせて、どんなお皿にのせるとか、小さなハーモニーみたいなことが気になるんだ。僕にとっては、おやつを食べるというより、おやつをどんな気分で楽しむかが大切なのかもしれないね。」

画像: 「豆大福」1個¥180(税込) 松島屋 TEL. 03(3441)0539

「豆大福」1個¥180(税込)
松島屋
TEL. 03(3441)0539

 その志向は仕事でもしかり、だそう。「絵を描くときも、音楽をかけて気分を上げて、ムードを楽しみながら自宅の3階にあるアトリエで創作の時間に浸りたい。僕は、いつも心を自由に遊ばせて生きていたいと思っている。どんな時でも、その心があるだけで、違ってくるんじゃないかなあ。」

 還暦を過ぎた今も、真鍋さんの好奇心は落ち着くどころか、さらにパワーアップ中。「最近になってわかったのは『世界は知らないことだらけだ』『知らないことを知るって面白いぞ』っていうこと。昔は勝手に自分のキャパシティを決めつけていたところがあったけど、人って柔軟でさえいれば、知識も経験も増す。何より、そのほうが楽しいんだよね!」

 昨秋には、さまざまな種類の柿を食べ比べのるがマイブームだったそう。「知らなかった名前の柿がたくさんあって、それぞれの味があるんだよ」。やっぱり果物はお好きなようで。根っこにある“三つ子の魂百まで”の味覚と、人生のなかで変化を受け入れ、楽しむうちに得る新たな味覚と――。“その人”が垣間見えるおやつは、やっぱり面白い。

真鍋太郎(TARO MANABE)さん
1951年生まれ。大学卒業後、黒田征太郎氏、長友啓典氏率いる「K2」にてグラフィックデザインとイラストレーションを学び、独立。PICAROTAROの名義でイラストレーション、オブジェの制作、アートディレクションやライブパフォーマンスなど、立体・空間を問わずさまざまなスタイルを展開する
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