ワインの楽しみのひとつは、未知の産地やつくり手の魅力に早くから気づくことにもある。ニュージーランドで今まさに注目を集めつつある産地、ノース・オタゴの魅力を「オスラー・ヴィンヤーズ」のジム・ジェラム氏に聞いた

BY KIMIKO ANZAI, PHOTOGRAPHS BY SHINSUKE SATO

「ノース・オタゴの天候はなかなか難しくてね。このキャロラインズ・ピノ・ノワールも、天候のよい年にしかつくれないんだ」。そう言って、「オスラー・ヴィンヤーズ」のオーナー、ジム・ジェラム氏は穏やかな笑みを浮かべた。

画像: ジム・ジェラム(JIM JERRAM) 「オスラー・ヴィンヤード」オーナー。ニュージーランド最大のメディカルセンターで医師として29年間働く。結婚が縁で醸造家の義弟ジェフ・シノット氏と出会い、ワイタキ・ヴァレーに畑を購入、ワインづくりを始める

ジム・ジェラム(JIM JERRAM)
「オスラー・ヴィンヤード」オーナー。ニュージーランド最大のメディカルセンターで医師として29年間働く。結婚が縁で醸造家の義弟ジェフ・シノット氏と出会い、ワイタキ・ヴァレーに畑を購入、ワインづくりを始める

 ノース・オタゴはニュージーランドの南島に位置する。世界最南端のピノ・ノワールの産地であるセントラル・オタゴから少し北寄りの、今注目のワイン産地だ。海風の影響を受けやすい極めて冷涼な土地で、朝晩は霧が立ち込める。

 このノース・オタゴのワイタキ・ヴァレーで、ジェラム氏は醸造家のジェフ・シノット氏とともに個性的なワインを生み出している。ミネラルを多く含む石灰質土壌で育まれるピノ・ノワール、リースリング、ピノ・グリは、しなやかな骨格と繊細な果実味、フレッシュな酸味を持つ。周辺地域と異なる気候で、面積も広くないことから、ジェラム氏は「“エアポケット”のような、独特の個性を持った土地」と表現する。

画像: (写真左から) 「オスラー・ヴィンヤーズ ノース・オタゴ キャロラインズ・ピノ・ノワール 2016」 <750ml>¥6,300 ピノ・ノワール100%。チェリーや黒スグリ、スパイスの香り。しなやかな酸と繊細な果実味。“キャロライン”とは、かつてのジェラム氏の患者の名前。「キャロラインは初めてノース・オタゴにピノ・ノワールを植樹した栽培家の婚約者で、とても美しい心を持っていた。彼女の名をワインにつけることで、その思いを残したかったんだ」 「オスラー・ヴィンヤーズ ノース・オタゴ オードリーズ ピノ・グリ 2016」 <750ml>¥4,300 ピノ・グリ100%。黄桃やドライフルーツ、白コショウの香り。甘酸っぱいニュアンスの酸味があるので、特に中華料理に合う 「オスラー・ヴィンヤーズ ノース・オタゴ レイクサイド リースリング 2016」 <750ml>¥4,000 リースリング100%。洋梨やハーブの香り、かすかなペトロール香。フルーティーですっきりとした味わい。かすかな塩味があるので、魚介類との相性は抜群

(写真左から)
「オスラー・ヴィンヤーズ ノース・オタゴ キャロラインズ・ピノ・ノワール 2016」<750ml>¥6,300
ピノ・ノワール100%。チェリーや黒スグリ、スパイスの香り。しなやかな酸と繊細な果実味。“キャロライン”とは、かつてのジェラム氏の患者の名前。「キャロラインは初めてノース・オタゴにピノ・ノワールを植樹した栽培家の婚約者で、とても美しい心を持っていた。彼女の名をワインにつけることで、その思いを残したかったんだ」
「オスラー・ヴィンヤーズ ノース・オタゴ オードリーズ ピノ・グリ 2016」<750ml>¥4,300
ピノ・グリ100%。黄桃やドライフルーツ、白コショウの香り。甘酸っぱいニュアンスの酸味があるので、特に中華料理に合う
「オスラー・ヴィンヤーズ ノース・オタゴ レイクサイド リースリング 2016」<750ml>¥4,000
リースリング100%。洋梨やハーブの香り、かすかなペトロール香。フルーティーですっきりとした味わい。かすかな塩味があるので、魚介類との相性は抜群

 前出のキャロラインズ・ピノ・ノワールは「オスラー・ヴィンヤーズ」を代表するワインで、きめ細やかなタンニンとピュアな酸味が特徴だ。太陽の明るさを感じさせる果実味と、酸の中にあるひんやりとしたニュアンスが、ブルゴーニュとはひと味違うニュージーランドのピノ・ノワールであることを物語る。

「オスラー・ヴィンヤーズ」の誕生は1998年。ワイナリーを立ち上げることは、ジェラム氏の長年の夢でもあった。医師として、オタゴのメディカルセンターで29年間にわたり多くの患者と向き合ってきたジェラム氏は、大のワイン愛好家でもあり、特にピノ・ノワールに魅せられていた。妹が醸造家であるジェフ・シノット氏と結婚、彼が優秀な醸造家であったことからワイナリーの設立を決心したという。

画像: ワイタキ・ヴァレーの「クロ・オスラー」畑。土壌からは太古のアンモナイトが多く出土する。厳しい土地だが、秀逸なブドウを育む COURTESY OF OSTLER VINEYARDS

ワイタキ・ヴァレーの「クロ・オスラー」畑。土壌からは太古のアンモナイトが多く出土する。厳しい土地だが、秀逸なブドウを育む
COURTESY OF OSTLER VINEYARDS

 ふたりは最高のワインをつくるべく、可能性のある土地を探し、レイスコース・ロードにある畑と出会う。「クロ・オスラー」という名をつけ、ここにピノ・ノワールを植樹した。ピノ・ノワールは、ソーヴィニヨン・ブランと並んでニュージーランドがそのレベルの高さを世界に誇る品種ではあったが、ブルゴーニュのピノ・ノワールに傾倒していた彼は、より繊細でエレガントなスタイルを目指していた。「ノース・オタゴなら理想のピノ・ノワールがつくれる」と確信したという。

「ジェフとは運命的な出会いだった。ふたりとも、この地で素晴らしいピノ・ノワールをつくりたいという強い思いを同じくしていたからね。ここで生まれるピノ・ノワールは本当に美しいんだ。ニュージーランドのピノ・ノワールではなく、“ノース・オタゴのピノ・ノワール”として、多くの人に知ってもらえたらと思うよ」

画像: ジェラム氏の家から望む風景。ニュージーランドらしいのびやかな自然の息吹が感じられる COURTESY OF OSTLER VINEYARDS

ジェラム氏の家から望む風景。ニュージーランドらしいのびやかな自然の息吹が感じられる
COURTESY OF OSTLER VINEYARDS

 現在、「オスラー・ヴィンヤーズ」のワインは、ヨーロッパのファイン・ダイニングなどでもオンリストされ、世界的にも評価が高い。ブルゴーニュやアルザス、アメリカのオレゴンとなどのピノ・ノワールの魅力とはまたひと味違う“ノース・オタゴのピノ・ノワール”。唯一無二のその味わいは、多くのワイン愛好家に宝を見つけたような気分を味わわせてくれるに違いない。

問い合わせ先
ラック・コーポレーション
TEL. 03(3586)7501
公式サイト

 

This article is a sponsored article by
''.