BY MIKA KITAMURA, PHOTOGRAPHS BY MANA LAURENT
世界最古の穀物のひとつ、大麦。1万年ほど前から西アジアや中央アジアで栽培され、日本でも麦茶や味噌、ビールや焼酎の原料として欠かせない存在だ。
料理研究家の有元葉子さんは数カ月前から毎朝、大麦を食べているという。「体調はすこぶるいいです」と朗らかに笑う。「もともと健康で、何かの数値が劇的に変わったわけではないですが、日々快調ですね。飽きのこない味わいと食感を楽しんでいます」
筆者も大麦を食べ始めて8~9年。以来、おなかも肌も調子がよく、大麦の健康効果によるものと実感している。大麦は食物繊維の宝庫で、その含有量は精白米の約16倍、さつまいもの約4倍。食物繊維には水溶性と不溶性があり、大麦の食物繊維はこれらがほぼ半量ずつ。注目すべきは水溶性食物繊維「β-グルカン」。一緒に食べたものの消化吸収を緩やかにし、肥満や糖尿病につながる食後の急激な血糖値の上昇を抑え、余分なコレステロールを減らす効果があるそう。大腸内の環境を整え、腸内の免疫細胞を活性化して免疫力をアップ。古来、穀物として食されてきた安心感あるスーパーフードと言ってよい。
有元さんは、「食べて健康になることが食生活の基本」と言う。「おいしいものは体に良いと思っています。大麦もおいしいから食べ続けられる。体に良いからという義務感だけでは続けられないでしょう? 私はイタリア生活が長いのですが、あちらでは小麦を粒のまま売っているので、ゆでてスープやサラダにしたり、クスクスにしたり。だから、大麦もすぐ取り入れることができました。毎日の食事はシンプルがいちばん。調理を最小限にすれば気楽ですし、調味も塩やオリーブオイルだけとミニマルであれば飽きません」
有元さんの朝は大麦をゆでることから始まる。ぷちぷち感を残すため、ゆで時間は20分ほど。その間に野菜やフルーツなどを用意する。朝は元気が出る明るい色の器を選び、大麦を盛って牛乳をかける。「牛乳はおいしいものを。以前はナッツやドライフルーツを合わせていましたが、大麦と牛乳だけで十分。たまにメープルシロップをかけることも」。ぷっちりした口あたりで、よく嚙めば少量でも満腹感があるのだとか。有元流大麦生活はまさにシンプル・イズ・ベストなのだ。