BY YUKIKO HIRANO

今回は平野さんの愛猫・クミンが特別出演。ワインボトルの後ろにシックに佇む一瞬を捉えて。菊芋は、”塊茎”と呼ばれる生姜に似た茎の部分を食す野菜で、江戸時代には日本に伝来していたそう。血糖値の上昇を穏やかにするイヌリンや、カリウム、食物繊維を含んでいる。11月から旬を迎える
まるで生姜のような見た目の菊芋は、“天然のインスリン”と呼ばれる成分イヌリンを含み、血糖値の上昇を抑える効果があり、サプリなどにも利用されているスーパーフードだ。デンプンが少ないのでその特質を生かした調理ができる。生で食べればサクサク、炒めても、揚げてもいいし、フレンチ、イタリアン、エスニック、和食までさまざまに使える野菜だ。「菊芋は、カロリーもじゃがいもの半分くらい。健康面でばかり取り上げられがちですが、フランスではトピナンプールという名で、ポタージュやピュレにしたりします。菊芋の味わいはワインとの相性が抜群で、白でも赤でも合わせられます。菊芋を食べるとワインが飲みたくなるくらい(笑)。今回は、いま注目をあびているレバノンワインに合わせたレシピもご紹介しますね」(平野さん)
レシピ1:菊芋のチップス
菊芋のチップスは揚げ物という範疇に入らないのでは、というくらい手軽。デンプンをほとんど含まないので水にさらす必要もなく、油も少量でいい。たったこれだけでワインの最良のパートナーができあがる。

揚げたては少し柔らかくても、冷めるとカリッとする。塩だけで十分においしいが、好みでスパイスを振りかけても
<材料 2人分>
菊芋5〜6個、揚げ油適量、塩
<作り方>
1 菊芋は皮つきのまま薄切りにする。イヌリンは水溶性なので、水にさらさずに調理する。菊芋にはデンプンが少ないのでさらす必要がない。
2 フライパンに揚げ油を2㎝程度の量を入れて熱し、菊芋を加えて3〜4分、薄く色づくまで揚げる。油を切り、塩をふる。

皮つきのまま、薄切りにしてそのまま揚げるだけという手軽さが魅力。菊芋のファーストレシピはこれ以外をおいてないだろう
レシピ2:菊芋のレバノン風
レバノンワインに合わせたい一品。コリアンダーやターメリックのスパイシーな味わいにレモンの酸味が新鮮。「本来はじゃがいもで作るレバノン料理を、菊芋でアレンジしてみました。じゃがいもで作るよりも簡単でヘルシー、そして菊芋の根菜らしい味わいが加わります。レモンの酸味をしっかり効かせると、異国情緒溢れる味になります」(平野さん)

レバノン料理はオリーブオイル、レモン、スパイスを使った野菜たっぷりでヘルシーなものが多い。その地域で伝統的に作られているワインとの相性も抜群
<材料 2人分>
菊芋300g、コリアンダー1茎、にんにく1かけ、赤唐辛子1本、コリアンダーシード(粒)・パプリカ・ターメリック(各)小さじ1、オリーブオイル大さじ1、レモン汁大さじ1、塩、こしょう
<作り方>
1 菊芋は皮つきのままを5㎜程度の厚さに切る。コリアンダーは軸と葉の部分を分け、1㎝の長さに切る。にんにくはみじん切り、赤唐辛子は半分に切る。
2 フライパンにオリーオイル、コリアンダーシード、赤唐辛子を入れて熱す。よい香りがしてきたら、菊芋を入れて塩、こしょうをふって炒める。
3 菊芋が薄く色づいてきたら、にんにく、ターメリック、パプリカ、コリアンダーの軸を加えてさらに炒め、仕上げにレモン汁、コリアンダーの葉を加え混ぜる。
4 器に盛り、レモン(分量外)を添える。
【今月のお酒セレクト:シャトーマーシャス ブラン 2014】

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO
世界で最も古いワイン産地の一つ、レバノン。内戦、戦乱の絶えない中、ワインをつくり続けるワイナリーは、そのレベルの高さからも世界から注目されている。シャルドネとソーヴィニヨンブランからつくられた白ワインは厚みのある果実味、表情豊かな充実感のある味わいだ。「極限の状況下でワインをつくり続けていることへの敬意も込めて、このワインを選びました。ワインを味わうことは世界を知ることにもつながっていきます。戦地でできたワインの強さをぜひ一度味わってみてください」(平野さん)
レバノンの不屈のワインメーカーたちを描いた映画が公開
レバノンは知られざる世界最古のワイン産地のひとつ。戦争中もワインを作り続けてきたワインメーカーたちが登場し、その人生哲学や幸福に生きる秘訣を語る注目の映画『戦地で生まれた奇跡のレバノンワイン』が公開される。レバノンワインの奥深さを知るきっかけになる作品だ。
映画『戦地で生まれた奇跡のレバノンワイン』予告編
www.youtube.com11月18日よりアップリンク吉祥寺ほかにて全国順次公開
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