BY YUKIKO HIRANO
冬に旬を迎える春菊。キク科の植物で、春に花が咲くことからこう呼ばれるようになったという。ほろ苦さと特有の香りのある春菊は、鍋ものに欠かせない冬を代表する青菜だ。「最近はサラダなど生で食べるレシピが人気です。生だと、加熱するよりも苦味や香りがマイルドに感じられるので、たっぷり食べられるのが魅力。今回のメニューには、今、注目しているどぶろくを合わせてみました。蔵によって様々ですが、爽やかな酸味があり、シュワッとした発泡を感じるものがあります。そんなどぶろくはフレッシュな野菜料理と相性がいい。春菊の香りと歯ごたえを、どぶろくが引き立ててくれます」(平野さん)
レシピ1:春菊のポテトサラダ
こんなに?と思うくらいの量の春菊を加えるのがポイント。噛むたびに春菊のフレッシュな香りが広がり、クリーミーなどぶろくがポテトサラダを包み込む、新しい出会いをお試しあれ。
<材料 4人分>
じゃがいも4個(600g)、春菊1/2束、玉ねぎ1/4個、マヨネーズ70g、ディジョンマスタード大さじ1
A[オリーブオイル大さじ1、ワインヴィネガー小さじ1、塩少々]
<作り方>
1 春菊は水につけてしゃっきりとさせる。軸、葉ともに1㎝幅に切る。玉ねぎはごく薄切りにし、塩もみして水にさらした後、水気をよく拭き、[A]でマリネしておく
2 じゃがいもは2〜3等分の乱切りににし、1%の塩を加えた水に入れてゆでる。柔らかくゆで上がったら、水気を切り、弱火にかけて粉ふきにし、木ベラなどでつぶす。
3 じゃがいもが熱いうちに1の玉ねぎ、マヨネーズ、マスタードを加えて和える。
4 粗熱がとれたら、春菊の葉、軸を加え混ぜる。
レシピ2:春菊のジョン
少量の粉をまとわせ、卵を絡めて焼く韓国料理、ジョン。春菊の中に相性のいい牡蠣を忍ばせて、カリッと香ばしく揚げ焼きに。
<材料 2人分>
春菊1/3束(50g)、牡蠣(加熱用)4粒、卵1個、薄力粉大さじ1/2、ごま油大さじ3〜4、塩
<作り方>
1 春菊は水につけてしゃっきりとさせる。春菊の葉は2〜3㎝長さのざく切りにする。軸は斜め薄切りにする。
2 牡蠣は汚れを落とすために片栗粉と塩(ともに分量外)を振り入れて軽く揉み、洗っておく。
3 ボウルに1を入れて薄力粉を加えて混ぜ合わせる。
4 卵は溶きほぐし、塩少々を加えて3に加え混ぜる。牡蠣も加える。
5 フライパンにごま油を熱し、春菊を4等分し、中央に牡蠣がくるようにして7〜8㎝大にまとめ、平たくし、中弱火で焼く。カリッとして焼き色がついたら、反対側も焼く。酢醤油などをつけていただく。
【今月のお酒セレクト:稲とアガベ どぶろくseries 改良信交 水もと 01】
どぶろくとは、米と麹と水を発酵させ、日本酒造りで行う「搾り」のないお酒。起源は稲作と同じくらい古いと言われている。濾していないことから、米と米麹の栄養、アミノ酸やコウジ酸がそのまま残っているので、美容面、健康面からも注目されている。「稲とアガペのどぶろくは、精米歩合92%とお米をあまり削らずに、水もと仕込みで作ったどぶろく。お米の甘みとシルキーなテクスチャー、ほど良い酸味があるので、料理と合わせやすいですね。和食はもちろん、スパイス料理やフルーツを使った料理などとの相性もいい。そして、野菜のおいしさを引き立ててくれる魅力的なお酒です」(平野さん)
平野由希子
素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評のある料理家。書籍や雑誌、広告で活躍するかたわら飲食店のプロデュースや商品開発も手がける。日本ソムリエ協会認定ソムリエで、ワインバー「8huit.」のオーナーでもある。ワインと料理のペアリングが楽しめる料理教室も主宰。公式サイトはこちら