パリを拠点に、世界各地で活躍中のパティシエ・長江桂子さんが、家庭で楽しむお菓子づくりを特別指南。パリで培ったレシピは、砂糖やバターの量をギリギリまで減らし、味わい深いのに食べ心地は軽やか。基本のレシピをマスターしたら、風味や形を変えてさまざまに楽しめる提案も。作りやすく簡単なのに、奥深く、これさえ覚えておけば、お菓子づくりには一生困らない。とっておきのシンプルレシピを、丁寧にお伝えします。今回は、Vol.1で習った「バヴァロア・ヴァニーユ」を発展させて、「バヴァロア・ショコラ」を作ります。お菓子の時間の幸せを、あなたもどうぞ

RECIPE BY KEIKO NAGAE, PHOTOGRAPHS BY MANA LAURENT, TEXT BY MIKA KITAMURA

画像: プラスチックカップに冷やし固めたバヴァロア・ショコラ。チョコレートを削ったり、ナッツをのせたりと、ほんの少しの工夫でランクアップ。プラカップとは思えないエレガントな仕上がりに

プラスチックカップに冷やし固めたバヴァロア・ショコラ。チョコレートを削ったり、ナッツをのせたりと、ほんの少しの工夫でランクアップ。プラカップとは思えないエレガントな仕上がりに

 なめらかでクリーミーなバヴァロア。牛乳、卵黄、砂糖で作る「アングレーズソース」に、泡立てた生クリームとゼラチンを加え、冷やし固めたお菓子。第1回は基本のバヴァロアとして「バヴァロア・ヴァニーユ」を、第2回はいちごを加えた「いちごのバヴァロア」を使った華やかなケーキ「シャルロット」の作り方を習った。第3回は、いちごの代わりにチョコレートを加えた、バヴァロア・ショコラをご紹介。チョコレート好きにはたまらない、濃厚で魅惑の味わい。砂糖を加えず、チョコレートの甘みを利用するので、甘さ控えめな大人の味。加えるチョコレートのカカオ成分の割合で、味わいも変わってくるので、好みの味のチョコレートで作ってみましょう。

画像1: パリのパティシエ
長江桂子さんにお菓子を習う
Vol.3 バヴァロア・ショコラ

材料(作りやすい分量)

牛乳 200g
卵黄40g(約2個分)
チョコレート*100g
ゼラチン(200ブルーム)**2g
生クリーム 35% 200g
*チョコレートは好みのもので。今回はカカオ成分70%のダークチョコレートを使用。カカオ成分の少ないものを使用する場合、量を少し増やしてもよい。
**ゼラチンは200ブルームを使用

下準備

・粉ゼラチンは小さなボウルに入れ、12g(6倍量)の水を加えて混ぜ、ふやかす。板ゼラチンの場合は、たっぷりの氷水に漬ける。

・チョコレートは刻む(材料の写真はすでに刻んだもの)。

作り方 

1 アングレーズソースをつくる。牛乳を沸騰直前まで温める。

2 ボウルに卵黄を入れ、泡立て器で白っぽくもったりとするまですり混ぜる。

3 1の牛乳の半量を2に加 えてよく混ぜ、鍋に戻し入れる。ゴムベラで底を万遍なく混ぜながら、表面の泡が消え、トロッとするまで炊いて、アングレーズソースを完成させる。出来上がりの目安は、ヘラについたソースを指でこすってみて、跡がついたらOK。

*万が一、3のアングレーズソースにダマができてしまったら、ざるで漉した後に、ハンドミキサーでなめらかになるまで混ぜるとよい。強火で加熱し過ぎたり、鍋底をよくかき混ぜなかったりすると、ダマができやすい。

4 3が温かいうちにゼラチンを加えて溶かす。ゼラチンは熱に弱く、熱しすぎると凝固力が弱まってしまうので、余熱のあるこのタイミングで必ず溶かすこと。バニラのさやが入っていないので、今回は漉さない。

バヴァロア・ヴァニーユの作り方はこちら

画像1: 作り方

5 チョコレートをボウルに入れ、4を2〜3回に分けて加える。

画像2: 作り方

6 4を加えるたびに、ヘラで中心から同じ方向によく混ぜ合わせる。4がまだ温かいのでチョコレートが溶けていく。

画像3: 作り方

7 アングレーズソースを少しずつ(2〜3回に分けて)加えるほうがよく混ざり合う。水分と油分を乳化させるので、マヨネーズ作りのように少しずつアングレーズソースを加えながら混ぜていくと、やりやすい。

画像4: 作り方

8 最後にハンドミキサーでなめらかになるまで撹拌する。もし固まり始めてしまったら、湯煎して温めれば大丈夫。

9 生クリームは6分立てに泡立てる。

画像5: 作り方

10 生クリームを半分加え、ヘラで底からすくい上げるように全体を混ぜ合わせる。

画像6: 作り方

11泡立て器に持ち換え、下からすくい上げるように全体を合わせる。泡立てた生クリームの気泡をつぶさないよう、少ない回数で全体を混ぜ合わせるのがよい。

画像7: 作り方

好みの器(グラスやプラスチックカップなど)に注ぎ入れ、冷蔵庫で冷やし固める。
基本のチョコレートのバヴァロアはこれで完成だが、バヴァロア・ヴァニーユ同様、フランスでは、そのままではなく、何か添えることが多いとか。ふんわり泡立てた生クリームやカカオパウダーを振ったり、削ったチョコレートやナッツ、砕いたクッキーなどを添えてデザートとして組み立てる。「家にあるものでも、いろいろ楽しめますよ」と長江さん。

仕上げ

画像1: 仕上げ

好みの板チョコの表面をスプーンの先を当てて奥から手前に削ると、くるんと薄く削ぐことができる。もしくは、板チョコの側面にピーラーを当てて削るやり方でもよい。

画像2: 仕上げ

削ったチョコレートはキッチンペーパーなどにのせ、カカオパウダーをふる。カカオパウダーはカカオの風味をより豊かにし、チョコレート同士がくっつかないメリットも。

画像3: 仕上げ

削ったチョコレートをのせるだけで、立派なデザートに変身!

長江桂子(ながえ・けいこ)
学習院大学を卒業後、ソルボンヌ大学に留学。ル・コルドン・ブルーでディプロマを取得。「ラデュレ」を経て、ロンドン「スケッチ」のオープニングスタッフに。2003年ヤニック・アレノ率いる「オテル・ムーリス」、2004年「オテル・ランカスター」シェフパティシエ、2008年パリ「ピエール・ガニェール」シェフパティシエを歴任。2012年、ガストロノミー界のコンサルティング会社「AROME」をフランスで設立。パリを拠点に、世界各地にて菓子ブランドや店舗の立ち上げ、商品開発、技術指導、監修などを手がける

パティシエ 長江桂子のお菓子レシピをもっと見る>

関連記事

T JAPAN LINE@友だち募集中!
おすすめ情報をお届け

友だち追加
 

LATEST

This article is a sponsored article by
''.