パリを拠点に、世界各地で活躍中のパティシエ・長江桂子さんが、家庭で楽しむお菓子づくりを特別指南。パリで培ったレシピは、砂糖やバターの量をギリギリまで減らし、味わい深いのに食べ心地は軽やか。基本のレシピをマスターしたら、風味や形を変えてさまざまに楽しめる提案も。作りやすく簡単なのに、奥深く、これさえ覚えておけば、お菓子づくりには一生困らない。とっておきのシンプルレシピを、丁寧にお伝えします。今回は、Vol.1で習った「バヴァロア・ヴァニーユ」を発展させて、シャルロットを作ります。お菓子の時間の幸せを、あなたもどうぞ

RECIPE BY KEIKO NAGAE, PHOTOGRAPHS BY MANA LAURENT, TEXT BY MIKA KITAMURA

画像: バヴァロア・フレーズ(いちごのバヴァロア)を市販のスポンジとビスキュイに流し込んで冷やし固めれば、「シャルロット」というお菓子になる。シャルロットはフランス生まれのケーキ。隣国イギリスのジョージ3世の王妃であり、帽子好きで知られるシャーロット妃が愛用していた帽子の形に似ていたことから、この名で呼ばれるようになったとも言われる(諸説あり)

バヴァロア・フレーズ(いちごのバヴァロア)を市販のスポンジとビスキュイに流し込んで冷やし固めれば、「シャルロット」というお菓子になる。シャルロットはフランス生まれのケーキ。隣国イギリスのジョージ3世の王妃であり、帽子好きで知られるシャーロット妃が愛用していた帽子の形に似ていたことから、この名で呼ばれるようになったとも言われる(諸説あり)

なめらかでクリーミーなバヴァロア。牛乳、卵黄、砂糖で作る「アングレーズソース」に、泡立てた生クリームとゼラチンを加え、冷やし固めたお菓子。第1回は基本のバヴァロアとしてバヴァロア・ヴァニーユを習った。第2回は、いちごを加えた「いちごのバヴァロア」のレシピを。バヴァロア・ヴァニーユのヴァニラのかわりにいちごを加えるだけ。作り方はほぼ同じだ。いちごの甘酸っぱい風味がギュンと詰まって、つるん、とろんで、ミルキー。今回は冷凍いちごと市販のビスキュイ(フィンガービスケット)&スポンジ生地を使い、簡単にシャルロットに仕立てる方法をご紹介する。

画像1: パリのパティシエ
長江桂子さんにお菓子を習う
Vol.2 シャルロット いちごのバヴァロアを使って

材料(直径16cmのセルクル1台分)

〈いちごのバヴァロア〉
牛乳 100g
卵黄 60g(約3個分)
砂糖 40g
ゼラチン(板ゼラチンでも) * 6g
いちご(冷凍)**200g
生クリーム(35%) 200g
*ゼラチンは硬度200ブルームのものを使用
**冷凍ではなく、フレッシュないちごもOK。いちごのほかに、同量のフランボワーズを使ってもおいしい。
〈生地や飾り〉
スポンジケーキ*(市販・直径16cm 厚さ約1cm)1枚 
ビスキュイ(市販)1袋
いちご 1〜2パック
*カステラや砕いたクッキーにバターを合わせて敷いてもよい。

下準備

粉ゼラチンは小さなボウルに入れ、30g(6倍量)の水を加えて混ぜ、ふやかす。板ゼラチンの場合は、たっぷりの氷水に漬ける。

画像1: 下準備

底紙の上にセルクルを置き、周囲にビスキュイを並べる。スポンジを、ビスキュイの内側の直径サイズにカットして、底に敷く。

画像2: 下準備

ビスキュイを高さに合わせてカットし(約8cm)、側面をおろし器で削って幅を調節する。残ったビスキュイは、グラスに流し込んだバヴァロア(第1回参照)の上に砕いてのせてもOK。

作り方 

1 アングレーズソースをつくる。牛乳を沸騰直前まで温める。

2 ボウルに卵黄、砂糖を入れ、泡立て器でもったりとするまでしっかり混ぜる。白っぽかったのが、濃い卵色になり、なめらかでツヤが出てくるまですり混ぜる。

3 1の牛乳の半量を2に加 えてよく混ぜ、鍋に戻し入れる。ゴムベラで底を万遍なく混ぜながら、表面の泡が消え、トロッとするまで炊いて、アングレーズソースを完成させる。出来上がりの目安は、ヘラについたソースを指でこすってみて、跡がついたらOK。

*万が一、3のアングレーズソースにダマができてしまったら、ざるで漉した後に、ハンドミキサーでなめらかになるまで混ぜるとよい。強火で加熱し過ぎたり、鍋底をよくかき混ぜなかったりすると、ダマができやすい。

4 3が温かいうちにゼラチンを加えて溶かす。ゼラチンは熱に弱く、熱しすぎると凝固力が弱まってしまうので、余熱のあるこのタイミングで必ず溶かすこと。バニラのさやが入っていないので、今回は漉さない。

バヴァロア・ヴァニーユの作り方はこちら

画像1: 作り方

5 いちごを冷凍庫から取り出してボウルに入れ、4を加えて、ハンドミキサーでなめらかになるまで撹拌する。4が温かいので、冷凍いちごはすぐに解凍される。ハンドミキサーがなければ、フォークでいちごを潰してもよい。フレッシュないちごを使う場合は、4のアングレーズソースの粗熱を取ってから加える。

6 生クリームは 6分立てに泡立てる。

画像2: 作り方

7 5に6を2〜3回に分けて加え、左手でボウルを回しながら泡立て器で丁寧に合わせていく。

画像3: 作り方

8 最後はヘラに持ち換え、下からすくい上げるように全体を合わせる。泡立てた生クリームの気泡をつぶさないよう、少ない回数で全体を混ぜ合わせるのがよい。

仕上げ

画像: 仕上げ

いちごを適宜、カットする。少し大きめにカットするとよい。下準備をしたセルクルに、7の1/2量を流し込んで、カットしたいちごを散らし、残りの7を流し込む。両手で持ってトントンと軽く落として表面をなめらかにする。冷蔵庫で1時間ほど冷やし固める。上に残りのいちごをのせて、好みでリボンを巻く。

仕上げのバリエーション

画像1: 仕上げのバリエーション

小さいケーキ型(セルクルでもよい。ここでは直径10cmを利用)を、型ごとラップで包み、皿やトレーに載せる。輪切りにしたいちごを、型の底と側面に貼り付ける。いちごのバヴァロアを流し込み、両手で持ってトントンと型を軽く落として、隙間にもバヴァロアが入るようにする。表面をへらでならし、残ったビスキュイを、流し込んだバヴァロアの上にのせて敷き、冷蔵庫で冷やし固める。

画像2: 仕上げのバリエーション

型の上にお皿などをのせて、上下をひっくり返す。それから静かにラップをはずし、型をはずせば、このとおり。残ったビスキュイを利用したシンプルバージョンだが、目にも鮮やかな素敵なデザートに。あればまわりに花を飾っても。

長江桂子(ながえ・けいこ)
学習院大学を卒業後、ソルボンヌ大学に留学。ル・コルドン・ブルーでディプロマを取得。「ラデュレ」を経て、ロンドン「スケッチ」のオープニングスタッフに。2003年ヤニック・アレノ率いる「オテル・ムーリス」、2004年「オテル・ランカスター」シェフパティシエ、2008年パリ「ピエール・ガニェール」シェフパティシエを歴任。2012年、ガストロノミー界のコンサルティング会社「AROME」をフランスで設立。パリを拠点に、世界各地にて菓子ブランドや店舗の立ち上げ、商品開発、技術指導、監修などを手がける

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