季節の野菜が持つ本来の美味しさを引き出すことを知り尽くしている料理家・平野由希子さんが、いま食べたい野菜で作る魅惑のお料理と、相性のよいお酒のペアリングを、時代のトレンドに合わせた視点で提案。連載第19回は、パリのビストロにいるかような、舞茸と赤ワインの小粋で味わい深いペアリングで秋を堪能!

BY YUKIKO HIRANO

画像: 初秋の舞茸料理をガメイで味わう

初秋の舞茸料理をガメイで味わう

 貴重なため、見つけると舞い上がって喜ぶことから名付けられたという「舞茸」。「栽培ものでも、味も香りもおいしいきのこ。天然ものは9〜10月の短い期間しか手に入りませんが、最近では取り寄せもしやすくなったので、入手して料理するのもいいですね。今回は私の大好きな北ローヌのつくり手のガメイを合わせて舞茸料理を作ります。この赤ワインは湿った森林の土を思わせるような香りがします。ワインを飲むと、舞茸の生えている光景が目に浮かぶようです」(平野さん)。舞茸と赤ワイン、秋の香りが織りなすペアリングを楽しもう。

レシピ1:舞茸の丸ごと焼き

 大胆にそのままごろっとフライパン焼き。割かずに丸ごと焼くと、きのこの汁がたっぷりと滴るような焼き上がりに。

画像: きのこのステーキという風格。バター醤油の香りもたまらない!

きのこのステーキという風格。バター醤油の香りもたまらない!

<材料 2人分>
舞茸1パック、バター大さじ1、醤油小さじ1、かぼす

<作り方>
フライパンにバターを加えて熱す。バターのふわっとした泡が消えたら、舞茸を加えて塩少々をふり、ふたをして中火で焼く。
焼き色が付いたら、裏返して反対側も焼き、仕上げに醤油を加えて絡める。かぼすを添える。

レシピ2:舞茸といちじくのタルティーヌ

 こんがり焼いてとろりとした甘いいちじくに、舞茸の風味を掛け合わせる。これぞ、大人の秋のタルティーヌ。

画像: ベーコンとパルミジャーノチーズの濃厚な味わいと舞茸の歯応え、いちじくの甘み、という幸せな出会いが口の中で広がる

ベーコンとパルミジャーノチーズの濃厚な味わいと舞茸の歯応え、いちじくの甘み、という幸せな出会いが口の中で広がる

<材料 2人分>
パンドカンパーニュ2枚、舞茸1パック、いちじく1個、ベーコン1枚、パルミジャーノチーズ適量、オリーブオイル大さじ1、塩、こしょう

<作り方>
 舞茸は小房に分ける。いちじくはくし形に切る。ベーコンは1センチ幅に切る。
 フライパンにオリーブオイルを熱し、ベーコン、舞茸を入れて塩、こしょうをして炒める。
 パンの上に、いちじくをのせて、チーズをのせる。オーブントースターでチーズが溶けるまで焼く。

【今月のお酒セレクト:ドメーヌ・ロマノー・デストゥゼ ラ・ストゥロンヌ・ガメイ 2020】

画像: PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

フランス北ローヌのガメイ。ナチュラルワインの実力者がつくるワインはガメイの表現によく用いられる薄旨、ピュアという言葉だけでは片付けられない上質な味わい。「繊細な果実味にしっとりとした風味。秋になって、こういうワインをゆっくり味わえることの幸せを感じます。秋の和食と合わせても食卓にエレガントさをもたらしてくれそうです」(平野さん)

平野由希子
素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評のある料理家。書籍や雑誌、広告で活躍するかたわら飲食店のプロデュースや商品開発も手がける。日本ソムリエ協会認定ソムリエで、ワインバー「8huit.」のオーナーでもある。ワインと料理のペアリングが楽しめる料理教室も主宰。
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