BY YUKIKO HIRANO
肉厚でカラフルなパプリカ。ピーマンもパプリカも、ともにナス科トウガラシ属に分類される野菜だが、未熟果のピーマンに対して、パプリカは完熟してから収穫される。「ピーマンは苦味がおいしいのですが、パプリカは甘味。それを最大限に生かすような加熱方法をしてみましょうか。じっくり焼いたり、トマトと一緒に煮込みます。そのおいしさを味わうためには赤ワインも欠かせませんね。赤いパプリカ料理と赤ワインの組み合わせはエネルギーをもらえるような気がします」(平野さん)
レシピ1:パプリカのマリネ
オーブンでじっくり焼いたパプリカからは、甘い汁が滴り落ちる。とろりとした果肉を受け止めるのは、柔らかな旨味のカベルネ・フラン。
<材料 2~3人分>
パプリカ(赤)2個、オリーブ油・バルサミコ酢各大さじ1、塩・こしょう各少々、バジル適宜
<作り方>
1 パプリカは220度のオーブンで20〜30分、皮に焦げ色がつくまで焼く。
2 ボウルに入れてふたをして5〜10分蒸らす。ボウルにざるをのせ、その上に半分に切ったパプリカをのせて皮、種をとり除く。ボウルにたまる焼き汁は取っておく。
3 食べやすく切り、オリーブ油、バルサミコ酢、2の汁を混ぜ合わせたものをかけ、バジルを散らす。
レシピ2:ピペラド
バスク風地方のパプリカとトマトの煮込み。卵を加えて柔らかいスクランブル風に仕上げ、生ハムを添える。卵なしでそのまま食べたり、鶏肉を加えたりとアレンジは自在。
<材料 2~3人分>
パプリカ(赤・オレンジなど合わせて)1個分、トマト水煮缶1/2缶、玉ねぎ1/4個、にんにく1/2かけ、エスプレット(バスク風唐辛子)または赤とうがらし1本、卵2個、塩・こしょう各適量、オリーブ油大さじ1、生ハム適量
<作り方>
1 パプリカは半分の長さにし、7ミリ程度の幅に切る。玉ねぎは薄切り、にんにくは半分に切り、芽をとってつぶす。
2 鍋にオリーブ油とにんにくを入れて熱し、薄く色づいてきたら、パプリカを入れてしんなりとするまで炒める。トマト水煮、塩を加えて、ふたをして15分煮る。エスプレットを加えて、調味する(エスプレットを使わない場合には、にんにくを熱する時に赤唐辛子を加える)。
3 卵は溶きほぐして、塩、こしょうを軽くする。2に加えて弱火でかき混ぜ、とろりとしたところで火を止める。生ハムを添える。
【今月のお酒セレクト:ドゥ・ヴァン・オー・リアン カオス 2019】
「絆のワイン」という名を持つ、2019年に立ち上げられたナチュラルワイン。ロワールのカベルネ・フランの畑仕事は全て馬によって耕されている。「ロワールのカベルネ・フランは未熟なものはピーマンのような香りがすることがありますが、このワインの熟した柔らかな丸みはじっくり加熱したパプリカの旨味に寄り添ってくれます。おいしい野菜とワインがあれば、豊かな時間が生まれますね」(平野さん)
ずっと身近に置きたい一冊──平野由希子さんの新著が発売!
平野さんが、これまでの書籍では伝えきれなかった料理の原点をまとめた新著『ma cuisine おいしさの引き出し方』が好評発売中。「春夏秋冬野菜のことを思い続けている」「肉料理はつくれば作るほど、上手くなる」といった心に響く言葉とともに、野菜料理、肉料理、揚げ物、魚料理など約70品がずらり。家庭のキッチンでとびきりおいしく作るコツ、さらに調理のしやすさも追求した極上のレシピは、時代の流行に左右されない一生もの。まるで食材とお料理へのラブレターのような、ずっと身近に置いておきたい一冊だ。
平野由希子
素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評のある料理家。書籍や雑誌、広告で活躍するかたわら飲食店のプロデュースや商品開発も手がける。日本ソムリエ協会認定ソムリエで、ワインと料理のペアリングが楽しめる料理教室も主宰。
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