TEXT & PHOTOGRAPHS BY JUNKO AMANO
河原町今出川「茶房 いせはん」
出町枡形商店街のほど近く、京都の日常が残る出町柳エリアに佇む「茶房 いせはん」。元々はこの場所で「伊勢半」という荒物屋を営んでいたが、1997年に茶房に転身。創業時から小豆を炊き、あんみつやあんみつを提供していたものの、その頃はモーニングやサンドイッチもあり、喫茶店色が強かったという。
店主・伊藤良崇さんは、それまで甘味を作った経験はなかったが、試行錯誤を繰り返し、甘味メニューを日々改良。気付けば、甘味のおいしい店として知られるようになった。
丹波大納言ぜんざいも、いせはん流の作り方に。あんみつなどに使用しているしっかり形が残った粒餡と、パフェなどに使う粒感をところどころに感じる”半ごろし”と呼ばれる餡を炊き合わせるのが特徴で、お汁粉のようにとろりとした口当たりとしっかりとした粒感を両方味わうことができる。
毎秋、丹波栗の時期になると、丹波栗の渋皮煮入りぜんざいが登場するのもお楽しみ。鬼皮をむいた後、アクを抜き、砂糖で煮るのだが、栗が硬くならないように、砂糖を何度かに分けて入れ、途中で火を止めて中までじっくり甘みを浸透させるなど、手間暇を要する。そうしてできあがった渋皮煮はしっかり形が残りつつ、口に運ぶと、ほろりと崩れ、ほっくり栗の甘みが広がる。あんことの相性も抜群だ。
通常「丹波栗ぜんざい」は10月末から翌年の節分頃まで楽しめるが、今年は出始めるのも遅く、不作だったため、11月末から始まり、早ければ年明けには終了する可能性も。
ぜんざいと並び、冬に食べたくなるのが「みたらし白玉」だ。昆布出汁を使ったみたらし餡は、優しい甘醬油味で昆布出汁の風味もふわり。もちもちほかほかの白玉を熱々のみたらし餡にからめ、ハフハフいいながら食べれば、温まる。
店の裏には加茂川が流れ、下鴨神社や京都御苑石薬師御門からそれぞれ徒歩8分の場所にあり。キーンと冷えた散歩帰りにいただけば、いつも以上においしく感じ、冬の京都のいい思い出に。
「茶房 いせはん」
住所:京都市上京区青龍町242
営業時間:11:00〜18:30(18:00LO)
定休日:火曜(祝日は営業)
TEL. 075-231-5422
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