京都生まれ、京都育ちの食いしん坊、京都でおいしいものに出合いたければ、この人に聞けばハズレなし!そんなアマジュンこと天野準子の絶品満腹口福アドレス。いよいよ寒さが本格的になり、ほかほかとした湯気が恋しい季節になってきた。そこで今月は、“温かい甘味”を紹介。第2弾は「茶房 いせはん」へ

TEXT & PHOTOGRAPHS BY JUNKO AMANO

河原町今出川「茶房 いせはん」

画像: 「丹波栗ぜんざい(お餅)」¥1,350。白玉は¥1,200(栗の渋皮煮がなくなり次第終了)

「丹波栗ぜんざい(お餅)」¥1,350。白玉は¥1,200(栗の渋皮煮がなくなり次第終了)

 出町枡形商店街のほど近く、京都の日常が残る出町柳エリアに佇む「茶房 いせはん」。元々はこの場所で「伊勢半」という荒物屋を営んでいたが、1997年に茶房に転身。創業時から小豆を炊き、あんみつやあんみつを提供していたものの、その頃はモーニングやサンドイッチもあり、喫茶店色が強かったという。      
 店主・伊藤良崇さんは、それまで甘味を作った経験はなかったが、試行錯誤を繰り返し、甘味メニューを日々改良。気付けば、甘味のおいしい店として知られるようになった。
 丹波大納言ぜんざいも、いせはん流の作り方に。あんみつなどに使用しているしっかり形が残った粒餡と、パフェなどに使う粒感をところどころに感じる”半ごろし”と呼ばれる餡を炊き合わせるのが特徴で、お汁粉のようにとろりとした口当たりとしっかりとした粒感を両方味わうことができる。
 毎秋、丹波栗の時期になると、丹波栗の渋皮煮入りぜんざいが登場するのもお楽しみ。鬼皮をむいた後、アクを抜き、砂糖で煮るのだが、栗が硬くならないように、砂糖を何度かに分けて入れ、途中で火を止めて中までじっくり甘みを浸透させるなど、手間暇を要する。そうしてできあがった渋皮煮はしっかり形が残りつつ、口に運ぶと、ほろりと崩れ、ほっくり栗の甘みが広がる。あんことの相性も抜群だ。

画像: 丸餅はお向かいの「出町ふたば」製。ぜんざいは餅と白玉を選べる(餅は秋から春までのみ)

丸餅はお向かいの「出町ふたば」製。ぜんざいは餅と白玉を選べる(餅は秋から春までのみ)

 通常「丹波栗ぜんざい」は10月末から翌年の節分頃まで楽しめるが、今年は出始めるのも遅く、不作だったため、11月末から始まり、早ければ年明けには終了する可能性も。
 ぜんざいと並び、冬に食べたくなるのが「みたらし白玉」だ。昆布出汁を使ったみたらし餡は、優しい甘醬油味で昆布出汁の風味もふわり。もちもちほかほかの白玉を熱々のみたらし餡にからめ、ハフハフいいながら食べれば、温まる。

画像: 深煎りきなこをかけてもおいしい「みたらし白玉」¥700(秋から春まで限定)

深煎りきなこをかけてもおいしい「みたらし白玉」¥700(秋から春まで限定)

 店の裏には加茂川が流れ、下鴨神社や京都御苑石薬師御門からそれぞれ徒歩8分の場所にあり。キーンと冷えた散歩帰りにいただけば、いつも以上においしく感じ、冬の京都のいい思い出に。

画像: 千鳥に小豆がロゴマーク

千鳥に小豆がロゴマーク

画像: かつては鯖街道の終着点として栄えた出町柳エリア。出町柳駅からは徒歩4分

かつては鯖街道の終着点として栄えた出町柳エリア。出町柳駅からは徒歩4分

「茶房 いせはん」
住所:京都市上京区青龍町242  
営業時間:11:00〜18:30(18:00LO)
定休日:火曜(祝日は営業)
TEL. 075-231-5422
公式インスタグラムはこちら

画像: 天野準子 生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント

天野準子
生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント

京都人・天野準子の「これ、おいしいから食べよし」記事一覧へ

▼あわせて読みたいおすすめ記事

T JAPAN LINE@友だち募集中!
おすすめ情報をお届け

友だち追加
 

LATEST

This article is a sponsored article by
''.