暮らしを無理なく調えるスープを提案する連載の第8回目は、「ゴーヤーと豆腐のすり流し」をお届けします。火を使う時間はわずか2、3分。手早く簡単に作れるのに、大切なたんぱく質もビタミンもしっかりとれる。冷やしていただけば、するりとなめらかのどごしが最高。一緒に食べたいとうもろこしごはんは、ごはんを炊いて蒸らすだけ。暑気疲れが癒され、心身ともに活力がわくレシピで、夏を楽しく乗り切って!

RECEPI BY TOMOKO NAGAO, PHOTOGRAPHS BY TAKAKO HIROSE, TEXT BY MIKA KITAMURA

画像1: 長尾智子の日々のスープ
Vol.8 ゴーヤーと豆腐のすり流しと
とうもろこしごはん

滋養強壮。たんぱく質たっぷりの穏やかな味わい

「すり流し」をご存知ですか? 野菜や魚介類をすりおろし、だしでのばしたしみじみおいしい汁物のこと。今回は、豆腐のすり流しに鶏挽き肉とゴーヤをトッピング。料理名を聞くと敷居が高そうだが、実は意外に簡単。長尾流はさらに合理的な調理法で作るので、夏の暑いキッチンに立つ時間は短い。

「だしをとらなければと思うと億劫になりますが、これは鶏挽き肉を昆布水で2〜3分煮るだけ。しかも、鶏挽き肉はトッピングとして食べてしまうので、捨てる部分がありません。昆布水は前の晩から昆布を水に浸しておくだけ。冷蔵庫で1週間ほど持ちますから作っておくと便利ですよ」と長尾さん。

 この鶏挽き肉で作る簡単スープ、ぜひ覚えておきたい。今回は、豆腐をすってクリーム状にしてすり流しにしたが、鶏挽き肉を入れたまま(アクは取って!)、賽の目に切った豆腐を加えたり、卵を溶き入れたりと、このスープは幅広くアレンジできる。

「すり流しのトッピングは、ゆでた枝豆やそら豆、細かく刻んだり、すりおろしたりしたきゅうりでもいいんです。ゴーヤーは生のままだと苦味や青っぽさが際立つので、必ず湯通ししてくださいね」。

 沖縄でゴーヤーは、「ヌチグスイ(命薬)」「クスイムン(薬モノ)とも呼ばれ、独特の苦味が食欲増進効果にもなり、古くから夏バテ防止の食材として重宝されてきた。スープは温めてもおいしい。途中で山椒粉や一味唐辛子を振って味変するのもおすすめ。猛暑が続き、疲れがたまってくるこの頃、ヌチグスイの力も借りて、元気をチャージしよう。

<材料4人分>

ゴーヤー 1本/長さを半分に切り、縦に2等分し、種とわたを除き、4〜5mm厚さに切る。
もめん豆腐 1丁(約300g)/キッチンペーパーに包み、重石をして水切りする
鶏ひき肉 約150g
昆布水 800ml/10cm角の昆布を一晩浸ける
醤油 小さじ1/2
塩 少々
ごま油 少々

画像: 鍋にお湯を沸かし、ゴーヤーを湯通し程度にさっとゆで、流水で冷やす。

鍋にお湯を沸かし、ゴーヤーを湯通し程度にさっとゆで、流水で冷やす。

画像: ゴーヤーの水気を切り、フードプロセッサーで粗みじんになるまで撹拌する。ボウルに移し、軽く塩を加えて混ぜる。

ゴーヤーの水気を切り、フードプロセッサーで粗みじんになるまで撹拌する。ボウルに移し、軽く塩を加えて混ぜる。

画像: だしを作る。昆布水(昆布は取り除く)を温め、沸騰してきたら鶏ひき肉を入れて混ぜてほぐす。アクをすくう。

だしを作る。昆布水(昆布は取り除く)を温め、沸騰してきたら鶏ひき肉を入れて混ぜてほぐす。アクをすくう。

画像: 2〜3分煮たら鶏ひき肉を引き上げてボウルに入れ、塩とごま油を加えておく。だしは醤油を加え、漉して冷ます。

2〜3分煮たら鶏ひき肉を引き上げてボウルに入れ、塩とごま油を加えておく。だしは醤油を加え、漉して冷ます。

画像: すり鉢に豆腐を入れて泡立て器でほぐす。だしを少しずつ入れ、すりこぎで混ぜる。

すり鉢に豆腐を入れて泡立て器でほぐす。だしを少しずつ入れ、すりこぎで混ぜる。

画像: だしを加えてはする作業を3〜4回繰り返し、なめらかな状態になるまですって、すり流しを作る。塩少々を加えて味を調える。フードプロセッサーを使う場合は、まず豆腐を撹拌してクリーム状にしてからだしを加え、やわらかさを調整する。かつおだしを使う場合は、濃すぎないほうがよい。

だしを加えてはする作業を3〜4回繰り返し、なめらかな状態になるまですって、すり流しを作る。塩少々を加えて味を調える。フードプロセッサーを使う場合は、まず豆腐を撹拌してクリーム状にしてからだしを加え、やわらかさを調整する。かつおだしを使う場合は、濃すぎないほうがよい。

画像: それぞれに冷やしておいた豆腐のすり流し、鶏ひき肉、ゴーヤーを食べる直前に合わせ、ごま油をかける。

それぞれに冷やしておいた豆腐のすり流し、鶏ひき肉、ゴーヤーを食べる直前に合わせ、ごま油をかける。

夏の風物詩・とうもろこしご飯を添える

「豆腐のすり流しに、とうもろこしご飯がよく合う」と長尾さん。とうもろこしの風味をより強く感じられるよう、芯だけお米に入れて炊き上げる。炊き上がりに削いだ実をのせて蒸らせば、とうもろこしのシャキッとした歯応えが楽しいご飯となる。「おむすびにして添えても、豆腐のすり流しをご飯にかけてもいいですよ」。

<材料4人分>

とうもろこし 中2本
米 2.5合
塩 少々

画像: 米を研いでざるにあげて20分以上おく。とうもろこしは2等分し、まな板に立ててナイフで実を削ぐ。鍋に米を入れ、とうもろこしの芯をのせ、塩を振り、米と同量の1割増しにした水を注ぐ。蓋をして中火にかけ、煮立ってきたら弱火にし、12分ほど炊いて火を止める。

米を研いでざるにあげて20分以上おく。とうもろこしは2等分し、まな板に立ててナイフで実を削ぐ。鍋に米を入れ、とうもろこしの芯をのせ、塩を振り、米と同量の1割増しにした水を注ぐ。蓋をして中火にかけ、煮立ってきたら弱火にし、12分ほど炊いて火を止める。

画像: とうもろこしの実をご飯の上にのせて軽く塩を振り、全体をざっと混ぜて蓋をし、7〜9分蒸らす(とうもろこしご飯は炊飯器で炊いてもいい)。炊飯器で炊く場合も同様にする。器に盛り、スープに添える。

とうもろこしの実をご飯の上にのせて軽く塩を振り、全体をざっと混ぜて蓋をし、7〜9分蒸らす(とうもろこしご飯は炊飯器で炊いてもいい)。炊飯器で炊く場合も同様にする。器に盛り、スープに添える。

画像: 長尾智子 フードコーディネーター。書籍や雑誌の執筆、食品や器の企画やディレクションほか、食にまつわる提案を手がける。『料理の時間』(朝日新聞出版)、『ティーとアペロ お茶の時間とお酒の時間 140のレシピ』(柴田書店)ほか、著書多数。自らの目で選ぶオンラインストアSOUP(https://soup-s.shop/)も好評。 公式サイトはこちら 公式インスタグラムはこちら

長尾智子
フードコーディネーター。書籍や雑誌の執筆、食品や器の企画やディレクションほか、食にまつわる提案を手がける。『料理の時間』(朝日新聞出版)、『ティーとアペロ お茶の時間とお酒の時間 140のレシピ』(柴田書店)ほか、著書多数。自らの目で選ぶオンラインストアSOUP(https://soup-s.shop/)も好評。
公式サイトはこちら
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