季節の野菜が持つ本来の美味しさを引き出すことを知り尽くしている料理家・平野由希子さんが、いま食べたい野菜で作る魅惑のお料理と、相性のよいお酒のペアリングを、時代のトレンドに合わせた視点で提案。連載第44回は、秋本番の季節に美味しいさつまいもを小粋な一皿に仕上げて絶品赤ワインで楽しむ!

BY YUKIKO HIRANO

画像: 秋の空気感に寄り添うさつまいも&ブルゴーニュ

秋の空気感に寄り添うさつまいも&ブルゴーニュ

 秋らしい日々が嬉しく感じる頃。さつまいもが最もおいしい季節を迎える。甘味の強いさつまいもは、そのまま蒸したり焼いたりするだけで食べられる人気の食材だ。また、食物繊維やビタミンC、ミネラルなど多種多様な栄養素を含み、ポリフェノール成分も豊富。完全栄養食であるとも言われている。「さつまいもを皮つきで調理することでポリフェノールを摂取することもでき、赤ワインによく合う料理になります。赤ワインのおいしい季節になりましたし、ブルゴーニュでも開けてみましょうか。長い夏を乗り切ったご褒美ですね」(平野さん)。

シピ1:さつまいものアンチョビバター

 甘じょっぱい味の洋風さつまいもきんぴら。アンチョビとローズマリーの風味が赤ワインを誘う。

画像: 崩れないようにオリーブオイルで「焼く」イメージで、じっくり火を通す

崩れないようにオリーブオイルで「焼く」イメージで、じっくり火を通す

<材料 2〜3人分>
さつまいも1本(200g)、オリーブオイル、バター各大さじ1、アンチョビ2枚、にんにく1/2かけ、ローズマリー1枝、黒こしょう

<作り方>
 さつまいもは、皮つきのまま1センチ程度の棒状になるように切る。水にさらした後、水気をふく。アンチョビ、にんにく、ローズマリーはみじん切りにする。
 フライパンにオリーブオイルを熱し、さつまいもを入れて中弱火で炒める。
 さつまいもに焼き色がついてきたら、バターを加え、にんにく、アンチョビ、ローズマリーを加えてさらに炒め合わせ、仕上げに黒こしょうを粗く挽いてかける。

レシピ2:さつまいものグラタン

 こんがりチーズ、クリーミーなソースに絡まるほっくりとしたさつまいも。ピノ・ノワールを合わせたら秋の豊さが何倍にも感じられるよう。

画像: チーズは好みでコンテチーズなどを使うと、よりリッチな味わいに

チーズは好みでコンテチーズなどを使うと、よりリッチな味わいに

画像: レシピ2:さつまいものグラタン

<作り方>
 さつまいもは皮つきのまま幅7ミリくらいの薄切りにし、牛乳と生クリームを入れておいた鍋に加える。じゃがいもは皮をむき同様の厚さに切って鍋に入れる(水にはさらさないこと)。
 鍋に塩、ナツメグ、こしょうを加えて弱火にかけ、さつまいもにスッと竹串が通るようになるまで煮る。
 ベーコンは1センチ幅に切り、フライパンにオイル少々を熱し、炒めて取り出す。
 耐熱容器に2、3を入れてチーズを乗せる。
 220℃のオーブンで12~13分、またはオーブントースターで表面がこんがりとするまで焼く。

画像: 水にさらさずに鍋に入れて、ゆっくりと煮ることで柔らかく、クリーミーな仕上がりになる

水にさらさずに鍋に入れて、ゆっくりと煮ることで柔らかく、クリーミーな仕上がりになる

【今月のお酒セレクト:サントネイ シャン クロード ドメーヌ・バシェ=ルグロ 2022】

画像: PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

 サントネイはブルゴーニュの中ではコストパーフォマンスも魅力。丸みのあるしなやかさ、緻密なタンニンが料理に寄り添ってくれる。「フランス家庭料理、シンプルな野菜料理にピノ・ノワールを合わせるとやっぱり満足感が違います。野菜の奥深い味が引き出されるようです。アンチョビやローズマリー、こんがり焼けたチーズの風味がサントネイとよく合いますね。野菜でワイン、秋の豊さを味わってみてください」(平野さん)

平野由希子さんがナチュラルワインの定期便を開始!

画像: 平野由希子さんがナチュラルワインの定期便を開始!

 平野由希子さんが主宰する料理教室cusine et vin が、ナチュラルワインの定期便コースを開始。隔月にワイン5~6 本、もしくは3本のスパークリングワインが届くメンバーシップコースで構成。お届けするワインにはどんな料理が合うか、などの情報も一緒に送ってくれる。
「空前のナチュラルワインブームですが、自分で選べないという方も多くいます。不安定な部分もあるナチュラルワインはワインの状態、ボトルを空けるタイミングもとても大切です。私とスタッフが試飲をして心からおいしいと思ったワインだけをセレクトしてお届けします」と平野さん。
「週末ごはん会に合うワインを選んでほしい」「ナチュラルな野菜料理に合うワインが飲みたい」などのリクエストにもお応えできるオーダーメード感覚のコースを目指しているのだそう。

定期便の公式サイトはこちら

猫と旅した南仏での3週間を詰め込んだ、平野さんの新著が発売中

「カブルスピーヌ村は、南仏にある人口100人ほどの小さな村。カフェもなければスーパーもパン屋もない。何にもないけど、雄大な自然とたくさんの猫に出会える美しいところ。そんな村を愛猫クミンとともに訪問してみた」ーー

 平野由希子さんが、愛猫のクミン君とともに訪れた南フランスでの3週間。築1000年の石造り古民家に滞在しながら、羊肉料理やカスレ、朝どれのさやいんげんサラダなど、新鮮な素材を使った絶品料理に舌鼓を打ち、地元の人々や近所の猫と触れ合い、自然豊かな田舎を満喫する、まるで夢のような時間を詰め込んだ一冊。ペットとともに飛行機旅をするための役に立つ情報も満載!

画像: 『南フランス 猫と旅する美しい村<私のとっておき>シリーズ50』 著者:平野 由希子 ¥2,090 産業編集センター刊

『南フランス 猫と旅する美しい村<私のとっておき>シリーズ50』

著者:平野 由希子
¥2,090
産業編集センター刊

平野由希子
素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評のある料理家。書籍や雑誌、広告で活躍するかたわら飲食店のプロデュースや商品開発も手がける。日本ソムリエ協会認定ソムリエで、ワインと料理のペアリングが楽しめる料理教室も主宰。
公式サイトはこちら

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