京都⽣まれ、京都育ちの⾷いしん坊、京都でおいしいものに出合いたければ、この⼈に聞けばハズレなし!そんなアマジュンこと天野準⼦の絶品満腹⼝福アドレス。今月は居心地のいいバーを紹介。第2弾は「酒陶 柳野」へ

TEXT & PHOTOGRAPHS BY JUNKO AMANO

烏丸御池「酒陶 柳野」

画像: バックバーに酒瓶ひとつないミニマルな空間

バックバーに酒瓶ひとつないミニマルな空間

 カウンターからバーテンダー越しに見える景色は土壁に花一輪があるのみ。エアコンはおろか、照明器具すら隠して設置され、無駄なものが一切ない凜とした空間だ。今でこそ、オーセンティックでもない、町家改装系でもない、茶室のようなバーに京都で出会うことがあるが、「酒陶 柳野」はその先駆けと言える。

画像: 1997年、3坪の店から始まり、2度の移転を経て、2008年から現在の場所で営業

1997年、3坪の店から始まり、2度の移転を経て、2008年から現在の場所で営業

「古い器でお酒を提供する」がコンセプトゆえ、店名には”酒陶”という冠をつけて。店主の柳野浩成さんは、大学時代から「古美術佃」の佃さんを師と仰ぎ、審美眼や知識を培い、店では、日本や中国、ヨーロッパの古い器やグラスが大切に使われている。

画像: 「ジンと炭酸、ライムのみで作るジンリッキーは、シンプルながら、作り手によって味が変わる。自分の中でのアイコニックなカクテルです」と、柳野さん。ジンリッキー¥1200。グラスは、フィンランドの巨匠、カイ・フランクの50年代デザイン

「ジンと炭酸、ライムのみで作るジンリッキーは、シンプルながら、作り手によって味が変わる。自分の中でのアイコニックなカクテルです」と、柳野さん。ジンリッキー¥1200。グラスは、フィンランドの巨匠、カイ・フランクの50年代デザイン

 お酒のメニュー表はなく、カクテルの好みを伝えれば、クラシックなものから、アレンジを加えたもの、フルーツ系など、いろいろと提案してもらえる。
 最近、日本のバーシーンではカジュアルに楽しめるアルコール度数低めのモヒートを出す店が多いが、こちらのモヒートはしっかり濃いが、おいしい正統派。もっと軽めが好きな方のため、ミントを使った度数低めのカクテルも作ってもらえる。

画像: グラスワイン¥1,200〜。グラスは上部に茨を模したエッチングが施されたオールドバカラのセビーヌシリーズ

グラスワイン¥1,200〜。グラスは上部に茨を模したエッチングが施されたオールドバカラのセビーヌシリーズ

 ワイン目当てで来る常連客も多く、ナチュラルワインも今のようにメジャーになる前から取り扱っている。「経験と知性があるナチュールが好きです」と、キッパリ。最近は無添加な味わいを売りにしたナチュラルワインが増えているが、ナチュール=放置ではなく、人が最小限に介入し、その土地の個性や美しさを表現したワインが楽しめる。
 ナチュールだけでなく、クラシックなワインもそろい、ボルドーやブルゴーニュで造られるグランヴァンもボトルでオーダーすることができる。

画像: 店内まで続くレンガ造りの壁に掛けられた看板が目印

店内まで続くレンガ造りの壁に掛けられた看板が目印

 こちらを訪れると、静かで落ち着いた空気を壊さないよう、自然と話し声が小さくなる。お客さんの年齢層も高く、大人にとって居心地がよい店だ。バーというと男性客が多いイメージだが、女性でしかも1人客率が高い。柳野さんは、フレンドリーによくしゃべりかけてくれるタイプではないが、穏やかな話し口調のちょううどいい距離感だ。
 実はバックヤードには厨房があり、和食店で経験を積んだ料理人によるしっかり手をかけた料理がいただけるのも、女性1人客に人気の理由。料理屋だと「(1人でも)何品か注文しなくちゃ」という勝手なプレッシャーを感じてしまうこともあるが、バーなので一品だけでも気軽にたのめる。しかも一品のポーションも小さく、1人でも数品オーダーしやすい。

画像: 季節野菜と魚介のエチュベ。季節によって具材やソース、価格は変わる。この日は、ナスやオクラなど、初夏の野菜とハモを出汁で蒸し煮にし、ビネガーを使ったさっぱりとしたソースで和えて。¥1,800

季節野菜と魚介のエチュベ。季節によって具材やソース、価格は変わる。この日は、ナスやオクラなど、初夏の野菜とハモを出汁で蒸し煮にし、ビネガーを使ったさっぱりとしたソースで和えて。¥1,800

「せっかく京都で店をやるなら、京都で昔から食べられているものを提供したい」と、京都ではお馴染みの食材を使い、和洋の料理を織り交ぜて。料理屋御用達の錦市場の鮮魚店「魚よし」で仕入れた天然の魚介は、お造りや昆布締めのほかカルパッチョでもいただける。春は竹の子とワカメの若竹煮、夏はハモの炭焼き、冬はカブラ蒸しなど、昔ながら割烹料理もいろいろ。
 出張や1人旅で京都を訪れた際、”1人だけど”、”時間はないけど”「京都っぽい場所に行きたい」、「京都らしいものを食べたい」という欲を満たしてくれるはずだ。

「酒陶 柳野」
住所:京都府京都市中京区三条通新町西入ル釜座町33
営業時間:17:00〜24:00閉店(木曜はフードの提供なし)
定休日:月1回
TEL. 075-253-4310 
公式インスタグラムはこちら

画像: 天野準子 生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント

天野準子
生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント

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