京都⽣まれ、京都育ちの⾷いしん坊、京都でおいしいものに出合いたければ、この⼈に聞けばハズレなし!そんなアマジュンこと天野準⼦の絶品満腹⼝福アドレス。今月は居心地のいいバーを紹介。第1弾は「HOWENE(オーウェン)」へ

TEXT & PHOTOGRAPHS BY JUNKO AMANO

銀閣寺「HOWENE」

画像: 仏アルザスのワイナリー・ヴァンサン・シュットッフレーのルッシェルル¥1,300、レモンタルト¥700

仏アルザスのワイナリー・ヴァンサン・シュットッフレーのルッシェルル¥1,300、レモンタルト¥700

 2024年12月、東山の麓を南北に走る白川通沿いにオープンしたワインバー。関西人はよくスマートでかっこいい人を”シュッとしている”と表現するが、人だけでなく、店にも使え、こちらはまさにシュッとした店。最寄りの駅からも遠く、街中からは市バスに揺られて30分ほどかかる場所ながら、わざわざ飲みに訪れるナチュラルワイン好きも多い。

画像: 壁には古琵琶湖層の粘土質の土「ずりんこ」を使用。茶色すぎず、白すぎず、夜は間接照明が柔らかい陰影を作る

壁には古琵琶湖層の粘土質の土「ずりんこ」を使用。茶色すぎず、白すぎず、夜は間接照明が柔らかい陰影を作る

 一面ガラス張りの店内は、左官仕上げの土壁が美しく、ミニマルな空間にスピーカーをはめ込んだ正面のレコード棚が存在感を放っている。
 バーと言えば、窓がなかったり閉塞的な店が多いが、こちらは大きなガラス窓で店内にいても外の空気感が伝わってくる。

画像: 店名は店主が昔から大好きなバンドのボーカル、マイク・キンセラのソロプロジェクト「Owen」から。「造語にしたい」と発音しないHやEを加えている

店名は店主が昔から大好きなバンドのボーカル、マイク・キンセラのソロプロジェクト「Owen」から。「造語にしたい」と発音しないHやEを加えている

 店主の江頭諒さんは、京都で店を開くために東京から京都に移住を決めたという。大学時代は留学先のLAでバリスタトレーニングを受けるほど、コーヒーカルチャーに魅了され、帰国後は、奥渋谷「キャメルバック」でバリスタとして働いていた。その際、ご近所のワインバー「アヒルスストア」でナチュラルワインに出会い、初めて飲んだ時、指先まで染み渡る感覚に感動したという。大学卒業後は「パドラーズコーヒー」が中野で展開するコーヒーやワインも提供する「LOU」でバリスタをしながら、ワインのセレクトや管理を担当。ワインもコーヒーも好きだったが、自身の店はワインに振り切った。
「グラスワインを出していると、たまたまカウンターに居合わせたお客さん同士が同じボトルをシェアして飲むことも多いんです。ワインを軸に盛り上がることもありますし、グルーヴが生まれる。ワインは記憶に残る瞬間を作れる飲み物だと思っています」。

画像: ターンテーブルを2台設置したDJセットで、1曲かけたら次のレコードに繋ぐことも

ターンテーブルを2台設置したDJセットで、1曲かけたら次のレコードに繋ぐことも

 記憶に残る瞬間は、ワインと共に音楽によっても作られる。江頭さんは高校時代からバンド活動を行い、音楽は常に身近な存在であり、自身の店でも、レコードをかけている。レコードは、ジャズやソウル、ファンクなど、オールジャンル。季節や天気、時間帯、お客さんの雰囲気や話し声の音量によってもレコードを変えていく。

 グラスワインは常時6、7種類を用意。レストランやビストロでは料理ありきで、ワインは料理の余白を埋める役割を担うことが多いが、こちらでは、複雑でいろんな味の要素を感じる、単体でおいしいと思えるワインがセレクトされている。

画像: 喉を潤すぐびぐびと飲めるワインより、じっくり飲みたくなるワインがそろう。グラスワイン¥1,300〜

喉を潤すぐびぐびと飲めるワインより、じっくり飲みたくなるワインがそろう。グラスワイン¥1,300〜

 江頭さんは、京都に移り住む前の3ヶ月、フランス・ジュラ地方のワインの街、アルボワのワイナリーで収穫や醸造、貯蔵作業も経験した。「フランスに行く前はワインを飲み、勉強し、なぜこうなるのか、想像していましたが、ドメーヌで研修を受け、一つひとつ紐解き、確認したことで、より言語化できるようになりました」。

画像: ヨーグルトやサワークリームを使ったクリームの上に、酸味をしっかり感じるレモンカードを重ねたレモンタルト¥700。リンゴやヨーグルトのような乳酸感を感じる白と相性抜群だ

ヨーグルトやサワークリームを使ったクリームの上に、酸味をしっかり感じるレモンカードを重ねたレモンタルト¥700。リンゴやヨーグルトのような乳酸感を感じる白と相性抜群だ

 ある日のメニューは、お酒以外、スイーツ少しとチーズ、「リエットと田舎パン」のみ。「京都は素晴らしいビストロや居酒屋がいっぱいありますから、その前後に来ていただけると」と、謙虚に答える江頭さん。
「このお店はなんでもあるわけではないが、その分利用していただくシチュエーションが明確だと思う。なんでもありすぎないことを、ここに訪れる理由にしてほしい」という言葉も印象的だ。

「HOWENE(オーウェン)」
住所:京都市左京区北白川東久保田町7
営業時間:17:00〜24:00閉店
定休日:火曜
TEL. 075-600-0536 
公式インスタグラムはこちら

画像: 天野準子 生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント

天野準子
生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント

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