ホテルジャーナリスト、せきね きょうこが独自の視点でおすすめの東京ホテルを案内。連載第14回めは、随所に施された日本の伝統文化「アマン東京」

BY KYOKO SEKINE

 ラグジュアリーなホテルブランドとして知られるアマンリゾートが、アマンと名を変え早くも4年余り。2018年の今年は創業30周年を祝う。世界中のハイダウェイにひっそりと佇むリゾートとして知られたアマンは、2014年12月、27軒目にして初の都市型ホテル「アマン東京」を開業した。ロケーションは東京大手町の一等地、大手町タワーの上階を占めている。1階には地上エントランス、33階にメインのロビーやガーデンラウンジなど中心施設を設け、35階から38階までに客室が展開されている。

画像: 和紙を使った吹き抜けの天井、障子をイメージしたパーティションが印象的なガーデンラウンジ。“縁側”を挟んで、メインダイニングとなった「ARVA」とバーラウンジがある

和紙を使った吹き抜けの天井、障子をイメージしたパーティションが印象的なガーデンラウンジ。“縁側”を挟んで、メインダイニングとなった「ARVA」とバーラウンジがある

 30周年を機に、1月26日から新たにイタリア料理のメインダイニング「ARVA」が登場。シンプルさと五感で味わう旬の料理が、期待以上に好評を得ているという。ブラック・アフタヌーンティーで世の女性を歓喜させ、予約が取れないと言われ続けるガーデンラウンジも健在だ。

画像: イタリアンレストラン「ARVA」は、イタリアの食文化にインスパイアされた伝統的な料理を提供。窓外には遠く富士山も見える

イタリアンレストラン「ARVA」は、イタリアの食文化にインスパイアされた伝統的な料理を提供。窓外には遠く富士山も見える

 そんな「アマン東京」の特徴は、これまでの都市型ホテルの概念を覆した贅沢なスペース造りと、無駄のないシンプルなデザインに隠された伝統文化とのハーモニーにある。ガーデンラウンジには大きなソファや椅子がゆったりと置かれ、中央の水盤には折々の季節感を映し出す“樹木”が活けられる。都心の緑やビル群、遠くに望む富士山など、東京の景色と一体感を持てるよう、窓は天井まで大きくとられている。アマン東京の中心をなすこのフロアでは、ダイニングエリアとラウンジのあいだに壁はない。一段高い“縁側”が長い通路のように通され、どこからでも外が見通せるパーテーションが随所に設置されているのだ。日本の伝統家屋には必ず存在した縁側。それがもたらす、ゆるやかな“外と内との関係”を、アマン東京の建築家ケリー・ヒルは自己流に解釈し、最大限に活用している。

 長さ30mの天空のプールや温浴施設、2500㎡のスパ施設、ルームとスイートに呼び分けられる客室は71~157㎡。客室内もシンプルゆえに、写真だけを見てシャビーと評した人もいたが、いやいや、泊まってみてわかる使い勝手の良さや、カスタマイズされたディテール、厳選された上質感といったひとつひとつには頭が下がる思いがする。アマンのコンセプトの極意を知る、ケリー・ヒルとアーティストたち、専門家たちの傑作であろう。またこれだけ大がかりなホテルでありながら、33~38階までの全客室数はわずか84室。2フロアにわたるスパ内にもトリートメントルームは8室のみという、快適性やプライバシーへのこだわりを貫くケリー・ヒルの潔さには微笑むしかない。

画像: アマンスイートのリビングルーム。明るく広い角部屋からは都心の光景が望める

アマンスイートのリビングルーム。明るく広い角部屋からは都心の光景が望める

画像: スイートのバスルーム。木と紙と石を使ったアマンらしい内装で、バスタブは肩まで浸かれる日本流。奥にはリビングエリアが

スイートのバスルーム。木と紙と石を使ったアマンらしい内装で、バスタブは肩まで浸かれる日本流。奥にはリビングエリアが

 徹底したアマンらしさは、アクティビティのユニークさにもうかがえる。「日本の美」をコンセプトに掲げたいくつものメニューの中で、地元の文化を大切に紡ぐカルチャー・プログラムはアマンならでは。とりわけ「芸者と楽しむ老舗料亭『つる中』での夕べ」は、今も赤坂に唯一残る“一見さんお断り”を貫く料亭「つる中」で芸者さんと過ごすエキサイティングなプログラムだ。昨年の米国大統領トランプ氏訪日の前に、娘のイヴァンカさんが訪れて時を過ごしたのも、この料亭である。

画像: 老舗らしい風格を見せる、赤坂「つる中」

老舗らしい風格を見せる、赤坂「つる中」

画像: 美しくしなやかな踊りを間近で見ることができる贅沢な時間 PHOTOGRAPHS: COURTESY OF AMAN TOKYO

美しくしなやかな踊りを間近で見ることができる贅沢な時間
PHOTOGRAPHS: COURTESY OF AMAN TOKYO

「芸者」は、日本伝統の遊びの極意を披露し、もてなしてくれるエンターテイナー。芸事の達人による唄や踊り、三味線、お座敷遊び、お茶、生け花などを、人情の機微を知り抜いた巧みな話術とともに体験できる。有名宮大工の手による数寄屋造りの料亭「つる中」で過ごす貴重な時間は、われわれ日本人はもとより、外国人観光客にはたまらない体験であろう。

アマン東京(AMAN TOKYO)

住所:東京都千代田区大手町1-5-6 大手町タワー
予約電話: 03(5224)3333 
客室:全84室
料金:¥90,000~
(1泊1室2名の料金。サービス料・消費税別) 
 ※日によって料金が異なるため、要問合わせ
公式サイト

せきね きょうこ
ホテルジャーナリスト。フランスで19世紀教会建築美術史を専攻した後、スイスの山岳リゾート地で観光案内所に勤務。在職中に住居として4ツ星ホテル生活を経験。以来、ホテルの表裏一体の面白さに魅了され、フリー仏語通訳を経て、94年からジャーナリズムの世界へ。「ホテルマン、環境問題、スパ」の3テーマを中心に、世界各国でホテル、リゾート、旅館、および 関係者へのインタビューや取材にあたり、ホテル、スパなどの世界会議にも数多く招かれている。雑誌や新聞などで多数連載を持つかたわら、近年はビジネスホテルのプロデュースや旅館のアドバイザー、ホテルのコンサルタントなどにも活動の場を広げている
www.kyokosekine.com

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