本誌ファッション特集で活躍中のスタイリストの古牧ゆかりさんは、無類の旅好きだ。「旅先で見る景色は、心の中の引き出しにたくさんの色彩のストックを作ってくれる。旅は人生の宝物」という彼女が訪れたウズベキスタンへの旅の全3回にわたる記録の最終回お届けする

TEXT AND PHOTOGRAPHS BY YUKARI KOMAKI

 翌朝、起床後はホテルで朝食。ウズベキスタンではどの町でも、朝食にふるまわれるジャムがフレッシュで美味しい。この日もいろいろな種類が並んでいたが、いちじくのジャムが絶品だった。旅先で毎朝美味しい朝食が食べられるのはうれしいことだ。この日は一日のんびりと町を散策して過ごした。

画像: ホテルの朝ごはんに出てくるジャムやナッツ、ケーキ類。朝から甘いケーキまで出てくるとは。甘党が多いのか?

ホテルの朝ごはんに出てくるジャムやナッツ、ケーキ類。朝から甘いケーキまで出てくるとは。甘党が多いのか?

 三日目、手配した車がなかなか迎えに来なくてハラハラしたがなんとか間にあい、飛行機でタシケントへ。ウズベキスタンの首都タシケントは、人口約250万人の大都会だ。今まで巡ったどの街とも異なり、広大な新市街は広い幹線道路が走り、ロシア建築の大きなビル群がそびえている。ここは本当にシルクロードの真ん中か?と疑うほど近代的な光景が広がる。

まずは地下鉄に乗り、美術館を巡ることにする。
ウズベキスタンの地下鉄は、以前訪れたロシアのサンクトペテルブルクの地下鉄の駅と構造も雰囲気も似ていることに気づく。天井が高く、アール・デコ調の装飾を施された美しい駅が多いのだ。2018年の春までは地下鉄内などの公共施設は撮影禁止だったが、現在は解禁に。至るところにいる警察官を横目に、恐る恐る写真を撮った。

画像: ムスタキリク・マイダニ駅構内。宮殿の中かと思うほど、豪華な内装

ムスタキリク・マイダニ駅構内。宮殿の中かと思うほど、豪華な内装

画像: パフタコールの駅は鮮やかなアラベスク模様のタイルが壁面を飾る

パフタコールの駅は鮮やかなアラベスク模様のタイルが壁面を飾る

 美術館をいくつか見たあと、昔ながらのにぎわいを見せる“オールドバザール”「チョルスー・バザール」へ。この一帯は旧市街地ということもあり、イスラムの国らしい風情を残した市場の光景が見られる。屋内はいちおう、肉類、乾物、野菜や果物などエリアで分かれているものの、雑然として活気に満ちている。肉の塊が吊るされているすぐ脇でフルーツやナッツが売られていたりもするのだが、誰も気にせずショッピングを楽しんでいるようだ。

画像: 「チョルスー・バザール」のシンボルである巨大なドーム。この内側ににぎやかな市場がある

「チョルスー・バザール」のシンボルである巨大なドーム。この内側ににぎやかな市場がある

 バザールの一角には、チャイハナ(食堂)が集まった棟がある。上野のアメ横にいそうな雰囲気の威勢のよいおじちゃん、おばちゃんたちが自慢の伝統的なウズベク家庭料理を食べてもらおうと、大きな声で客を呼び入れている。気のよさそうな恰幅のよいおばちゃんの店に入り、チキンの香草トマト煮込み的な一皿をいただいた。とっても美味しい! この国の料理は日本人の口に合うのか、どこで食べても満足して気に入ることが多い。

画像: チキンの香草トマト煮込み的な一皿。フレッシュハーブが利いていて絶品。パンとカラ・チャイ(ブラックティー)はセットで出てくる

チキンの香草トマト煮込み的な一皿。フレッシュハーブが利いていて絶品。パンとカラ・チャイ(ブラックティー)はセットで出てくる

 明日は東京に戻る。いつもの日常に戻っていくのだ。わいわいと賑わうシルクロードの真ん中の食堂でカラ・チャイを飲みながら、この旅を振り返りつつも、さて次はどこへ行こうかと新たなる旅を思い、胸が躍るのであった。

 初めて訪れた中央アジア、ウズベキスタン。広大な地と、そこにそびえる巨大な建築物に驚かされた。かつてのシルクロードの中心地は、その歴史を映す豊かな食文化と、タフで陽気な人々の手が生み出す美しい工芸品に彩られ、今も旅人を楽しませてくれるのだった。

「カッタ ラフマト(ありがとう)、ウズベキスタン !」

 

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