令和時代の工芸シーンをリードする12人の綺羅星を集めた展覧会に、日本のアール・ブリュットにフォーカスしたグループ展。また伝説の造形芸術学校「バウハウス」の教育をひもとく特別展。現在開催中の3つの展覧会の見どころを紹介する

BY MASANOBU MATSUMOTO

『和巧絶佳展』|パナソニック汐留美術館

 いま、工芸が面白い。クラフトの再評価や民芸の再ブームが続く一方で、伝統的な素材や技法を踏襲しながらも新たな造形の可能性に挑む作り手が広く注目を集めだしている。陶芸、漆工、染織といった従来の工芸の枠にとどまらず、現代アートやファッション、デザインの分野とも積極的に関わっていく——いわば“超”工芸の推進者たち。パナソニック汐留美術館で開催中の『和巧絶佳展』は、そうした現代の綺羅星12人を集めた展覧会だ。

画像: 舘鼻則孝 《Heel-less Shoes》 2014年、個人蔵 © 2020 NORITAKA TATEHANA K.K.

舘鼻則孝 《Heel-less Shoes》 2014年、個人蔵
© 2020 NORITAKA TATEHANA K.K.

 筆頭は、花魁の高下駄を着想源にしたヒールレスのシューズで知られる舘鼻則孝。レディー・ガガがステージで着用したことで一躍注目を浴びた舘鼻だが、その創作の根底にあるのは染織や鋳物といった日本の手仕事や伝統美の再解釈だ。会場にはレザーに友禅染めの技法で文様を描いたヒールレスシューズに加え、漆や金彩などを用いた立体作品も並ぶ。

 桑田卓郎がつくるのは、ヴィヴィッドな色彩の茶碗。一見、アバンギャルドな作品のようだが、陶器を焼く際に発生する釉薬のヒビ割れ「梅華皮(かいらぎ)」、同じく焼成時に陶土内の石粒が弾けて表面に露出する「石爆(いしはぜ)」といった伝統的なやきものの技法がデフォルメして使われている。青春期にストリートダンスに夢中になったというバックグラウンドも、創作の方向性に影響を与えているようで面白い。ちなみに、ファッションブランド「ロエベ」の2020年秋冬コレクションでコラボレーションを果たしたことも話題に。バッグやドレスの胸当てに、桑田が制作した陶器のピースが採用されている。

画像: 桑田卓郎 《茶垸》2015年 個人蔵 © 2020 TAKURO KUWATA

桑田卓郎 《茶垸》2015年 個人蔵
© 2020 TAKURO KUWATA

 九谷焼のひとつ加賀赤絵の絵付け師、見附正康は、“超絶技巧”と呼ぶべき腕の持ち主。陶器の上に表現される繊細なイメージもさることながら、絵画の伝統的な透視図法をアレンジしたような図像学的な試みも新鮮だ。皿の中心と絵柄の消失点を意図的にずらすことで、不思議な視覚効果を見る者に体感させる。テキスタイルデザイナーの安達大悟の真骨頂は伝統的な絞り染め。コントロールしにくい“にじみ”を模様に取り入れながら、発色豊かな布地を作る。デジタル表現に慣れ親しんできた世代ならではのグラフィックセンスが伺える。

画像: 見附正康《無題》 2019年、オオタファインアーツ © MASAYASU MITSUKE; COURTESY OF OTA FINE ARTS

見附正康《無題》 2019年、オオタファインアーツ
© MASAYASU MITSUKE; COURTESY OF OTA FINE ARTS

画像: 安達大悟 《つながる、とぎれる、くりかえす》(部分) 2020年、作家蔵 COURTESY OF PANASONIC SHIODOME MUSEUM OF ARY

安達大悟 《つながる、とぎれる、くりかえす》(部分) 2020年、作家蔵
COURTESY OF PANASONIC SHIODOME MUSEUM OF ARY

 展示作品の約3割が新作であるのも、本展の大きな特徴だ。素材と技術、美意識に向き合いながら独自性を高める12人の現在形。そこに工芸の今、ひいては未来を感じられるはずだ。

『特別企画 和巧絶佳展 令和時代の超工芸』

会期:〜9月22日(火曜・祝日)
会場:パナソニック汐留美術館
住所:東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック汐留ビル4階
開館時間:10:00〜18:00 ※9月4日(金)は〜20:00
(入場は閉館の30分前まで)
休館日:8月19日(水)、9月9日(水)、16日(水)
入館料:一般 ¥1,000、65歳以上 ¥900、大学生 ¥700、高校・中学生 ¥500、小学生以下 無料 
電話:03(5777)8600(ハローダイヤル)
公式サイト

※ 新型コロナウイルスの感染・拡散防止のための入場制限等は、各公式サイトをご確認ください。

 

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