世界的に注目を集めるクリスチャン・マークレーの個展、葛飾北斎やその弟子が描いた作品から日本史の名場面を楽しむ企画展、幸福な国フィンランドの名デザインを紹介する展覧会。開催中のアート展から絶対に見るべき3つのエキシビションをピックアップ

BY MASANOBU MATSUMOTO

『クリスチャン・マークレー トランスレーティング[翻訳する]』|東京都現代美術館

画像: (写真左)クリスチャン・マークレー《リサイクルされたレコード》 1981年 コラージュされたレコード 直径30.5cm COLLECTION OF THE ARTIST © CHRISTIAN MARCLAY. COURTESY PAULA COOPER GALLERY, NEW YORK. (写真右)クリスチャン・マークレー《コンチネンタル(「ボディ・ミックス」シリーズより)》 1991年 ふたつのレコードカバー、木綿糸 54.6㎝×33㎝ PHOTOGRAPH BY STEVEN PROBERT © CHRISTIAN MARCLAY. COURTESY PAULA COOPER GALLERY, NEW YORK.

(写真左)クリスチャン・マークレー《リサイクルされたレコード》 1981年 コラージュされたレコード 直径30.5cm
COLLECTION OF THE ARTIST © CHRISTIAN MARCLAY. COURTESY PAULA COOPER GALLERY, NEW YORK.
(写真右)クリスチャン・マークレー《コンチネンタル(「ボディ・ミックス」シリーズより)》 1991年 ふたつのレコードカバー、木綿糸 54.6㎝×33㎝ 
PHOTOGRAPH BY STEVEN PROBERT © CHRISTIAN MARCLAY. COURTESY PAULA COOPER GALLERY, NEW YORK.

 美術館では国内初となる、クリスチャン・マークレーの大規模な個展が開催中だ。マークレーは、路上に落ちていたレコードを見つけたことを契機に、レコードとターンテーブルを使ったパフォーマンスを始め、音楽、さらにビジュアルアートへと表現領域を拡大。2011年のヴェネチア・ビエンナーレでは金獅子賞を獲得し、世界的な評価を確立させた。

 特徴的な作風は「サンプリング」。既存の音源を素材として流用し、新しい作品を構築するという、実験音楽やヒップホップなどにみられる手法で、彼は主に音に関連した素材を使い、視覚と聴覚の両方にうったえかける作品を生み出す。複数のレコードをつなぎ合わせて一枚にした《リサイクルされたレコード》、いくつもの映画から音にまつわるシーンを抽出、編集することで“作曲・演奏”する《ビデオ・カルテット》など。会場ではユーモラスなビジュアル作品から体験型のインスタレーションまでを集め、活動の全貌を紹介する。

『クリスチャン・マークレー トランスレーティング[翻訳する]』
会期:〜2月23日(水・祝)
会場:東京都現代美術館
住所:東京都江東区三好4-1-1
開館時間:10:00〜18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
休館日:月曜(1月10日、2月21日は開館)、1月11日
料金:一般 ¥1,800、大学・専門学校生・65歳以上 ¥1,200、高校・中学生 ¥600、小学生以下無料
電話:050-5541-8600(ハローダイヤル)
公式サイトはこちら

『北斎で日本史 ―あの人をどう描いたか―』|すみだ北斎美術館

画像: (写真左)葛飾北斎『富嶽百景』初編 木花開耶姫命 すみだ北斎美術館蔵(通期) (写真右)葛飾北斎『画本武蔵鐙』下 上杉輝虎入道兼信 武田晴信入道信玄 すみだ北斎美術館蔵(通期)

(写真左)葛飾北斎『富嶽百景』初編 木花開耶姫命 すみだ北斎美術館蔵(通期)
(写真右)葛飾北斎『画本武蔵鐙』下 上杉輝虎入道兼信 武田晴信入道信玄 すみだ北斎美術館蔵(通期)

 風景画から役者絵、読本(長編小説)の挿絵まで、また庶民の習慣から空想の生き物までを描いた葛飾北斎。本展では、北斎およびその弟子が残した作品から、紫式部や源頼朝、本能寺の変など、日本史に登場する人物やできごとをピックアップし、その歴史的意義とあわせて紹介する。

 みどころのひとつは『画本武蔵鎧』にある「川中島の戦い」を描いた一枚。上杉謙信と武田信玄の一騎打ちのシーンをダイナミックな構図で収めたもので、当時の軍学書にある“謙信の刀を信玄が軍配で受ける”という記述に近い表現がされている。また江戸時代には「古事記」や「日本書紀」の神話が歴史の起源と考えられており、本展では神話の時代にもフォーカスを当てる。そのハイライトのひとつは北斎の代表作『富嶽百景』の最初のページに描かれているコノハナノサクヤビメの姿。衣服部分には、カクカクした線で描く北斎独特のタッチが活きている。

『北斎で日本史 ―あの人をどう描いたか―』
会期:〜2月27日(日)
※会期中展示替えあり(前期:12月21日~1月23日、後期:1月25日~2月27日)
会場:すみだ北斎美術館
住所:東京都墨田区亀沢2-7-2
開館時間:9:30~17:30(入館は17:00まで)
休館日:月曜(1月10日は開館)、1月11日
料金:一般 ¥1,000、大学・高校生 ¥700、中学生 ¥300、小学生以下無料
電話:03-6658-8936
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『ザ・フィンランドデザイン展―自然が宿るライフスタイル』|Bunkamura ザ・ミュージアム

画像: (写真左)セッポ・サヴェス《アンニカ・リマラ「リンヤヴィーッタ」ドレス、ヴオッコ・ヌルメスニエミ「ガッレリア」テキスタイルデザイン》1966年、フィンランド・デザイン・ミュージアム蔵 (写真右)オイヴァ・トイッカ《「ポムポム」花瓶》1968年、ヌータヤルヴィガラス製作所、コレクション・カッコネン蔵 PHOTOGRAPH: RAUNOTRÄSKELIN

(写真左)セッポ・サヴェス《アンニカ・リマラ「リンヤヴィーッタ」ドレス、ヴオッコ・ヌルメスニエミ「ガッレリア」テキスタイルデザイン》1966年、フィンランド・デザイン・ミュージアム蔵
(写真右)オイヴァ・トイッカ《「ポムポム」花瓶》1968年、ヌータヤルヴィガラス製作所、コレクション・カッコネン蔵
PHOTOGRAPH: RAUNOTRÄSKELIN

 国際連合の「世界幸福度調査」で、2018年より4年連続で世界1位に輝いているフィンランド。1930年代から70年代にかけては、世界的なデザイナーや建築家らがこの国から登場し、いわゆる「北欧デザイン」の中心地にもなった。本展はそのフィンランドデザインの歴史やその背後にあるライフスタイルを、選りすぐりの作品とともに読み解く。

 会場には、アルヴァ・アアルトの椅子やマリメッコのテキスタイル、アラビア製陶所のセラミックなどロングセラーアイテムから絵画まで、またおもちゃや絵本といった暮らしと結びついたプロダクトが集結。豊かな自然からのインスピレーションや、モダニズム運動の影響、また長い冬ごもりを豊かにする工夫など、フィンランドデザインのエッセンスにも存分に触れられる。音声ガイドも必聴だ。フィンランドにゆかりのあるミナペルホネンのデザイナー皆川明のエッセイが音声で楽しめる。

『ザ・フィンランドデザイン展―自然が宿るライフスタイル』
会期:〜1月30日(日)
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
住所:東京都渋谷区道玄坂2-24-1 B1F
開館時間:10:00〜18:00(金・土曜は21:00まで)
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜(1月10日は開館)、1月11日
料金:一般 ¥1,700、大学・高校生 ¥1,000、中学・小学生 ¥700、未就学児は入館無料
※土・日曜、祝日、および最終週の1月24日(月)~30日(日)はオンラインによる入場日時予約が必要。詳細はこちらから
電話:050-5541-8600(ハローダイヤル)
公式サイトはこちら

※ 新型コロナウイルス感染予防に関する来館時の注意、最新情報は各施設の公式サイトを確認ください

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