イタリアの“家具の芸術”とも評される優美なデザイン家具を生み出す「ポルトローナ・フラウ」が南青山に旗艦店をオープンした。卓越した職人技が光るアイコニックなアイテムのほか、現代の暮らしに即した進化形家具も取り扱う

BY MIKI HONMA, PHOTOGRAPHS BY SHINSUKE SATO

 イタリア家具の特徴のひとつは、こうした職人技だけに頼ることなく、外部のデザイナーの新鮮なアイディアをとり入れるところだ。多くのフランスや英国の家具が今なお伝統的な製品を主流とするのに対し、イタリアはつねに変革を続けることで世界の先端を行く。ポルトローナ・フラウ社も例外ではない。「私たちがデザイナーに求めるのは、作り手の持ち味を製品に生かしてくれるデザインです」と語るコロプリス氏は、デザイナーのロベルト・パロンバ氏と20年以上もデザイン面で協働している。パロンバ氏は工場に頻繁に出入りして職人と対話を続けているという。

画像: 20年来の交流をもつニコラ・コロプリス氏(左)とロベルト・パロンバ氏(右)。デザインを通した人間関係が、イタリアを代表するブランドの家具づくりを支えている

20年来の交流をもつニコラ・コロプリス氏(左)とロベルト・パロンバ氏(右)。デザインを通した人間関係が、イタリアを代表するブランドの家具づくりを支えている

画像: 新作のソファ「レット・イット・ビー」。名前はもちろんビートルズの名曲から。さまざまなモジュールを組み合わせることで、最も快適な選択が可能に。シンプルな中にも、ポルトローナ・フラウの技術の高さを感じるディテールが潜む

新作のソファ「レット・イット・ビー」。名前はもちろんビートルズの名曲から。さまざまなモジュールを組み合わせることで、最も快適な選択が可能に。シンプルな中にも、ポルトローナ・フラウの技術の高さを感じるディテールが潜む

「今の暮らしには、カジュアルでシンプルなデザインが求められています。だから新作ソファの『レット・イット・ビー』は、幅840mmのゆったりとしたスクエアな座面を組み合わせ、暮らしに合わせてカスタマイズすることができるようにしました。何人掛けという制限はありません。座高が低く、クッションの形も平たいので、その上に寝そべったり軽食を食べたりできます。ソファの上が、もう一つのリビングになるんですよ」とパロンバ氏は説明する。

 かつてイタリアの伝統的なソファというのは、技術があるゆえに背も座もきっちりと張られ、美しいけれど少しばかり堅苦しいものだった。この新作は家族、友人、訪れる人をオープンに迎え入れる開放的なソファだ。座面には革はもちろん、写真のようにやわらかなファブリックを張ることもできる。
 一方で「ポルトローナ・フラウの魂はディテールに宿っています」とパロンバ氏はレッグ部分を指し示す。フレームは無垢のダイキャストアルミ、背もたれとひじかけにはポプラ材が使われている。様々な素材が使われているが、そのつなぎ目はスムーズだ。

画像: 同じくパロンバ氏がデザインを手がけたベッド「ミスター・ムーンライト」。ソファ「レット・イット・ビー」同様、解放感やリラックスをもたらすカジュアルなスタイル

同じくパロンバ氏がデザインを手がけたベッド「ミスター・ムーンライト」。ソファ「レット・イット・ビー」同様、解放感やリラックスをもたらすカジュアルなスタイル

 また、パロンバ氏は「家の中のリビングエリアが広がり始め、寝室もリビングのような役割を果たす」と、最近のライフスタイルを分析する。その流れで開発されたベッドが「ミスター・ムーンライト」だ。「ベッドではタブレットやスマートフォンを見たり、テレビを見たり、ノートにアイディアを書き付けたりする。だからヘッドボードを斜めにして、ここにシートクッションの要素をもたせました。座ったり眠ったり、ベッドが多機能な場所になるでしょう」と瞳に茶目っ気をのぞかせて話す。もちろんそこにも、同社のソファで培われた張りの技術が生かされている。ベッドフレームはサドルレザーで、レッグはアルミダイキャスト。前出のソファとデザインをそろえ、トータルでコーディネートできるようにも考られている。

 お茶の間やお座敷をベースにした日本の家は、座る文化よりもくつろぐ・寝そべる文化を身近に感じる生活スタイルだ。「ポルトローナ・フラウ」が見せるイタリアの最新モダンリビングは、日本の暮らしともうまく交わっていきそうな予感がする。

ポルトローナ・フラウ東京青山
住所:東京都港区南青山5-2-13
営業時間:11:00~19:00
定休日:水曜休
電話: 03(3400)4321
公式サイト

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